中東だアフガンだと心配していたらアメリカが大変な攻撃を受けているようです。何と、パイプラインにサイバー攻撃だそうです。
これも宮崎さんが詳しく報告してくれています。果たしてどこが仕掛けたのでしょうか。アメリカはどうするのでしょうか。
何ともキナ臭い年になったものです。やはり今年は何かが起きそうです。それが第三次世界大戦になるのかどうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)5月9日(日曜日) 通巻第6904号
米中戦争は事実上、はじまっている
米国の生命線パイプラインにサイバー攻撃、動脈が停止された
「数日以内に復旧しなければ、商品市場は大荒れになるだろう」(ウォールストリートジャーナル、2021年5月8日)。
東海岸の大動脈、石油パイプラインがサイバー攻撃で停止に追い込まれた。ランサムウエアが仕掛けられてコンピュータが作動 しなくなり、暗号通貨による身代金を要求されていたと全米のメディアが大きく報じた。
ランサムウエアは中国とロシアのハッカー集団が執拗に西側の行政機関、企業、そして産業設備から病院に到るまで頻繁に攻撃を 仕掛けてきた。北朝鮮も便乗してワナクライというハッカー部隊が、かなりの身代金を西側企業からせしめたと言われる。
とくにこの数ヶ月は露西亜による「ソラー・ウインド」(ソフトウエア企業)への襲撃、中国のよるマイクロソフト社のメールシ ステム襲撃が報告され、国土安全保障局とFBIが本格捜査を展開してきた。
このパイプラインはコロニアルパイプライン社(本社ジョージア州、ロイヤルダッチなどが出資)が、テキサス州からNYへ敷 設した全長5500マイル。東海岸の全消費の45%のガソリン、航空機燃料などを輸送している。
テキサス州に端を発し、ルイジアナ、ミシシッピー、アラバマ、ジョージア、サウスカロライナ、ノウスカロライナ、バージニ アを抜け、ペンシルバニア州とデラウエア州の州境をぬけてNYへと到る。ガソリンだけでも一日250万バーレルを輸送する。
不幸中の幸いで、コロナ禍のため需要が減少中という市況にくわえ、備蓄が相当あるというが、数日、操業に支障がでると、ガ ソリン代金が急騰する怖れがある。
それにしても米国産業の大動脈が狙われた。インフラが、ハッカーの攻撃に脆弱な実態が晒された。
トランプはカナダから米国南部へのガスパイプライン工事も許可したが、バイデンはこれを撤回し、産業界からは猛烈な反対の 声があがっていた。安全保障上、代替ルートがないと、産業のインフラも日常生活も危殆に瀕することは明らかである。
過去のサイバーアタックによる被害はイランのハッカーがサウジアラビアのアラムコに仕掛けたハッカー攻撃で、同社の 30000代のコンピュータが破壊された被害が最悪のケースだった。
これは隠れた戦争であり、中国とロシアはハイブリッド戦争の一環として、明らかに戦争を仕掛けているのである。戦争は戦車 やジェット戦闘機やミサイルが飛び交う旧来の発想を超えて、まったく新しいサイバー空間に移行しているのである。
それにしても、サイバー戦争がこれだけの威力を持つ時代なんですね。便利な文明を享受しているその裏には致命的な弱点があるようです。
何とも恐ろしい時代です。さて、今年は何が起きるのでしょうか。