京料理 道楽のブログ

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《芒》

2013-10-01 | Weblog
床の間に生けられたらすすきは、秋の風情を漂わせます。秋にかぎらず、夏は青すすき、冬は枯すすきと呼ばれ、屋根を葺くのにも用いられていた、遠い昔より日本人の心に宿る草です。

日本の芸術家たちは古より秋草を描き、その中でもすすきは秋の趣を放ち、ひいては生命の儚さを醸します。
尾形光琳・俵屋宗達、そして琳派の画家達、乾山の器などにもすすきが目を引く作品が多々ございます。

高浜虚子は「目さむれば貴船の芒生けてありぬ」と詠みました。目が覚めたら貴船の芒が生けてあった。まさに秋の空気、目がさめるような新鮮な感じに身を包まれたことでしょう。

すすきは、お月見には団子といっしょにお供えされ、初田植えには田の神の依代とされ、また身を守り厄除けの力が宿ると信じられてました。
日本人にとって暮らしの中で息衝き、ふるさとの野山や河原の風景、懐かしさが心によみがえる秋草なんです。