私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

磐姫皇后の嫉妬(うはなりねたみ)④

2009-07-03 12:26:52 | Weblog
 さて、また、磐姫皇后と黒姫に戻ります。黒姫は磐姫皇后の嫉妬に恐れて吉備の国に難波の港から船で逃げ帰ります。
 その出船を見送って作った歌が、あの沖へには・・・・の歌です。

 その歌をお聞きにたった磐姫皇后は、その船出した黒日売が憎くて憎くてたまりません。
 古事記には
 「大忿」と書いて(いたくいかりまして)と読ましています。激怒して言葉にならなかったのではないかと思います。「アシモアガガニ」どころの話しではありません。物凄い様相で目はつりあがり、般若よろしく口は真一文字にきりりと引きあがり、そうでなくても不美人の后です。見るからに悪魔のような形相をして、周りにいるご家来衆に命令します。
 「今出て行った黒日売の乗ったあの船を追いかけて捕まえ、その船からあのにっくき黒日売を引きずり降ろして、帰りたいのなら吉備の国まで自分の足で歩いて帰らせなさい」
 と。
 「追下而自歩追去(おいおろしてかちよりやらいたまいき)」と書いてあります。強制的に船から引きずり下ろし歩いて帰るようさせるのです。
 これが磐姫皇后の嫉妬の結末です。船で帰るのは楽々と楽しい旅ができます。それでは気が治まらない磐姫皇后は、同じ帰すのなら、そんな楽々とは帰さないで、歩いて旅の苦労を十分にさせて、帰すように仕向けたのです。
 いかに嫉妬深いお妃であたと言うことが分かります。
 天皇は后の為すがままにただ見つめられておられるだけで、手の施しようがなかったようです。