京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

《根深焼飯》

2013-04-12 | Weblog
本日のT&Tうちでの料理は、根深焼飯。

「易水にねぶか流るる寒さかな」「ねぶか買うて枯れ木の中を帰りけり」蕪村の俳句にあるように、ねぶかの旬は冬です。江戸時代初期の井原西鶴の好色一代女にも「ねぶか」の記述はみられます。もともとは、関東の土中に深く作る白葱を「ねぶか」と称し、関西の地上で長く緑の葉をのばして作る葱は「はねぎ」と呼ばれてましたが、いつしか「ねぶか」が葱の別称となったようです。ちなみに「ねぶか汁」は、葱を汁の実としたおつゆのこと。葱とご飯は相性のええもんで、江戸時代のいくつもの料理書に葱飯が記載されてます。肉類が入らない根深焼飯は正にたっぷりの葱が主役、葱の香り・甘み・辛みがご飯と相俟って、シンプル且つ淡白な美味しさです。

《旧上巳節・雁風呂》

2013-04-12 | Weblog
明日は「旧ひな祭り」なんで、今日の床の花は、若葉が芽吹いた桃とたっぷりの菜の花を入れました。以前、藤平伸先生に十種作っていただいた鉢を花器に見立てました。

七十二候では「鴻雁北」。秋から冬にかけて飛来した雁などが北へ去りゆく季節。「雁風呂のもえぬ木をふく涙かな(高田蝶衣)」秋に日本へ渡って来る雁は、木片をくわえてきて、その木片を海上に浮かべ羽を休める。その木片を青森の外ヶ浜あたりに落として飛来し、春に帰る時に再びそれをくわえて北へ飛び去る、という言い伝えがあります。
外ヶ浜の人たちはその流れ木を拾い集めて持ち帰り、お風呂を炊いて、北へ帰ることが叶わなかった不運な雁を思い供養します。
「雁風呂」は、人の世の儚さに通ずる、ゆかしい習わしです。