京料理 道楽のブログ

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「花」

2013-04-03 | Weblog
川端正面辺りの鴨川沿いの桜は、若葉が芽吹いてきました。

遠目に観ると、芽ばり柳の若葉の浅緑、雪柳の白、色鮮やかな山吹が、桜色と見事に調和し、春色の綾衣のよう。
春光の日差しは、眠りから目覚めた草木花の幽かな匂いを薫じます。

桜が醸し出す春の陽気には、同時にその儚さや悲しさも漂います。
「春高楼の花の宴 めぐる盃影さして 千代の松が枝わけいでし 昔の光いまいづこ」
土井晩翠の荒城の月には、溢れるほどに春の悲哀が。

「み吉野の高嶺の桜散りにけり 嵐も白き春のあけぼの」 古今和歌集の御鳥羽院の歌ですが、山桜の盛んに散りゆく花吹雪が、まざまざと見事に表現されています。

茶席には用いませんが、桜は古より日本人の心、爛漫の花に古人の春を偲びます。