加藤清隆さんがトランプに同情票が集まるので有利かもと言われていましたが、どうやらアメリカ人は日本人とは違うようです。
宮崎さんがそんなアメリカ人気質を書いてくれています。どうかアメリカ人がそこまでバカでないことを願います。
それにしても、この展開は有り得ることながら想定していなかったことが恥ずかしい。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和2年(2020)10月3日(土曜日) 通巻第6659号
本当に「政治は一寸先は闇だ」。トランプ大統領が入院
選挙は休戦状態、はたしてバイデンが有利か?
日本ならさしずめ同情がおきて、トランプは優位に立つだろう。
けれどもアメリカは反対である。KAL機の事故で死亡した下院議員に代わって立候補した未亡人は落選した。
1983年、オホーツク海上空でソ連のミサイルにより撃墜された大韓航空機に搭乗していたのはマクドナルド連邦議会下院議員だった。未亡人が替わりに立ったが、傲慢だといわれたため落選した。
日本なら考えられないことだろう。浅沼稲二郎の未亡人は、同情票を集めて悠々当選した。
大平首相が急逝したとき、弔い合戦とも云われた総選挙は自民党が圧勝した。
アメリカ人は忠臣蔵の涙が分からないように、あるいは中国と同じように、水に墜ちた犬は打て、なのである。
だから他人には絶対に弱みを見せない。風邪を引いていても、ファインと云う。それゆえにトランプ大統領はマスクなしで選挙運動も、ホワイトハウスの日常も、記者会見もこなしてきた。それが裏目にでた?
大統領選挙まで、あと一ヶ月。
ワシントン近郊の軍病院に入院したが、ツィッターなどで選挙運動を続けるし、入院中も指揮を執るとしているが、共和党選対は周章狼狽気味である。
この土壇場での入院騒ぎは、アメリカ的心情から云えば、バイデン有利である。せっかく失業率が回復し、バイデンを猛追していたときだけに、退院後、いかなる戦術で巻きかえすか。
さて、アメリカ人はどうするのでしょうか。金の亡者達はバイデンに傾いているようです。何と、今まではトランプさんを予測していたそうです。これは意外でした。
これも宮崎さんが詳しく書いてくれています。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和2年(2020)10月4日(日曜日) 通巻第6660号
トランプ大統領のコロナ感染で選挙戦は霧の中に迷走
ウォール街はバイデン勝利を盛り込み、市場に異変が起きている
大統領以下、ホワイトハウスにクラスター!
まさに「オクトーバー・サプライズ」だ!
軍の医療センターに急遽入院のトランプ大統領は「すこぶる元気」とツィッターに発信しており、「経過は良好」と医師団も記者会見しているが、政権の機能が痲痺状態にあるのも現実である。
オッズメーカー(ODDMAKER、賭けサイト)が米国には幾つかあるが、ラスベガスのサイトはバイデンがかなり有利、「ボーナス」という有力サイトでは、直近(10月4日、午前四時、日本時間)の予測はバイデンが61%、トランプが39%と、12%の開きが出た。
米国市場に異変が起きている。
従来は世論調査をあてにせず、投資家、ファンド筋などはトランプ勝利を前提にした投資戦略を基盤として、ポートフォリを組んできた。つまり貿易、予算、保険、税制が不変という見通しで、企業分析と産業展望を展開してきたのだ。
もしトランプ再選が失敗した場合、ポートフォリオの組み替えが必要となるのは税制、保険制度、そして資源産業になる。シェールガスはふたたび規制されることになる可能性が高いからだ。
まして民主党政権になると、予算の重きが国防より医療関係などに割かれるため軍需産業の株価に影響が出るのは中学生でも分かる未来図だが、貿易で、対中強硬策が弛緩するとなると、商社や、乙仲、倉庫業、運輸など末端に至まで、影響がでる。
ウォール街はこれまでトランプ再選を盛り込んできた。大手メディアの世論調査があてにならないこと、とりわけ左派、リベラル系のテレビと新聞はバイデン支援だから、なおさら偏向した内容で、選挙戦を伝えてきた。
もとよりウォール街は共和党支持者が多いが、近年の株式市場の特性が、IT関連、とくにGAFAが時価総額の大半を占めるという状況変化にともなった民主党系のファンドが急増していた。
選挙戦の実態はといえば、都会はともかくとして草の根では根強いトランプ支持、とくに中西部からディップサウスにかけてのエバンジュリカルの猛烈なトランプ支持集会を、メディアは意図的に報道せずに無視してきた。
「報道しない自由」という手段は左派メディアの特質的なやりかたで、いまさら指摘するまでもない。
また共和党集会にある異様な熱気が、民主党集会にはまったくない。この空気は画像や活字だけでは分からない。
それゆえ、バイデン有利としか報道しないアメリカのメディアの報道(日本の報道はその鸚鵡返しに過ぎない)を読む限りにおいてはトランプが再選されると考える人は少ないだろう。
2016年もそれで読み違えた。こんども、その読み違えがおこり、不死身の再選があると、投資家、ファンド、金融関係シンクタンクの多くは、静かに予想してきたのだが。
コロナが再び選挙戦の主要な争点となりつつあり、のこすところ一ヶ月、共和党選対本部は抜本的な戦術の練り直しを迫られている。間に合うか?
一ヶ月あればトランプさんが無事に復帰する時間はあるだけに不幸中の幸いかも。兎に角、最悪のことにならないように願うしかなさそうです。