京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

【匠】

2011-10-14 | Weblog
本日、山下壽一氏の玉露をいただき、そのまろやかな風味、高貴な味わいに打ち震えました。

山下壽一氏は日本一の玉露手揉み名人で、その技で仕上げられた究極の玉露「匠」は驚愕の美味。

秋の夜長に、GOLDBERG(KEITH JARRETT)を聴きながら「匠」を味わうひとときは、疲れが全て吹き飛んで、この上なく幸福の世界に誘ってくれます。

《関東炊き》

2011-10-12 | Weblog
二日前から関東炊き、いわゆるおでんを炊いて、ようやく今夜いただきました。

ぼくが用いる具は、大根・玉子・蒟蒻・厚揚げ・蛸・牛蒡天・はんぺん・竹輪麩です。

竹輪麩は、上方ではあんまり食べませんけど、ぼくは丁稚の時分に屋台のおでん屋さんでよく食べてた忘れられへん具材で、当時のことをあれこれと懐かしく思い出します。あの頃の厳しい日々は、今ではぼくの宝物です。

関東炊きは、大きなお鍋で八十度ほどの温度のたっぷりのお出汁の中で、具材をゆーっくりと煮含めていきます。お出汁はおじゃことお昆布でひいて、じゅうぶん出汁煮込みしてから、お酒と薄口でお加減します。二日間ほど炊いたら、素材の中までしっかりとあっさりしたコク深い味わいがしゅんで、ほんまに美味しく炊き上がります。

溶きからしをたっぷりつけてお出汁も一緒にいただきましょう。

《神戸ビエンナーレ》

2011-10-10 | Weblog
本日は、お昼のお席が終了後、「神戸ビエンナーレ2011を語る会」でホテルオークラ神戸に行ってまいりました。神戸ビエンナーレ2011は、10月1日から11月23日までの開催で、会場は神戸ハーバーランド・ポーアイしおさい公園・兵庫県立美術館・元町高架下に分かれて開催中です。
2007,2009,2011の神戸ビエンナーレ総合プロデューサーをお務めの吉田泰巳先生の誕生日が本日十月十日ということです。

そもそもビエンナーレとは、イタリアから来た外来語で、日本では美術展覧会や芸術祭なんかを表しますけど、元来「二年に一度」という意味のイタリア語やそうです。ベネチアの二年に開催される美術展覧会を「ベネチアビエンナーレ(二年に一度のベネチア)」と呼ぶことから、日本では美術展覧会を表す言葉として用いられるようになりました。

吉田先生は本日をもって御歳七十二を向かえられましたが、益々お元気で御活躍で、ものすごいバイタリティやなぁと感心致してます。

比叡平の浜田泰介画伯とも、長時間楽しいお話をさせていただきましたが、とても愉快で陽気で軽快なトークとその風貌は、御歳八十とはとても信じられません。

今年はたびたび神戸へ行く機会がありますが、今日は正にとんぼ返り。只今帰りの電車の中で睡魔と闘っております。

《寒露》

2011-10-09 | Weblog
本日は、秋分から十五日目にあたる二十四節気の「寒露」です。

寒露とは、晩夏から秋へ向かうときに、野の草に宿る冷たい露のことをさしてます。

昔から寒露は、五穀の収穫がたけなわとなり、山の木々によっては紅葉が始まり、冬鳥が渡って来て、菊の花が咲き、コオロギの鳴き声が止む頃とされ、朝晩は肌寒く感じ始める季節です。

秋らしくはなってまいりましたが、年々秋のええ季候が短うなってきて、夏から直ぐに冬がやってくるような感じがします。

《漆器》

2011-10-08 | Weblog
先だってより、塗師の方にお願いして、藤原定家卿の名歌数十首を黒塗の八寸盆にそれぞれ色を替えて書いた漆器を制作中です。原筆は、ぼくが揮毫しております。
全てが仕上がるのは、まだ随分先になりそうですが、来春頃に仕上がって来ればなぁと楽しみにしております。

《喫茶》

2011-10-06 | Weblog
店の近くに老舗店が始められた喫茶店があって、よく寄せていただいております。

本日は、数々の漆器の名品を会長の御説明をおうかがいしながら拝見し、眼福の極みでした。お忙しい中ほんとうに有り難く思います。

日本の食についての会長のお考えも、共感を覚えることが多々あり、月末に刊行する「京のおまわりに」にも書いた、食する命に対する感謝の念や、生命の維持や空腹を満たすだけでは人間の食事とは言えないとのことをおっしゃってました。

いろいろとお話を賜り、勉強させていただき、心より感謝致しております。

《乾山》

2011-10-05 | Weblog
京料理の器として、まず挙げられもんのひとつが乾山焼でしょう。現代においても乾山写しの作品は数多く、そのセンスは光り輝いており、乾山の溢れんばかりの教養が滲み出た芸術作品は、圧倒的です。
中でもMOA美術館の「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿」は圧巻の作品やといえましょう。

《山からの贈物》

2011-10-04 | Weblog
「栗もいいし茸(きのこ)もいいが、
今では都に何でもあって
金がものいうだけだという。
それではいっそ
旧盆すぎて穂立(ほたて)をそろえた萱(かや)の穂の
あの美しい銀の波にうちわたる
今朝の山の朝風を
この封筒に一ぱい入れよう。
香料よりもいい匂の初秋の山の朝風を。」

高村光太郎

たしかに栗や松茸は、お金さえ出せばなんぼでも買えますけど、初秋の清々(すがすが)しい山の朝風は買うことはできません。
封筒いっぱいの山の朝風、洒落た素敵な贈物やないですか。
経済至上主義の世も、もうほどほどでええように思いますね。

《お饂飩》

2011-10-03 | Weblog
国内産小麦を皮ごと挽いて作った稲庭うどんをいただきました。

麺色は蕎麦に近く、小麦の風味と旨味が感じられ、洗練された繊細さはありませんけど、素朴な自然の味わいでした。

小麦本来の持つビタミン,ミネラル,食物繊維も含まれ、栄養面でもええようです。

《俎(まないた)》

2011-10-02 | Weblog
板場の俎のキズが増えてきたんで新調しました。やっぱり新しい俎は、清潔で真っ白なんで、気持ちよく仕事ができますね。
以前は桧(ひのき)や銀杏(いちょう)の大きな分厚い俎を使うてました。銀杏はやらかいので長時間お刺身を引き続けてもあんまり疲れず楽なんです。今は、衛生上木の俎は使わんと合成樹脂になりました。

俎の「且」の字は平らな台に物を積み重ねたさまを描いた象形文字です。ちなみに「祖」は、世代の重なった先祖、「助」は力を積み重ねる、「苴」は重ねて敷く草、という意味で、「俎」は魚や肉を積み重ねて料理する台ということです。

昔から、料理屋の板場中央のお造り用俎は、最も大きくて分厚いのを据えるようにします。