レジ袋有料化

(中国ペプシ・コーラが販売している飲料「草本楽」。これは菊の花と蓮の葉のミックス味。他に棗〔ナツメ〕と枸杞〔クコ〕のミックス味がある。いずれもそれぞれの風味が豊かでおいしい。1本3元〔42円〕ほど。)

  帰国前日、成都で最も賑やかな繁華街、春熙路にある「太平洋百貨」に行ってお土産を買いました。成都にはずいぶん昔からイトーヨーカドー(「伊藤洋華堂」)があり、またいつ出店したのかは分かりませんが、西武デパート(「SEIBU」)もあります。

  私が行った「太平洋百貨」はいちおう高級デパートに分類されると思います。1階はコスメ、靴、バッグ、2階以上は服飾、最上階は家庭雑貨を販売し、地下はスーパー・マーケットになっています。日本のデパートと構成はほぼ同じですが、ただ地下階のスーパー・マーケットは、日本のいわゆる「デパ地下」とは違い、普通のスーパーです。

  「太平洋百貨」に出店しているブランド、特にコスメ、靴、バッグ関係は、シャネルだのルイ・ヴィトンだのエルメスだのグッチだのと、もはや日本のデパートとまったく変わりありません。日本企業も多く出店していました。商品の価格も日本と同じです。

  「太平洋百貨」の真向かいに「王府井百貨」というこれまた高級デパートがあり、この2店は向かい同士ということもあって、互いに熾烈な競争を繰り広げているようです。

  私はこの「王府井百貨」にも入ってみましたが、「太平洋百貨」と店の構成や出店しているブランドもほぼ同じでした。2店はともに活気に溢れ、ほどほどにお客がいて、店内を歩いていると店員がしきりに声をかけてきます。

  ただ、「太平洋百貨」には地下にスーパー・マーケットがありますが、「王府井百貨」にはスーパーがありませんでした。でも「王府井百貨」の1階にはスターバックス・コーヒーが入っており、おいしいコーヒーを飲むことができました。スタバの価格も日本と同じか、もしくは日本よりもやや高めだと思います。

  地下にスーパーがあるという点で、個人的には「太平洋百貨」に軍配を上げます。

  「太平洋百貨」の靴を販売しているエリアを通ると、冬目前ということもあってか、今はブーツがメインに出されていました。デザインはいずれもおしゃれで形も質も良く、日本でも穿けそうなものばかりです。10年前、中国の服や靴は、たとえ高級百貨店で売られているものといえど、とても日本では着られない、穿けないようなダサダサなものばかりだったのに、まったく長足の進歩を遂げたものです。

  で、ついハーフ・ブーツを買ってしまいました。店員に頼むと、試し履きにも、サイズ違いを取りに行くのも、気軽に応じてくれます。態度も親切でした。店員が私の足のサイズのブーツを取りに行っている間、店内のソファーに座って待っていると、隣でやはりブーツの試し履きをしていた女性客が話しかけてきました。

  彼女は同じデザインのハーフ・ブーツで、黒と淡いグレーとのどちらにしようか迷っていて、「あなたはどっちの色がいいと思う?」と聞いてきたのです。私は「あなたは普段、どんな服装が多くて、どんな色のものを多く着ているの?」と尋ねました。彼女は「スカートが多くて、グレーが多い」と答えました。

  淡い色には淡い靴、濃い色には濃い靴、というのが無難な選択でしょう。でも、パンプスなどと違い、ブーツなんてそんなに数を持つものではありません(少なくとも私は)。それに、彼女は店員がいないのに乗じて、「ここの靴は値段が高いわよね」とつぶやきました。どうせ高い買い物なら、使い回しがきく色がいいだろうと私は思ったので、「黒ならどんな色の服にも合うと思いますよ」とアドバイスしました。

  やがて店員が私のサイズのブーツを持ってきました。隣の女性客はまだ悩んでいました。試し履きしたらちょうどよかったので、それを購入しました。値段は598元(8,500円くらい)でした。

  それから地下のスーパー・マーケットで買い物をしました。日本のスーパーと違うのは、陳列棚ごとに店員が1~2名待機していることでしょうか。せっかく成都に来たんだから、成都の特産がいいよなあ、と思って見て回っていると、どうも成都の特産はビーフ・ジャーキー(「牛肉干」)らしいのです。

  「成都のお土産で~す♪」と言って、ビーフ・ジャーキーを真っ昼間から同僚たちに渡すのはいかがなものか、と迷ったと同時に、「もしかしたらビーフ・ジャーキーは、成田の税関で引っかかる(没収される)かもしれない」ということに思い当たりました。確か肉類は、生はもちろん加工品もダメだったはずです。ここ数年来問題になっている、肉由来のナントカ病のせいですな。

  四川といえばパンダ、パンダといえば四川、パンダ型のクッキーとかチョコレートとかキャンディとかはないのか、と思って探しましたが見つかりませんでした。2年前に中国に来たとき、北京市内のスーパー・マーケットにはあったんですが。

  迷っていると、エレベーターの横の陳列棚に「成都特産」という文字を見つけました。それは成都特産のお菓子でした。「酥(スー)」といって、柔らかい落雁みたいなお菓子です。小麦粉を主原料とし、ゴマやピーナッツの粉が入っています。

  これは絶対に税関で引っかからないはずだし、なにより軽いので持って帰るのに便利です。さっそく必要な分だけ購入しました。

  「酥」は軽いですが非常に柔らかいので、型崩れを防ぐために箱詰めにされています。レジで清算すると大きなプラスチック袋にすべて入れてくれましたが、箱の角張った部分で袋が破れるかも、と思い、「もう1枚袋を下さい」と頼みました。

  すると、店員は「2枚目からは1枚3毛(4~5円くらい)です」と言いました。なんとレジ袋が有料化されていたのです。日本にもエコの観点からレジ袋を有料化しているスーパーやコンビニがありますが、エコの波が中国にも、しかも四川なんて地方にも及んだか、と驚きました。

  ホテルまでタクシーで帰り、近くの小さなお店で飲み物を買いました。上の写真にある中国ペプシ・コーラ社製の「草本楽」シリーズが気に入ったので、成都にいる間はほぼ毎日飲んでいました。2本ほどを持ってレジで清算しましたが、店員が袋に入れてくれません。「袋を下さい」と言うと、なんと店員、「3毛だよ!」と無愛想に言ってのけたではありませんか!

  高級デパートでさえ1枚目の袋は無料だったのに、こんな小さな店が1枚目の袋をケチるのか。しかも、デパートの袋は大きくて厚みのあるしっかりした袋でしたが、この店で使っている袋は小さくて薄っぺらく、日本のスーパーでいえば生鮮食品を入れるときに使う薄い袋並みの安っぽいものです。

  これはもう完全にエコではなく単なるケチであり、しかもエコにかこつけてこすい金儲け(たった3毛)を狙ったものだ、とプチ腹が立ったので、「じゃ、いらない!」と私も無愛想に言って店を出ました。

  両腕に高級デパートのデカいプラスチック袋と紙袋をぶら下げ、更に両手に2本のペットボトルを握りしめた私の姿を見ても、ドアボーイのお兄さんは冷静な表情で黙ってドアを開けてくれました。でも、外から見ればヘンな姿だったろうなあ。

  それにしても、エコの取り組みを即座に金儲けの取り組みに変える中国人恐るべし、と彼らのたくましさにちょっと感心(?)しました。 
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コメント
 
 
 
やっぱり? (レモン)
2009-11-08 22:41:12
中国旅行記、楽しく読ませていただいてます。
すべて珍しく、私もチャンスがあればぜひ行きたいです。

レジ袋の件、絶対儲けてますね。
ただし、日本も同じと思っています。

今日、某道の駅に寄ったのですが、ここはいつもレジ袋5円なんです。
家に何枚も貰い物のエコバッグがあるのに、なぜかここに行くときは絶対持ってないんですよね。
ところが、私が買う物は袋なしじゃ持って帰れないものばかりなんですね。
乾燥芋6袋とかヨーグルト2個とかその他細かくて。

取れる所からはなんとかして取る態度ですね。

日本のデパートも駐車料金2時間以上は絶対サービスしませんね。
何万円買おうとも。
最近デパートへ行っても、小さな抵抗をして、外の@ックで100円バーガーを食べることが多いです。
買い物と食事を線引きしました(せこい...)

でも外国へ行ってその国ならではのセコさを見たりするのも楽しいですよね(笑)

写真も楽しいです、また紹介してくださいね♪
 
 
 
Unknown (猫真)
2009-11-09 07:54:26
わはは・・・
中国人のガッチリ、せこい性格、すごく納得。
いわゆる普通の感覚のヒトもいるはずなのに、なぜか、この店員のような無愛想なヒトって目立ってしまいますね。
国家方針も、エコ対策→セコ対策になるところが、まったく中国らしい。
 
 
 
ほんとに驚きました (チャウ)
2009-11-09 23:42:00
私がよく立ち寄る近所のお店では、レジ袋を有料にしているところはなぜかありません。

確かにレジ袋というのはどんどんたまっていって、結局はゴミとして捨てる破目になるので、カバンに余裕のあるときに「あ、袋はけっこうです」と断る小さな努力をしています。

東京では、地域(区や市)によって、「レジ袋有料化」を採用したりしていなかったりするのではなかったですか?

日本のほとんどのお店は、確かにエコの観点からレジ袋を優良にしていると思うのですが、上の記事に出てくる成都の小さな商店は、明らかに「セコの観点」から「レジ袋有料化」を採用したのだと思います(笑)。

でも、その時は「セコいな~」と思っても、後でなぜかほほえましく感じてしまうんですね。うん、中国人はこうでなくちゃ、とさえ思います。
 
 
 
中国にもエコの波が? (ここなっつ)
2009-11-11 09:17:45
お久しぶりです!
「草本楽」、私も飲んでみたいなぁ。ペプシ・コーラ、ちゃんと地域限定商品で稼いでいるんですね。

「エコ」と「セコ」ですかぁ(笑)。でも、「セコ」くても「エコ」やった方がいいと思います。人口の多い国ですから、地球規模で考えると、やるのとやらないのでは 大きな差が出ますからね。

私は、普段使うバッグの全てに「エコバッグ」と老眼鏡を入れてあります。近所のクリーニング屋さんには針金ハンガーを返却し、「いつもありがとう」と、料金をまけてもらっています。クリーニング屋さんにとっては、針金ハンガーも経費のうちなんですよね。
 
 
 
エコ、なんでしょうか (チャウ)
2009-11-15 01:15:40
「草本楽」、ほのかな甘みはありますが、あっさりしていて、とてもおいしかったです。日本で販売しても売れるんではないか、と思いましたよ。

レジ袋が有料になっているのにはびっくりでした。北京、上海をはじめとする主要都市もそうなっているんでしょうか?

上海は来年(でしたっけ?)万博がありますから、エコ運動にも力を入れているかもしれませんね。

中国に今度行ったら、エコバッグを探してみます。
 
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