ケリー、バランシン

  まずは、サイトの更新が遅れてしまってすみません。例によって仕事が忙しいためです。来週には楽になりますので、なるべく来週にはまとまった更新ができればと思います。
  といいつつ、青風さんから教えてもらった「ザッツ・エンタテイメント3」(94年)と「ザッツ・ダンシング」(85年)を観ました(心の休養は必要なのよ~)。「ザッツ・エンタテイメント3」には、ジーン・ケリー振付・主演の「十番街の殺人」の一部が、「ザッツ・ダンシング」には、ジョージ・バランシン振付の「オン・ユア・トウズ」から「王女ゼノビア」パ・ド・ドゥの一部が収録されています。

  ジーン・ケリーの「十番街の殺人」はなんだかポップで明るい感じで(ストーリーは楽譜のト書きの通りらしいですが)、クーパー君がやった「オン・ユア・トウズ」の「十番街の殺人」とは、雰囲気がだいぶん違います。
  でもケリーの振付は音楽のツボをしっかり押さえてあってカッコいいです。またケリーの踊りはやっぱり卓越しています。顔はハンサムとはいえないし、体型もずんぐりむっくりですが(ファンの方ごめんなさい)、ケリーの踊りには一種の「色気」のようなものがあります。私はケリーのタップ・ダンスよりは、普通のダンスのほうが好きです。

  バランシンの「オン・ユア・トウズ」はモノクロでした。全編を収録した映像版が出ているかどうかは謎ですが、映像そのものはどこかに残っているようです。
  ゼノビア(ヴェラ)役はヴェラ・ゾリーナで、貧しい青年(コンスタンティン)役はチャールズ・ラスキーという人です。ヴェラは白い短いチュチュ、コンスタンティンは上半身裸に短いボロボロのズボン、という衣装です。
  振付は当たり前ですが純粋なクラシック・バレエです。でもコンスタンティンとヴェラが両腕を複雑に交差させて絡み合わせたり、コンスタンティンが太腿やふくらはぎでヴェラの体を支えたりと、面白い動きが入っています。

  「ザッツ・ダンシング」にはこの他、ミハイル・バリシニコフが踊る「海賊」第二幕よりアリのバリエーション、ロイ・フラー、イサドラ・ダンカンの踊る映像、アンナ・パブロヴァの踊る映像と彼女が出演した映画「ポルチシの唖娘」の一部、映画「赤い靴」の一部、タマラ・トマーノバの踊る「ドン・キホーテ」第三幕グラン・パ・ド・ドゥよりキトリのバリエーション、映画「回転木馬」よりジャック・ダンボワーズ(NYCB)のソロ、ルドルフ・ヌレエフとマーゴ・フォンテーンの踊る「海賊」第二幕グラン・パ・ド・ドゥのコーダが収録されています。

  中でもすごいのが、ミハイル・バリシニコフが踊る「海賊」のアリのバリエーションで、ジャンプした途端に空中で体全体を回転させながら、更に両脚をねじるようにして下半身を半回転させています。
  あと、アンナ・パブロヴァが、両足を揃えてポワントで立ち、それからゆっくりと片脚を上げてアラベスクをするのです。最初から片足ポワントでアラベスク、というのは普通に見ます。でも最初は両足ポワントで立っていたのが、それから片足はポワントを保ちつつ、もう片脚を上げてアラベスクをする、というのは可能なのでしょうか。誰か後ろで支えていたのをカットした映像ではないかと思うのですが。

 「ザッツ・エンタテイメント」シリーズと「ザッツ・ダンシング」は、主にMGMミュージカル映画のいいとこ取りをした映画ですが、バレエを含めたダンスの歴史が分かって面白いです(青風さん、教えて下さってどうもありがとうございます)。「ザッツ・エンタテイメント」の1と2も観てみようかな、と思っています。
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