英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

気象庁さん、暖冬って言ってたよね②

2010-01-12 14:07:59 | 気象
『気象庁さん、暖冬って言ってたよね』 の続編です。

【福井市の現況】
 福井市の昨年12月の平均気温は5.6度で、降雪量(積雪量ではない)は65センチ。平年値はは5.8度と51センチです。
 この値だけ見ると、「ほぼ平年並み」と言えますが、12月の前半は暖かったことを考えると、12月後半は平年よりはかなり寒かったと言えます。(『気象庁さん、暖冬って言ってたよね』参照)

【12月後半から現在までが寒いわけ】

 もともと「暖冬」と予見した根拠は、夏季に夏に太平洋の赤道付近でエルニーニョ現象が発生したことらしいです。
 しかし、現状は「暖冬」ではありません。この理由を気象庁や予報官は「上空の気流が寒気が南下しやすい流れになった」という説明をしています(当然の顔で)。
 つまり、エルニーニョ現象は暖冬の誘因としては弱いわけですね。そんな弱い根拠だけで「暖冬」という予報を出したのでしょうか?
 そもそも、「暖冬の予報だったのに、寒いのはなぜか?」という問いは、「上空の気流云々」という説明ではなく、なぜ予測が外れたのか? なぜ上空の気流の変化を予測できなかったのか?ということを聞きたいわけなんですよ、気象庁さん。


【気象データの捕らえ方や表現による錯覚】
 暖冬かそうでないかは、ひとまずおいておいて、小見出しの「錯覚」について少し。
 12月後半の寒気の南下より、各地で降雪、積雪がありました。それにより、各地で「観測史上最大の積雪を観測した」とか「大雪だった」という言葉を耳にしたと思います。
 こう聞くと「すごい大雪だった」という印象を持たれると思いますが、実はそれほどでもないことが多いのです。
 どういうことなのかというと、「観測史上」の前につく「この時期としては」とか「12月としては」という言葉が曲者なのです。
 雪の降らない地方の方でも、寒さを基準に考えればご理解できると思いますが、12月下旬は降雪は序の口で、雪が積もることはあってもそんなに積もりません。そして、寒の入り(小寒・1月5日)ぐらいから、雪が降り続くようになり、大寒から立春(1月20日~2月4日)にかけては、大雪の可能性が最も高いです。
 つまり、12月としては積雪が最大であっても、ひと冬で見ると大騒ぎするほどではないのです。

 実際、越前市では、1月8日までの降雪量は平年の4倍というデータが出ています。しかし、積雪は20センチでとどまり、「冬」というくくりで捉えれば、「大雪」という感覚はまったくありません。
 越前市の近辺の今庄では積雪40センチを超えました。これは12月としては「異例」ですが、「よく降った」という感覚ですが、「大雪」と呼ぶまでではないでしょう。
 北陸3県まで広げると、平野部では富山市だけは積雪40センチを超え、これは「異例」と言えると思います。

 ニュース性を重視し、最データ的に特異であれば「観測史上最大」とか「大雪」「大雪のおそれ」という言葉を多用する傾向があるようです。


【1月8日発表の季節予報】
 以前「暖冬傾向」という予報を出しています。
 順を追って予報を見ていきます。



 1月9日~15日までの気温の傾向です。
 すでにご存知と思いますが、明日の水曜日(13日)と木曜日(15日)をピークにかなり強い寒気が南下します。西(九州北部)回りで南下するので寒さは全国的です。福井は週末まで雪マークが出ているので、しばらく寒い日が続くようです。
 なので、図も西日本を寒色系に染まっています。




 1月16日~22日までです。
 今週の寒波の後は、しばらく寒気の南下はないようです。



 1月23日~2月5日(2週間分)の予報です。
 引き続き、気温が平年より高い傾向が続くようです。ただし、一番寒い時期なので、気温が高い傾向と言っても、平年に比べて気温が高いと言っても、「寒い」ことには変わりはなさそうです。




 1月9日~2月8日までの気温の傾向です。
 上述したように、最初の1週間は気温が低いのですが、その後3週間以上は気温が高い傾向が続くので、全般的には気温が高い傾向という予報が出ています。ということは、この冬は、やはり「暖冬」ということなのでしょうか?

 しかし、これはあくまでも1月9日~2月8日までの予報です。
 私が前回の記事で取り上げた1月の予報(1月2日~2月1日)



について考えてみます。
 1月の前半(15日まで)はかなり平年よりは寒いので、後半、予報通りにかなり暖かくなったとしても、1月全体としてプラスになるのは難しく、上図の予報が的中する可能性が高いです。
 しかし、これは1月1日になって出された予報です。12月の段階では、もっと「気温が高い傾向」の予報が出されていたはずです。もちろん、予報は新しいデータを取り入れて、逐次正確なものを発信すべきです。気象庁は予報の変更はとても上手です。さりげなく訂正し、予報が外れた事実を隅に追いやります。
 1月の一カ月予報は最終的に出された1月1日のものが最終予報となり、最終的に的中ということになりそうですが、釈然としないものが残りそうです。
 

 とにかく、今後の注目点は、1月後半の気温が平年より高い傾向が続くかどうかです。

 参考までに2月と3月と1~3月の気温の傾向の予報も挙げておきます。





 2月3月も高温傾向(特に2月)が続き、1~3月も高温傾向(暖冬)という予報が出ています。
 しかし、冬というのは12~2月を指すので、これをもって「暖冬」と言うのは違うと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする