英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

残念

2010-12-15 22:02:01 | 将棋
 竜王戦は残念な結果でした。
 第1局、第2局を落としたのが痛かったです。第3局、第4局を考えるとお互いさまという気もしますが、それでも、どちらかだけでも勝っていたらと思ってしまいます。
 今シリーズを通して、渡辺竜王の強さを痛感しました。また、過密日程の中、竜王戦、しかも羽生名人相手に勝ち切るというのは凄いです。ただ、過密日程ということはありますが、他棋戦で負けすぎという感も。
 取りあえず渡辺竜王には棋王戦で頑張っていただいて、他のタイトル戦での強さを見てみたいです。

 忙しい年末を前にして、かなりテンションが下がる出来事です。まあ、2年前も相当ガッカリしたので多少免疫ができているかも。一応、当時の記事を読み返し気を取り直しました。
 渡辺竜王に2回挑戦して、敗れ去ったというのはダメージが大きいですが、過去にも森内九段に、
 2003竜王戦 0-4 失冠
 2003王将戦 2-4 失冠
 2004名人戦 2-4 失冠
と窮地に追い込まれたこともありました。その後
 2004王座戦 3-1 防衛
 2004王将戦 4-0 奪取
 2005名人戦 3-4 挑戦失敗
 2005棋王戦 1-3 失冠
 2008名人戦 4-2 奪取
と盛り返している。(対森内戦のみ)

 また、深浦九段にも二年連続王位戦で敗れているが、その後、2008年度王将戦4-3、今年の棋聖戦3-0と逆襲している。

 というわけで、渡辺竜王に対しても克服してくれるのではないかと期待しています。ただ、王位戦で深浦王位に敗退してからは挑戦権を得ていないのが不安材料。

 ともあれ、おふたかた、お疲れさまでした。
 渡辺竜王、防衛おめでとうございます。
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竜王戦 第2局 その3

2010-12-15 03:40:47 | 将棋
 竜王戦第6局が始まりました。終わる前にせめて第2局だけでも終わらせたいです。
 もし、もしですよ、ええ、もしも、第6局に負けてしまったら、当分は記事をアップする気力が湧きそうもないです。中途半端になるのも何ですから、雑にはなると思いますが、がんばってみようと思います。


 第4図は先手羽生名人の▲4六桂に対して△2五成銀と引いたところ。この△2五成銀では△4五銀や手厚く△4五銀打が有力視されていたが、△4五銀には▲5九角で、また△4五銀打には▲3四桂△同銀▲3五角△同銀▲同飛△2四角▲3九香で大変らしい(将棋世界観戦記)。
 図の△2五成銀はとにかく3五の地点を厚くして抑え込むのがこの将棋のポイントとという竜王の大局観。
 いつか改めて考えたいが、上記の将棋観は大局観というのとは違うかもしれない。つまり、渡辺将棋は大局観より「こう指した方が勝ちやすい、負けにくい」という「勝負のコツ」を優先させることがしばしばあるような気がする。間違える危険性のある100点の手ではなく、勝ちやすい(方針がはっきりし間違えにくい)96点の手を選ぶ。勝負として考えるなら、最善手より、自分が分かりやすく相手が間違えやすい手を選ぶというのも有効である。
 △2五成銀がそういうスタンスの手かどうかは不明というか、この手は最善を求めた結果の手のような気がするが、先手の大駒を押さえる方針はあったように思う。そして、この手の価値は上述の方針という意味では着手しやすい手だが、プロの読みとしては選びにくい手でもあった。それは、先手に▲2九香と打たれた場合、成銀が2六でも2五でも△3六成銀と指すことになる。つまり△2五成銀の1手が無駄になるのである。その意味で△2五成銀は抵抗のある1手だったのだ。
 実際、その理屈に誘われるように、実戦は▲3四桂△同金▲2九香△3六成銀と進んでいて、羽生名人は「▲2九香ではおかしい」と感想戦で漏らしている(将棋世界観戦記)。▲3四桂では▲5七角が優っていたようだ。
 △3六成銀以下▲1四歩△同歩▲1三銀(第5図)△同玉▲3六飛と進んでいる。

 第5図の▲1三銀は評判が悪く、控室ではこの手を見て形勢がはっきりしてきたという雰囲気になったようだ。
 確かに▲1三銀~▲3六飛は指し手に含みが少なく、棋界流行りの言葉で言うと「後手に余されそう」だ。ただ、羽生名人もそう思慮浅くその順を選んだわけでなく▲3五歩(第6図)は流石の踏み込みで、この手を見てまだまだ勝負形という評価に戻った。


 この手に対する△3六銀も飛車を取る代わりに、金を取りながら▲3四歩と手順に歩を3四に進めさせるので躊躇されるところだが、羽生名人の踏み込みに対して一歩も引かない手だった。
 この後、羽生名人は▲1三金を決めてからヒラリと▲7五角と大きく角を転回。次に王手飛車を見て8六や9七に利かせた好手を放つ。それに対する王手飛車を恐れない△8四桂(第7図)と竜王も最強の手で応える。この後も名人も迫るが竜王も強く応じ勝利をものにしている。


 羽生名人の新手、渡辺竜王の△2六銀成~△3四香の抑え込み、消去法によるいきなりの竜王の端攻め、△2五成銀の竜王独特の将棋観、名人の切れそうで切れない攻め、それに対する竜王の最強の応手など、非常に中身の濃い一局で、特に渡辺竜王の強さを感じた。
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