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#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【bozzo】劉暁波氏受賞の意味

2010-10-09 | CHINA
10月9日、土曜日。
昨日までの天候とは打って変わって
どんよりとした曇り空。

室内灯をつけないと、
パソコン画面が目に痛いほど明るい。

      ●

今朝の新聞でノーベル平和賞が
中国人権活動家の劉暁波(リウシアオポー)氏
に決まったことを知った。

一党独裁を強く批判し、
多民族国家中国の民主的立国を目指している
…との劉氏の主張を読んで、

「雲南少数民族の写真群は、その証になる!」

…と強く思った。

今写真展を企画していて、
そのタイトルを「你好!素顔!」にしようと
考えていたのだけれど、
その副題として「多民族国家中国の素顔」を
入れるべきだ…と合点。

雲南の奥地に足を踏み入れて、そのpassiveな生き様
…受動態というネガティブな意味ではなく、
「passする態」環境を受け、環境を渡す
…その関係性を大切にした生き様に感動し、
シャッターを切ったのだけれど、

少数民族のことをよく知ろうと昆明の書店に立ち寄り、
その書籍の品揃えに愕然としたのを、思い出す。

「これが中国なのか」

そう思えるほどのジャンルの偏り、内容の浅薄さ。
66年、毛沢東が行った「文化大革命」という名の粛清運動。
あの時以来中国は、常に人民を操ることで国家を持続させてきた。

…その事実を見る思いだった。

実用書とビジネス書、そして男と女の生き方本など、
書棚にあるのは、新刊書ばかり。
もちろん外国人が中国を語った本などあるはずもない。

ボクらが求めた少数民族の生き方を広くまとめたような本も、
旅行書の「雲南」という項目で紹介される程度でしかなく、
「おいおい、コレなら日本のほうが情報あるぞ」と
突っ込みを入れたくなる乏しさ。

中国三千年の奥深き思想は、文革以降完全に抹消され、
国家に粛清され、操作された情報のみを享受する今の中国人。

世界に対してある種偏った思考で、
経済大国2位まで上り詰めたその不均衡さが、
昆明の街のあちらこちらに染み出ている。

しかし、雲南でパッシブライフを営んでいる
ボクらが見たペーやミャオやハニ、イ族の人たちは、
しっかりと地に足をつけて、世界と対峙していた。

劉氏の受賞は、
この不均衡国家中国の限界を露呈する契機となった。

ボクはボクなりの実感を、
写真展というカタチで世に伝えたい。

中国のフィルターを通し、
見失ってしまった人間本来の感覚を呼び戻したい。

その思いを強くしたニュースだった。