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函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

「漁師見習NO41」戦意喪失なれど

2009年09月11日 13時10分27秒 | えいこう語る
8月24日から、昆布漁に出漁していない。うねりが続いたり、風が吹いていたからだ。
連続5日出漁のときは、今日もまたかとさすがにため息が出た。
しかし、こうも長く出漁しないと、早く海に出たいと思ってくる。
女性で昆布漁に出ている最高齢(70歳をとっくに過ぎている)の方も、先日「体がなまってしまいそうだ、はやく沖に出たい」と話していた。・・・気合充分のおばさんだ!
私も出漁がなく、肉体労働がなかったせいかせいか、体重が1キロ増加した。
昨夜、就寝前に海の様子を見に外に出た。
「明日は、昆布採りだぞ。朝食を用意しておけ」と、鼻息も荒く妻に命令した。
目覚ましが4時に鳴る。寝床で耳を澄まして波の音を聞くと、チャプンという静かな音だ。
「よし!」と、気合を入れて蒲団から這い出し外に出た。
まだ真っ暗だが、水平線のあたりは日の出の予感がして、ほんのり明るい。
雲は若干あるが、どうやら晴天になりそうだ。波は眠っているように穏やかだ。
出漁着に着替え、バナナと大福餅一個と水分を補給した。
再度海の様子を見るのに外に出た。
な、なんと!漁業組合の鉄塔に、中止の回転等が元気溌剌に回っているじゃないか。
へなへな、という気分だ。一気に戦意喪失である。
食事はとったし、もう一度寝る気にもなれない。そのまま散歩することにした。
途中で漁師に出会ったが「何で中止になったのか?」と首をかしげていた。
水平線の雲間は、オレンジ色が次第に濃くなっていく。まもなく夜が明ける。
鎖につながれている犬たちが、私に向かって吠える。
「散歩に連れて行って」と、叫んでいるようだ。
砂浜に降りてみたが、サーファーは一人もいない。もちろんサーフィンできるような波ではないからだ。
朝日が昇ってきた。戦意喪失した私の魂を、急速充電してくれる。
「♪明日は東京へ出て行くからは~何が何でも勝たねばならぬ~」
普段歌いもしない「王将」の歌が、口から飛び出した。
天気晴朗波低し。
明日の13回目の昆布漁を前に、いまだに緊張感を覚える、漁師見習いである。