指先に宿る。


■DRM / Sports Steering Wheel for 300ZX
4スポークが特徴的なエアバック付きZ32ステアリングは、オーナー氏からの希望によりフラットボトムへ形状変化した後に、プレミアムレザー+センターアクセントを施した特別な1本を製作しました。
オーナー氏はステアリングの太さにもコダワリを持ち、私達は提供くださったサンプル画像を元に、太くなりすぎないように最新の注意を払いました。

先日のBlogでも触れましたが、人間は指先がとても繊細な故に感覚を覚えやすい箇所と言われています。そして車を運転する際に常に触れているのはステアリングです。
車を乗り換えたとしても、ステアリングを外して売却に出されるオーナーさんもいらっしゃる程ですので、ある意味では車以上にステアリングを大切にしている事
僕は理解できます。

強い希望に応えるエンジン。


オーバーヒートで入庫中のZ32よりエンジンを降ろしました。


相当なオーバーヒートでしたから、シリンダーヘッドのみならずシリンダーブロックまで変形しているかと思いきや、計測の結果なんとか面研で修正可能と判明しました。
しかしながら1/3番のピストン上部が真っ黒ですので、今回のオーバーヒートでのトラブルとは別の原因がありそうです。


30年間使い込まれたシリンダーヘッド。
洗浄するだけでも大変そうな状態ですが、どちらにしても最悪の状態は回避出来そうですので、明るい希望が見えてきました。

何処でも出来ること しかし、誰でもは出来ないこと。


Z34フェアレディZ SCにお乗りであったオーナーさんより、普段使いのスバル用へカスタムメイド・ステアリングのご用命をいただきました。

3本スポークフレームへ、2x2パターンのナッパレザー/バイカラーにセンターストライプを追加。
グリップタッチが良いように、レザーの下には0.7mm厚のウレタンを忍ばせています。
ただでさえタッチの良いナッパレザーですが、更にソフト感が増し、手がソファーに触れているかのような感覚を覚えます。
さすがに、ここまで仕上げにこだわるとカーボンステアリング以上のコストになってしまいますが、それでも運転中には必ず触れる箇所なだけに、
とことんまで理想を追求していくコダワリを僕はとても共感できます。

結局のところ、車を感じる要素とは質が全てなのです。
その質が自分に近いか否か。自分がほしい質を理解できるか否か。 オーナーさんは常に"それ”を求め、また私達は感覚のズレが生じないよう注意し、良いサービスが提供できるよう励んでいます。

昨日までの大雨

このたびの九州北部における豪雨災害により、犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げます。

ニュース等で報じられている通り、先週の福岡は連日大雨でしたが、日曜深夜よりギアを上げたかのごとく猛烈な大雨に見舞われた九州地方です。
幸いにもDAYTONAは比較的高台に位置していることから、お預かりしている車両も含め何ら問題はありません。


月曜日 朝7時の様子。
日曜深夜は豪雨に加え落雷も多く、携帯電話に飛び込んでくる避難指示や緊急速報は1時間毎ということもあり、まったく寝れませんでした。
8時までにはFactoryスタッフ全員に連絡が取れ、自宅や工場に被害はないものの全員寝不足。


車の画面には、これまで見たことのない警告が表示され、ホントに怖かった。
夕方までには天候は回復し、本日は何事もなかったかのごとく1日がスタートしました。

雨の合間にZ32を悩んでみた。

昨日、今日と、雨の合間を縫ってファクトリー間の車両入替や、点検などを行いました。
DAYTONAにしてみると、珍しく九州圏内のZ32の入庫が集中しています。


オイルリーク修理のZ32は、リアサスペンションメンバーブッシュの交換や、ハイキャスキャンセルも行いましたので、
最後の仕上げにアライメント調整を行っています。 計測機器はJOHN BEAN(ジョンビーン)製3Dアライメントテスターです。
計測が早く精度も良いので、アライメント調整にありがちな”堂々巡り”にならず、とても重宝しています。


週末に入庫したZ32コンバーチブルは、現状把握のためヘッドオフィスにてリフトアップ。
外観から想像はできましたが、全体的に好状態です。
とはいえ、いくつか気になる箇所もあるため、今週中には概算の報告予定です。


オーバーヒートで入庫していたZ32は、ファクトリー1へ輸送。
入庫時にはエンジンも始動できず、またコンプレッションも低く、ようやくエンジンが始動したと思えば片排及び白煙。
根本的に何処からか冷却水が漏れているのに加え、残念ながらエンジンは深刻なダメージを負っている可能性が高く、
非常に頭が痛い案件です。
オーナー氏とは10年以上のお付き合いをさせていただいていますが、だからこそ言い出しにくい事もあるのです。
今できるベターな方法を模索しプランニングを行います。





大雨の土曜日は、ゆっくりとした時間が流れる。


昨日から驚く位の大雨に見舞われている福岡。 
雨が降り止んだかな?と思えば30分もしないうちに、車のワイパーを最大で動かしても前が見えないほどの雨にうたれ、道路はいたるところで川のように雨が流れていました。
午前中はオフィスで事務仕事を行い、午後からはファクトリー1へ作業や周辺の状況を確認しに出かけました。


先日より作業を行っていた、オイルリークのZ32はほぼ完成。
フェクトリー1在籍のエンジニアは、タイミングベルトを組み込んでも、1度試走を行うと再びタイミングカバーをバラし、ベルトのズレが無いか等の確認を行う大変珍しい習慣があります。
かれこれ10年以上その習慣があるのですが、僕は当初その習性が好きではなく
「1度目はネジ締め等を含むミスなくとも2度目にミスを生じてしまっては確認の意味がないし、なによりも簡単に確認できない構造故に作業時間も2倍かかるので、できる限り作業工数は最小限に留め確実な仕事を短時間で行うべきだ」
と彼へ意見したことがあります。
ですが彼は
「VG30のタイミングベルトは通常のものに比べ長いので、やはり一度アタリを付けてあげ、オートテンショナーの張り具合を確認しないことには安心できない」
と反論されてしまい、イラっとしながらも視点を変えて話し合いを続けた結果 僕は彼の意見を尊重し、時間はかかっても”最も確実な仕事”を優先させるようにしました。

彼は僕より随分と年上ということもあり、10年は無理としても あと何年くらい意見の対立ができるのだろうか? 
電話で口論となり、そのまま工場へ行き喧嘩した(笑)遠い昔の日を思い出し、扱いにくいけど拘りのある良い職人を使うことができる苦悩(笑)と喜びを感じながら、先程までの雨が止み一転青く見え始めた空を見上げ、僕は工場を後にしました。