この部屋でも何度も取り上げた堕落してしまっ た日本の経営者の中では奇跡のように輝いているJR東海の葛西名誉会長が、又しても素晴らしい発言をしてくれています。
日本の経済界にこうした素晴らしい人がもっと沢山いてくれれば日本の経済もここまで停滞することは無かったのじゃな いでしょうか。
それだけに、日本の経済の再生は難しいものがあるようです。と言うか、果たして再生は可能なのでしょうか。やはり、 教育によって一から育てなおさない限り望みは無いのかもしれません。それ程に日本の経済界の危機は大きいものがありそう です。
産経ニュースより 2015.3.9
【「改革」あれこれ】 ポ ピュリズムの病理 JR東海名誉会長・葛西敬之
2月22日、与那国島で行われた住民投票は、陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備賛成が 大差で反対派を制した。結果は当然のことであるが、国防上必要な国の意思決定を住民投票で阻止しようとした心根は民 主主義の基本ルールに反するものだった。
民主主義は、個々人の見解を「民意」に高めるための手続きである。国レベル、県レ ベル、そして市町村レベル 夫々(それぞれ)に「民意」形勢の仕組みが整えられており、対応する課題について決定する。これが民主主義のルール である。個人や徒党、自治体の首長であ ろうと、正当な責任者の正当な手続きによる決定を覆そうとする試みは、すべて誤った「実力」の行使といわなければな らない。米海兵隊・普天間飛行場の辺野 古移転を阻止しようとする沖縄県知事の言動は、その典型である。
沖縄駐在の米軍は、日本の安全保障にとって不可欠の抑止力である。その判断に立脚 し、周辺市民の「安心」にも配慮して政府が辺野古移転を米国と約束してから既に5年、今日の状況は正に国家の信義と 統治能力が問われているといってよい。
「主権国家」の安全保障問題は、当然主権者の代表である政府と国会の判断に委ねら れるべきもの。前任の知事 はそのルールに従って辺野古の埋め立て工事を承認した。現知事は辺野古移転阻止を知事選の公約として当選したが、そ のこと自体が民主主義のルールに反する ものである。このような形で日本の民主主義の機能不全を露呈することは、近隣する全体主義国家の野心を刺激して彼ら を世論操作、国境侵犯という行為に誘 (いざな)うことになる。
「民意」と言う曖昧な言葉に曖昧な迎合を示すのが、ポピュリズムである。
今年は終戦から70年を迎える。人間は年を重ねるとともに老化するが、人が作った 社会の仕組みも長年のうち に劣化する。ポピュリズムは、朽ち木に毒キノコが生えるように、劣化した社会を特徴づける病理現象である。「地域主 権」などという概念矛盾を平然と唱える 政党が、つい2年前まで政権を担当していたし、率先して支えた官僚もいた。こうした劣化した政治家と官僚の構図が、 今回のような事例の土壌なのだと思う。
先の大戦前の日本には暗殺者を民意の体現者として称揚する世論があった。制度、人 間、マスメディアともに劣化していたのだ。その結果が政治の迷走、敗戦、日本の滅亡であった。
今の政権は、筋の悪い「民意」とポピュリズムを毅然(きぜん)として退けている。 しかし、それを快(こころ よ)しとしない一部マスメディアが「民意」を囃(はや)し立てる。その構図は昔と変わらない。ここで政権が挫折すれ ば、日本は再び「地域主権」の迷走に押 し流されて亡国の道をたどるだろう。
今は日本のみならず先進国の統治システムの多くが、局部の暴走に対する統合力低下 という劣化現象を呈し、ポピュリズムという麻薬の常習状態に陥っている。その流れを止めるためには、民主的手続きの 規範力を再生させなければならない。 (かさい よしゆき)
戦後の日本の問題点をズバリと指摘してくれています。日本がここまで堕落したのは、政・官・財など日本の指導者たる 偉いさん達が何の信念も持たずただひたすらに民意に迎合してきた結果と言えるのじゃないでしょうか。
左翼マスコミになんと叩かれようが自分の信じる道を突き進むだけの信念を持った人材を育てることが出来なかった戦後 の日本の付けが今の日本の堕落をもたらしたことに間違いはないでしょう。
それだけに、この日本を再生するのは並大抵のことではないでしょう。いくらネットにより目覚める人が増えたと言えど も、再生には長い年月がかかりそうです。