次期日銀総裁が決まったという。
なぜ日銀総裁人事に注目が集まるかというと、日本経済の大本である財政と金融政策のうち、金融政策をつかさどる責任者が決るからです。
新総裁の植田氏のかじ取りはどうなるのだろう?
これが下記のブルーバーグ・ニュースの要旨です。
QTE:日銀総裁に植田元審議委員を起用、副総裁に内田、氷見野両氏-関係者(伊藤純夫、梅川崇 筆2023年2月10日 21:12 JST)
要約[政府が当初打診した雨宮副総裁は辞退、市場にとってはサプライズ タカ派、ハト派の色なく「極めてバランスの取れた人選」との声も]
政府は日本銀行の黒田東彦総裁(78)の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71)を起用する方針を固めた。副総裁には内田真一理事、氷見野良三前金融庁長官を充てる。事情に詳しい複数の関係者が10日明らかにした。
植田氏は同日夜、都内で記者団に対し、「現時点では何も申し上げられません」と述べるにとどめた。政府・日銀の共同声明を踏襲するのかとの質問に対しては、「まだ決まったわけではない」とし、「来週以降、話す機会があればそこでと思います」と語った。日銀の大規模な金融緩和については継続が必要との考えを示した。
現在、共立女子大学教授の植田氏はマクロ経済や国際金融の専門家。
2000年8月の金融政策決定会合で決まったゼロ金利政策の解除には、反対票を投じた。同会合では政府による初の議決延期請求を否決日銀の独立性と透明性を高めた新日銀法が施行された1998年4月に、東京大学教授から審議委員に就任した。97年11月の山一証券や北海道拓殖銀行などの破綻による金融システム不安などを背景に日本経済が不況に陥る中、速水優総裁の下で実施されたゼロ金利政策や量的緩和政策を理論面で支えた。したが、翌年に再び金融緩和に追い込まれ、拙速な判断だったとの評価も少なくない。
りそなホールディングス市場企画部の梶田伸介チーフストラテジストは、極めてバランスの取れた人選で「そこまでタカ派とかハト派という色もなく、必要な正しい政策をとるだろうという期待はある」と評価。政策の継続性という意味で、副総裁に内田理事が入ったことも安定をもたらすとの見方を示した。
植田氏の指名は、市場にはサプライズとなった。外国為替市場では円が対ドルで1%超上昇し、一時1ドル=129円台を付けた。新発10年物国債利回りは日銀の許容上限の0.5%まで上昇。株式先物相場は下落した。
ブルームバーグ・エコノミスクスの増島雄樹シニアエコノミスト
「植田氏の次期日銀総裁起用はサプライズ人事となろう。同氏は日銀政策委員会で現在優勢なハト派寄りスタンスよりも、ややタカ派寄りな中立姿勢をもたらすだろうと考えられる。報道後の円急騰もそうした方向を示す」
【インサイト】植田氏はややタカ派寄りもYCC即時放棄せず
市場はスタンス見極め
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、「市場は完全に意表を突かれた」と指摘。週明け13日の「株式市場は安く始まるだろう。植田氏がどのような政策をとるかはさておき、雨宮氏が引き継ぐという期待を高めてしまった政府の対応は少し不手際な感じがする」と語った。
日銀は昨年12月にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策における長期金利の許容変動幅を拡大した。市場は事実上の利上げと受け止めており、衆参両院での所信聴取などで植田体制の金融政策スタンスを見極める展開が続きそうだ。
エコノミストを対象とした1月のブルームバーグ調査では、次期日銀総裁の有力候補に植田氏は入っていなかった。回答者数36人のうち25人が雨宮正佳副総裁を挙げていた。日本経済新聞によると、政府は黒田氏の後任総裁として雨宮氏に当初打診したが、同氏は辞退したという。
副総裁に専門家2人
副総裁候補の内田氏は、12年から企画局長を5年間務めるなど長く金融政策の企画・立案を担う企画畑を歩んできた。18年4月に理事に就任し、22年4月に再任された。理事の再任は、新日銀法下で中曽宏前副総裁、雨宮副総裁に次ぐ3人目となった。
黒田総裁が就任直後の13年4月に打ち出した大規模な量的・質的金融緩和政策(QQE)や16年1月のマイナス金利政策、同年9月に導入した現在のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の企画・立案に企画局長として中心的な役割を担った。理事就任後は決済機構局も担当し、世界的に議論が高まる中央銀行デジタル通貨(CBDC)にも注力している。
もう1人の候補の氷見野氏は、大蔵省(現財務省)出身。金融庁の国際審議官などを経て20年から約1年間、長官を務めた。日本人初の金融安定理事会(FSB)の常設委員会議長を務めるなど海外当局との親交も深い。国際的に活動する金融機関の自己資本比率を定めるバーゼル規制(BIS規制)など国際金融規制に精通しており、国内金融機関の監督経験もある。
昨年10月のブルームバーグとのインタビューでは、日本の低金利環境の下で金融機関が経営にさまざまな工夫を凝らすのは当然だとし、「銀行の都合で金融政策を決めるわけではないので、その環境下でどうやって経営を成り立たせていくかはいろいろな工夫があってしかるべきだ」との見解を示していた。
植田 和男氏(うえだ・かずお)東大理卒。1980年マサチューセッツ工科大大学院経済学博士課程修了。ブリティッシュコロンビア大経済学部助教授、大阪大経済学部助教授を経て、93年東大経済学部教授。98年から2005年まで日銀審議委員。05年東大大学院経済学研究科教授。17年共立女子大教授。71歳。静岡県出身。
内田 真一氏(うちだ・しんいち)東大法卒。1986年日銀入行。新潟支店長、企画局長、名古屋支店長を経て、2018年理事。60歳。東京都出身。
氷見野 良三氏(ひみの・りょうぞう)東大法卒。1983年大蔵省(現財務省)入省。バーゼル銀行監督委員会事務局長、金融庁金融国際審議官を経て2020年金融庁長官。19年9月から金融安定理事会規制監督常設委員会議長。22年からニッセイ基礎研究所。62歳。富山県出身。 :UNQTE
一番の驚きは、政府は黒田氏の後任総裁として雨宮氏に当初打診したが、雨宮氏は辞退した ことです。
なぜ?
本人が言わない限り分かりませんが、黒田総裁と共に(5年間)デフレ経済を立て直す努力をしてきたが、黒田手法(国債の大量買入れ、マイナス金利の導入、YCC《具体的な金利水準まで国債やETFを市場で売り買いすること》の実施)は気に入らないという現政権下では、やりがいを見つけられないとしたのでしょう。
また岸田財政政策=ばらまきは、円安に向かいがちになり、今後円高対策(=金利高)を余儀なくされ、黒田総裁(=5年間の副総裁の)努力は無に帰す恐れあり としたのかも知れません。
今回の植田人事が日本株価に大きな負の影響を与えないように念じます。
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