居場所

  相変わらず更新がなくてすみません。おかげさまで、仕事の忙しさの山は越えました。ところが、一段落した途端に疲れがドッと出てしまったようです。しつこい頭痛(バファリン飲んでも効かない!)、全身倦怠感、軽い胃腸炎などが同時勃発した上に、昨日なんか地下鉄の階段ですべって転び(雨でぬれていた)、足首の皮膚がヨコ3センチにわたってべろん、と削げて垂れました。でも靴や服を汚さずに済んだので、それに一番ホッとしている私はやはり女、と思いました。不思議なのは、皮膚が削げたのにストッキングは無傷だったことです。優れた伸縮性のなせる業でしょうか。

  時間ができたので、久しぶりに本を読みました(だから心の休養は必要なのよ~)。まず、「毎日かあさん」(西原理恵子著、毎日新聞社)の第3巻「背脂(せあぶら)編」が出ていたのでさっそく購入。今回も大いに笑わせてもらったと同時に、ほのぼのした気持ちになったり、しんみりした気持ちになったり、サイバラ作品を堪能しました。それにしても、西原理恵子の描く海の色は、吸い込まれるように深くて濃い青で、ほんとにきれいだよね。

  あと、齋藤学の新刊もあったので買いました。「自分の居場所のみつけかた」(大和書房)。齋藤学の前の著書、「男の勘ちがい」(毎日新聞社)では、なんか文章が虚無的というか、厭世的というか、投げやりというか、全体的に絶望感が漂っている感じで心配だったのですが、「自分の居場所のみつけかた」では、この人独特の、シニカルで冷めたユーモアのある文章になっていたので安心しました。 

  齋藤学は一時マスコミにバッシングされましたが、まったくめげてないどころか、逆にそれを面白がってるのが痛快でした。この人はさまざまな「患者」とその家族のありようを、長年にわたって見つめ続け、それに関わってきた人ですから、もう多少のことでは動じなくなっているのでしょう。
  しかも、齋藤学は常に「患者」とその家族を突き放して見ていて、その記述は時に冷たいと思えるほど客観的でシンプルです。この「自分の居場所のみつけかた」でも、「まあ、みなさんもその気があるなら試してみれば?」という感じで、これがまた読者と「適正距離」を保っていて非常によろしいと思います。

  今ワイドショーが大騒ぎしている秋田の児童殺人事件の容疑者などは、齋藤学に診察してもらうべき人だったろうと思います。新聞や雑誌の報道から感じるのは、おそらくは彼女自身が、かつては被虐待児童であったのだろうということです。しかもかなり深刻な虐待を受けた人だろうと感じます。
  というわけで、まず心理療法士をやってる人に聞いてみました。私「あの人、病気でしょ?」 心理療法士「うーん、そうだねえ。」 私「あなた治せる?」 心理療法士「来て話をしてくれればねえ。」
  次に精神科医をやってる人に聞いてみました。私「あの人、病気でしょ?あなたならどうやって治す?」 精神科医「話をさせて、つまり子どもの頃からの悲嘆を出させるかな。」
  二人とも「まず話をさせる」という点で一致しました。あの容疑者から真っ先に聞き出す必要があるのは、彼女自身の被虐待歴なのかもしれません。

  最後はヘンな話になっちゃってごめんなさい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )