函館で買い物をし、午後6時過ぎに家に戻ってきた。
その帰りの走行中のことである。買い物を済ませ妻と運転を交代し、私はいつもの通り、助手席でグビグビッと缶ビールを飲んでいた。
「後ろの車、近所のMさんの様だが、私の車を抜きたいような運転している」と妻が言う。
今走っている場所は、追い越し禁止車線なので、それが無くなったら、先に行かせてあげるようにと指示した。その通りにMさんは速度を上げ追い越していった。
彼女の車の後部座席にはダンボール箱が積んであった。
その日は彼女の仕事が休みの日だった。おそらく一週間分の買い物をして、家で待っている家族に夕飯を作るため、急いでいたのであろう。
トンネルを抜けてすぐ、パトカーが待っていた。
田舎の国道のそれも午後6時、人も犬も歩いていないし、車だってまばらだ。
それでなくても生活が大変な昨今、いくらの罰金を徴収したのだろうか。
まるで追いはぎではないかと怒りが頂点に達する。
ビールを飲んでいる勢いで、車を降りて難癖つけてやろうと思ったが?それでは逆に公務執行妨害で逮捕されるので、思いとどまった。
親切なお巡りさんも多いが、私は若い頃に受けた警察の居丈だけな態度に対し、
とにかく警察が大嫌いなのだ。
その後地元のお巡りさんに出会ったので、つい一言。
「暗い中でライトを消し、ひっそり隠れているなんて、嫌いだね」
お巡りさん無言を通した。
速度違反で捕まったMさんは、翌朝早くから仕事に精を出していた。
違反金を支払うのに、何日働かなきゃならないのだろうかと、ふとそんな考えが頭をよぎった。