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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ワンコもニャンコも、いつしか、ここに。

2019-08-20 23:05:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うおおッ、かみなりィ~!」
「がるる!ぐるがるっ!」(←訳:虎です!豪雨来たっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 雷鳴――
 ワンコと愛犬家さんにとっては大いなる天敵ですね。
 遠くでゴロゴロという音がし始めたら、
 さあ、テーブルの下に避難した愛犬家さん&ワンコたち、
 そして活字マニアさんたちも、
 こちらの御本で、しばし楽しいひとときを、どうぞ~♪

  


 
          ―― 毛玉堂 ――



 著者は泉ゆたかさん、2019年7月に発行されました。
 《お江戸けもの医》と副題が付されています。

「たしかにィ、けだまッ!」
「ぐるるるがるるるぅ!」(←訳:コロコロしてるねぇ!)

 おとないちあき さんによって描かれた表紙装画の、
 コロッコロな仔犬たちの、なんと可愛らしいことでしょう。
 こんな風に、白・黒・茶色のワンコたちが
 嬉しそうに遊びまわっているのは、
 《毛玉堂(けだまどう)》の庭先です。

 毛玉……という名前、いえ、屋号から、
 愛犬家さんも愛猫家さんも、
 ええ、もう分かっちゃってますよね、
 ここは――

「どうぶつゥびょういんッ!」
「がるるるるる~!」(←訳:獣医さんの家~!)

 お江戸のむかし、
 獣医という言葉はなく、
 犬医者、という呼び方をしていたようです。
 お城には馬医者さんもいたでしょうし、
 都会を離れて田舎へ行けば
 牛のお医者さんもいたでしょうか。

 《毛玉堂》のあるじ、
 吉田凌雲(よいだ・りょううん)さんは、
 もともと人間相手のお医者さんでした。

 けれど、ある出来事をきっかけに
 “ヒトの医者”から
 “動物のお医者さん”へと
 転身することになったのです。

「すてられてェいたのでスゥ!」
「ぐるがるるる!」(←訳:白いワンコが!)

 荒縄で、庭の生垣につながれていたのは
 白い犬。

 肌は赤く腫れ、
 ところどころ毛が抜け、
 手足は痩せ細って、
 ひどい有り様。

 凌雲さんと、妻の美津(みつ)さんは
 心をこめて白い犬の世話をし、
 白太郎と呼ばれるようになったワンコは、
 賢く、情の深い忠犬に生まれ変わりましたが。

「ひゃあッ! またァでスよッ!」
「がるぐるるぅるる!」(←訳:庭にワンニャンが!)

 この家ならば、
 行き場のない動物を喜んで引き受けてくれる、と
 噂になって。

 仔犬が、
 仔猫が、
 立て続けに庭先に放り込まれる事態に?

 さらに、美津さんの友人・お仙ちゃんは
 人間の子どもまでをも……?!?

「ちょちょちょッとォ~!」
「ぐるがるるるぅ!」(←訳:それダメでしょ!)

 優しい美津さんもこれには怒りました。
 怒りましたが、
 威勢のいいお仙ちゃんになんとな~く押し切られ、
 善次と名乗ったその子を
 《毛玉堂》で預かる羽目になってしまったんです。


「あまァ~いィ!」
「がるるる!」(←訳:甘過ぎる!)

 生類憐みの令は既に無く、
 人と動物たちがの~んびり共存していた
 明和5年(1768年)。

 《毛玉堂》にやって来るワンニャンたち、
 お江戸でいちばんの別嬪と評判のお仙ちゃん、
 うさぎマニアの画師・春信さん、
 小さな善次くんも実は……と、
 江戸アート好きさんをニヤリとさせる
 あの人&この人が登場する
 お江戸版“動物のお医者さん”は
 短編5作品から成る連作ミステリでもあります。

 動物好きさんも
 時代小説好きさんも、
 もちろんミステリ好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪