昭和43年に始まる50年間の岩手県出身の一作家・思想家とその家族・親族・友人の南米移住生活の実態を追ったNHKドキュメンタリー。
「移住10年目の乗船名簿」は、昭和53年、「同20年目の・・・」が、昭和63年に、更に、「同31年目の・・・」が、平成11年に放送された。
各節目で過去と現在を行きつ戻りつしながら、番組を構成していた。
10年目の放送では、私の大好きな亡き中西龍アナによる語りで、番組内容と絶妙にマッチ。
移住の記録は、昭和43年3月2日、横浜港出港の、当時、大阪商船(株)所有・運航の南米東岸航路に投入されていた貨客船「あるぜんちな丸」による49日間の太平洋横断、パナマ運河経由、ブエノスアイレス港着、そこから、更に、パラグァイの首都アスンションへ向かうもの。
過酷な日常生活や原生林の開墾作業、安定経営に向けた農業や地域住民との融和等々、筆舌に尽くし難い半世紀。
武者小路実篤と親交を交わし、「新らしき村」構想に参加せるも、単に農業をやるとかではなく、新しい文化を創りたい、とパラグァイ行きを決意した彼の思いが脈々と受け継がれ、現地に根付き、広まる姿は感動的だ。
なかなか素晴らしい、息の長いNHKならではの企画、番組だった。
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