北京五輪ボイコットの緩さを見ていると、世界は人の命より金が大事と考えているとしか思えません。
ここで、世界が立ち上がるなんて期待はできそうもないのが現実じゃないでしょうか。
何といっても、IOC自体が金の亡者で止める気は全くなし。選手自体もスポーツは政治と関係ないと頬被りして血塗られたメダルを取るために喜んで参加。
そして、そのChinaを育てたのが世界の金の亡者達。
そんな恐ろしい真実を書いた本が出たようです。宮崎さんが書評で取り上げてくれています。
ここまで酷くなっても手を引こうとしない金の亡者達によって世界は奴隷の世界に引き摺り込まれるのも近いのかも。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)1月11日(火曜日)
通巻7182号 <前日発行>
書評
泥棒村と呼ばれた北京の「中関村」がハイテクパークに変身した
盗賊企業が世界のハイテク覇権を狙い、独裁を脅かす人々を監視する
ジェフリー・ケイン著 濱野大道訳『AI監獄 ウイグル』(新潮社)
原題は「完全な警察国家」となっている。
ウイグル人への狂気のような弾圧の惨たらしさは、西側世界が等しく知るところであり、民主国家は中国に制裁を課してい る。ただし制裁と言っても、直接弾圧に加わった共産党幹部の在米資産凍結、ウイグル産品の禁輸とか、ほとんど効果の疑わ しい措置でお茶を濁すだけである。ファーウェイやセンスタイムなどへの半導体供給は継続しているし、半導体製造装置の東 京エレクトンなど、株価が五倍に膨らんでいる。
北京五輪ボイコットと言っても外交団派遣を見合わせるだけで、選手団派遣をやめたのは北朝鮮だけという皮肉!
ウイグル人にとっては、監獄のなかにいようが、外にいようが地獄には変わりがない。そとにいても、いや外国にいてさ え、エジプトでトルコで監視されているのだ。
中国共産党にとって、西側がいかに吼えようが、屁のようなもの、強制収容所を撤廃するとか、監視網を緩めるとかの緩和 方向にない。
本書はそうした弾圧実態を、別の視座から観察し、告発する。
すなわち、このジェノサイドに等しい血の弾圧に手を貸しているのは米国のGAFAMと、その米国の技術を得た中国のハイ テク企業ではないかという、私たちが見落としがちだった実態の詳細に迫るのである。
監視カメラ、顔認証、音声識別、DNA採取、密告アプリ等々。これらの基本技術は米国の、あるいは西側の発明だった。 そのハイテクを盗み出すなり、M&Aでハイテク企業を買収し、特許と技術者ごと手に入れるなり、あるいは技術提携で中国 は自家薬籠のものとした。
北京の中関村は「農民が牛車で行き交う村」だった。ここでマイクロソフトの海賊版が売られ「泥棒村」と呼ばれていた。マ イクロソフトは「テクノロジーの導入に熱心な政府を支援する新規事業」を展開し、1・2億台のパソコンがあるなら、 「1・2億人の潜在的なウィンドウズ利用者がいる」と計算した。思惑はみごとに外れた。
海賊版と模造品と安売り、粗製濫造の中国人はまたたくまに興隆し、独自の盗賊的論理でもって、「会社を起業し、やがて革 新的なシステムを築きあげ、ハートウェアと素早く微調整していった。結果として、かれらは欧米や日本の技術を猛スピード でコピー、摸倣し、強欲な中国の消費者市場に製品を安く売ることができるようになった」(69p)
なにしろドラえもん、クレヨンしんちゃんの海賊版など何でもござれ、ハリウッド封切り映画は翌日に百円で海賊版が売ら れていたっけ。
中国は米国ハイテク企業の中国に強い規制をかけ、グーグルは撤退した。
「急成長する中国の新興テクノロジー企業の存在に気付き始めた米国政府は、中国の技術の近代化がアメリカの軍事的利害 や国家安全保障に脅威をもたらすと危惧するようになった」(71p)。
マイクロソフトの中国子会社をスピンオフした中国人はテンセントという会社を立ち上げ「微信」を開始した。一年で一億 人の利用者を得た。この数字はフェイスブックが四年、ツィッターが五年を要したレベルだった。
中国政府は監視態勢強化にこれらのビッグテックを使えると判断した。
次の目標がAIの獲得だった。
世界のAI先駆者は米国だが「中国企業はAIの秘密を解き明かすため、海外に留学してマイクロソフトやアマゾンに就職し た優秀な中国人AI開発者を捜し出そうと躍起になった。そしえ彼らに大きな報酬を与え、さらに愛国心に訴えて母国におび き寄せようとした」(85p)。
かくしてAIベンチャーは顔認証のメグビーに出資した。同じ頃香港で起業したセンスタイムはAI業界でフェイスブックに 勝ると自画自賛した。センスタイムの製品開発責任者はマイクロソフト出身だった。勢いがついた中国に、ビッグテックは、 AIの最先端技術達成に最新鋭の半導体が必要と判断し、インテルやクアルコムと交渉し、後者はメグビーと連携契約、見返 りはメグビーのAIソフトだった。米企業エヌビディアは監視カメラ技術を中国に売り、インテルも半導体輸出で大いに稼い だ。顔認証の取得も同様な手法で中国へテクノロジーが移転した。
考えてみれば、AI監獄を中国に出現させたのは米国の無定見な世界戦略と、中国の軍事戦略とが持ちつ持たれつの爛れた関 係のなかで形成されていったということである。そしてウイグルにおける「AI監獄」は、米国と中国のビッグテックがつ くった実験場となった。
このまま突き進むと将来はどういう世界となるのか?
「共産党はいずれ、海外でも国内と同じように振る舞うことになる。そう想定しておいたほうがいい。『新彊式の社会統制 の輸出』は、最悪のシナリオであるものの、想像を絶するシナリオではない」(310p)。
GAFAMはトランプの言論を封じ込めた。ネットの言論戦では、日本の例外ではなく正論は「ヘイト」「人種差別」とか の難癖とともに妨害されているではないか。
この恐ろしい世界から世界を救う覚悟があるのは、やはりトランプさんじゃないでしょうか。
果たして、次の大統領選挙を待っていて間に会うのでしょうか。
何とも恐ろしい世界!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます