昨夜テレビで、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」を観た。
納棺師の仕事を目の前にした経験はずいぶんあるが、私の田舎では納棺の時には、誰かが小さな鐘を鳴らし続けるのだ。鐘を鳴らすのはほとんど、年配の女性の役割である。
家族や親戚が見守る中、旅立ちの服装に着替える。周囲は静寂に包まれ、鐘の甲高い響きが、気重になる静けさをかろうじて打ち破ってくれる。
鐘の音を聞きながら、納棺師の動きを目で追い、それぞれが個人に別れを告げる。
私は母の納棺の時、納棺師にお願いし、母の足の爪切りをした。
長い間入院していたので、爪が伸びていた。浄土への長旅には爪を切らなければならないと、とっさに思いついたからだ。鐘の音が響く中、冷たい足をつかんでいた感触が映画を観てよみがえってきた。
主演の本木雅弘の誠実な表情に好感を持てた。
しかしなんといってもこの映画は、脇役俳優の演技の確かさだ。
本木の妻役の末広涼子、納棺師の社長役の山崎務、それに、事務員役の余貴美子である。納棺師は目立たない職業なので、脇役を固めた滝田監督の采配振りが見事である。
随所に展開する、撮影場所の山形県庄内の田園風景が心を和ませる。
その土地で生まれ、その土地で生き、その土地で死を迎える。
この映画は、死者を平等に取り扱っているというのが、観るものに安心感を与えているように思う。
私は映画の最後に、私の村やこの近隣の町で葬儀の仕事をする、N葬儀社の社長のことを思い出していた。
最近の田舎の葬儀は、今までは葬儀委員長は議会議員が努めていたが、市町村合併後は葬儀社が委員長を務めるのが多くなってきた。
N葬儀社の社長は、方言で少し訛っているのが、地域性が出ていてなかなか心に響くものがある。
いつも最後には、こんな言葉でしめっくくる。
「00さんは、この土地で生まれ、この土地で家族を養い、この愛する故郷のちちに(土に)帰ります」
私はこの言葉が大好きである。
心にもない美辞麗句を並べ立てる議員さんより、私より2つほど年上のこの葬儀屋の社長が、心のこもった「おくりびと」であると思っている。
納棺師の仕事を目の前にした経験はずいぶんあるが、私の田舎では納棺の時には、誰かが小さな鐘を鳴らし続けるのだ。鐘を鳴らすのはほとんど、年配の女性の役割である。
家族や親戚が見守る中、旅立ちの服装に着替える。周囲は静寂に包まれ、鐘の甲高い響きが、気重になる静けさをかろうじて打ち破ってくれる。
鐘の音を聞きながら、納棺師の動きを目で追い、それぞれが個人に別れを告げる。
私は母の納棺の時、納棺師にお願いし、母の足の爪切りをした。
長い間入院していたので、爪が伸びていた。浄土への長旅には爪を切らなければならないと、とっさに思いついたからだ。鐘の音が響く中、冷たい足をつかんでいた感触が映画を観てよみがえってきた。
主演の本木雅弘の誠実な表情に好感を持てた。
しかしなんといってもこの映画は、脇役俳優の演技の確かさだ。
本木の妻役の末広涼子、納棺師の社長役の山崎務、それに、事務員役の余貴美子である。納棺師は目立たない職業なので、脇役を固めた滝田監督の采配振りが見事である。
随所に展開する、撮影場所の山形県庄内の田園風景が心を和ませる。
その土地で生まれ、その土地で生き、その土地で死を迎える。
この映画は、死者を平等に取り扱っているというのが、観るものに安心感を与えているように思う。
私は映画の最後に、私の村やこの近隣の町で葬儀の仕事をする、N葬儀社の社長のことを思い出していた。
最近の田舎の葬儀は、今までは葬儀委員長は議会議員が努めていたが、市町村合併後は葬儀社が委員長を務めるのが多くなってきた。
N葬儀社の社長は、方言で少し訛っているのが、地域性が出ていてなかなか心に響くものがある。
いつも最後には、こんな言葉でしめっくくる。
「00さんは、この土地で生まれ、この土地で家族を養い、この愛する故郷のちちに(土に)帰ります」
私はこの言葉が大好きである。
心にもない美辞麗句を並べ立てる議員さんより、私より2つほど年上のこの葬儀屋の社長が、心のこもった「おくりびと」であると思っている。