今日もいい日だ

民主党の閣僚が決まりだしている。
なかなか期待感の持てる名が出てきた。副総理・国家戦略局（党政調会長兼務）が、菅直人さんである。
「イラ菅」（イライラするから）と呼ばれる菅さんだが、のらりくらり既得権を守ろうとする官僚に対し、おおいにイラつく菅さんの采配振りが楽しみである。個人的な思いであるが、できればそのスタッフに、寺島実朗さんや金子勝教授を起用してもらいたいものだと思っている。
小泉政権後に、あっという間に３人の自民党総理が代わったが、そのたびに新鮮味とまるで期待感のない人事に、飽き飽きしていた国民にとって、毎日発表される民主党人事は、久しぶりに、朝刊も見る楽しみが増えてきたのではないだろうか。世の中こうでなきゃ、明日がつまらない。
そんな一日の始まりだが、北海道の片田舎の私の村は、今日も早朝から海霧が立ち込め、昆布漁も中止だ。波もなくサーファーも一人もいない。日曜なので、田舎の国道は車の往来も少なすぎる。今日はさびしすぎる１日になりそうだと思っていたら、防災無線から村民のお悔やみ放送が流れた。
町内会長始め、村の様々な役職を長い間勤めてくれた、男性である。
戦後間もない頃、知人を頼って東京から、この村にやってきた人である。
その男性から聞いたことがあるが、バスで初めて村に来たとき、そのバスに乗り合わせて話をしたのが、私の父だという。
多分見知らぬ顔で心細そうにしていたので、話しかけたのは、私の父のほうだったに違いない。
その後東京から来たというので、様々な見聞があるのを見込まれ、村の役職に選ばれ、貢献されたのだろう。
私も一時村を離れたことがある。再び帰ってくると、村の人々の考え方と、微妙な違いを感じ、それが今日でも尾を引いている。
その方もよそから移り住んで、真にこの村に馴染めたのだろうかと、ふと思った。
海霧に覆われだ漁村で、また村民が一人、静かに浄土世界に旅立った。
「ごめんください」と、近所の漁師のおばさんの声が聞こえた。
「この間のチーズケーキうまかったよ。今朝とれた甘海老食べて頂戴」
子持ちの大振りな甘海老である。思わず私たち夫婦の顔がほころんだ。
今日もいい日である。