#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Nov_17】樺太会館・飯倉セントラルビル

2018-11-18 | TOKYO
飯倉片町の交差点で愕然とした。
「樺太会館・飯倉セントラルビル」が不在。
エアーパーキングという駐車場になっていた。

樺太会館・飯倉セントラルビルは、
ボクにとっての黒歴史とも言うべき、
ハヤサキスタジオのあったビルである。

→過去ブログ「そこに在る、ということ

1965年建立のビルであり、「全国樺太連盟」という戦前に樺太に居た日本人の、
シベリア抑留の歴史を伝える人たちの拠り所であった建物なのだけど、
もはやそのような人々も皆鬼籍にはいり、組織自体も縮小してしまったのだろう、
平成25年にビルが売却され、おそらく即取り壊されてしまったのだと思う。

5年間知らなかったのも情けない話だけど。

プロカメラマンを目指し挫折した22歳の自分が苦しんだ場所。
苦い思いを宿しながら夜中の首都高を見下ろしていたビルが、
こうもあっけらかんと不在になることの、裏切られた感じ。

礎となった記憶が、奪われてしまったような、
黒く塗りつぶされてしまったような、釈然としない思いに囚われた。

「おいおい、おまえはそこにずっと在って、
 その後の自分を見下ろす存在でなければ駄目なんじゃないか。」


そんな思いが錯綜する。

新ビルとして建て替えられていたなら、まだ救われていたかもしれない。
こんなカタチで不在を見せつけられてしまうと、22歳の自分が損なわれたようで、ほんとやるせない。

たかだか50年ほどの建物が、
こうやって簡単に、この世から消されてしまう無念さ。

オキナワ時代の知人が自ら命を絶った…という話も聞かされ、二重の不在が重なり、
「間違っていると知りながら前に進むしかない現実」
の虚空を見上げるのだった。







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【Nov_17】平松麻『境に浮かぶ雲』

2018-11-18 | ART
平松麻『境に浮かぶ雲』@gallery SU

飯倉の交差点から一段下がった位置にある旧狸穴、麻布台3丁目のギャラリーで対峙。
2ヶ月半もの時間を掛け油彩とヤスリで内省の風景をキャンバスに浮かび上がらせる作風。
ものすごい質量が画面から伝わってくる。麻さんの行為が堆く重なり合って「実在」している。

時間の可視化。

限りある人生の持ち時間の、少なからぬ量を一枚のキャンバスに注ぎ込む、その集中力。
そうすることで内風景が外風景と地続きになる…という、もはや祈りに近い作品だと思った。

「うちとそとをつなげたい」それは真理だとボクも思っていて、
そのような働きかけが世界を可視化するとも気づいている。

だからこそ対となった、制作過程の副産物である立体『哲学者』が愛おしい。
きっとこの立体にこそ麻さんの拠り所があるように思う。25日まで。

#photobybozzo

会場となったGallerySUは、
和朗フラット四号館と呼ばれる昭和11年建立の洋風賃貸アパートメントにあり、
1936年から82年の月日を経た空間で、作品との呼応が素晴らしかった。
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