Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

サーブ900の生い立ち。

2007-12-06 | サーブ900。


1986年式 SAAB900 turbo16S コンビクーペ。


クラシック900。
このクルマ、見れば見るほど不思議なカタチをしています。
60年代設計のサーブ99を無理矢理アップデートしているゆえなのですが、
それにしても見飽きません。
異形さ加減がなんとなく昔日の仏車っぽい感じもします。
なんとなく、ルノー12っぽい形かも。
いかにも縦置きFFらしいデザイン?


サーブ99は、それまでの主力だった96に代わり、
1967年に登場した車種です。
もとをただせば96は、1949年から生産された
サーブ最初の乗用車である92をコツコツ改良しつづけた車でした。


サーブ93。96の前のモデルになります。エンジンは当初2ストの3気筒でした。
ちなみに92はDKWに範をとった2ストの2気筒。
96は、当初2スト3気筒、のちにフォードのV4 1.5Lを搭載しました。
このころからすでサイドシルのないボディ構造。


96です。エンジンはV4になっているころ。


92に端を発するこのシリーズもさすがに60年代に入り旧態化が進み、
個性的に過ぎた96よりも普遍的な、新しい車種を開発することになりました。
それがサーブ99です。

エンジンは、小さなメーカーであるサーブには自製ができず、
トライアンフ1300のエンジンを供給してもらうことで解決。
駆動方式は92以来のFFですが、エンジンはこのベース車の都合上と
前任車96が縦置きだったことから99も縦置きとなりました。
ただしエンジンが前後逆向きになっているのが特徴です。


99。1976モデル。


99は当初2ドアのみで登場しましたが、1970年には4ドアを、
3ドアのコンビクーペを1974年に追加しました。
バルクヘッドより後ろのパネルはC900になってもそのまま使用されましたので、
基本的にC900は生産の終わる1993年まで、ほぼ99そのままのスタイルだったということになります


99ターボ 3ドアコンビクーペ。


ちなみに3ドアコンビクーペのボディに4ドアセダンのドアを着けた、
5ドアコンビクーペも1976年に追加されています。
サーブが99でワゴンを出さなかったのは、
このコンビクーペで十分実用に足るという認識があったからのようです。
ちなみに、コンビとは航空機用語で「貨客兼用」の意味だそうで、
このあたりにも航空機メーカーであるサーブらしさが垣間見えます。




これが99の4ドアです。
900の4ドアとはリアエンドのデザインが異なるのですが、ドアは同じ。


サーブは、販売好調だった99に上級モデルを与えるべく
トライアンフ・スタッグのV8エンジン搭載を試みましたが、
折からのオイルショックによってこの計画は中座。
でもサーブは考えました。
4気筒エンジンで、大きなエンジンのような性能を出すには?

その答えは簡単なものでした。
航空機やトラックも製造していたサーブ(スカニア)にとって
特に特殊ではない技術だった「ターボ」を採用したのです。


それまでにも、BMW2002ターボや、ポルシェターボのような「高性能車むけ」
ターボは存在しました。でも、サーブのターボは違っていました。
重く大きな大型エンジンの代わりにターボを採用し、
重量増や燃費を抑えつつパワーを稼ごうという思想でした。

そして1978年に、サーブ99ターボが発売されました。
このころにはサーブ自製となっていた2L 直4OHCエンジンに
ギャレット製のタービンとボッシュのKジェトロが組み合わされ、
最高出力は本国版で145psを発揮しました。


サーブ99ターボ。
ターボという機構が、一般乗用車にも適用できるという前例を作った意味では、
この車の存在意義は高いと言えるでしょう。



しかし、ここまでいろいろと車種追加や改良を重ねてきた99も、
70年代に入るとその安全対策などに限界が出てきました。
特にメインマーケットであったアメリカの厳しい基準には、
もはや99では対応ができませんでした。
さらには、サーブは99よりも上級クラスへの参入も果たしたかったのです。

ですがサーブにはまったく新しい車種を生み出す余力はなく、
そこで考えられたのが「99をアップデート・上級移行する」という方法だったのです。


その方法は、こうでした。
1)キャビンから前を延長(クラッシャブルゾーンの確保)。
2)ホイールベースを延長(車内の拡大)。
3)キャビンにも縦方向にメンバーを追加(ボディ剛性のアップ)。
4)内装の意匠変更と、質感のアップ(上級移行にともなうもの)。


こうして生まれたのがサーブ900です。
1979年モデルとして生産が開始されました。
メカニズム的には99を踏襲し、エンジンの種類・チューンもそのままでした。


デビュー時の900。
ボディは、当初はこの3ドアコンビクーペと5ドアコンビクーペが用意されました。

なお、C900にみられるセンターコンソール・シフトレバー後ろにある
サーブ特有のイグニッション・キーの位置は99からのもので、
現在でもサーブの伝統として残されています。




>>900のその後については別稿にて。

>>C900の形は古いなあ、って当然なのですね。
もとをただせば、60年代の99までさかのぼるのですから。
ドアなどは99セダンのまま、
内装も細かい意匠意外は1978年ころのまま(でもぜんぜん古くならない)。
900セダン自体、1981年登場からほぼそのままだったのですね。

>>前にも書きましたが、こういうふるい車をむりくり現代的にしてる車がすきです...

>>いやあ...久しぶりに長い記事書いたけど
合間合間で作ってるので何日もかかってしまいました(涙
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9 コメント

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うー、いかんいかん。。。 (たまーる)
2007-12-07 18:29:23
ieさんの記事を読んでいたらだんだんSAABが欲しくなってしまいまいます。実は昔から結構好きで・・・。
僕は最終型の900(途中から9-3になったヤツ)が欲しいんです。それも安いグレード。
例えばこんなもの。
http://www.carsensor.net/usedcar/detail.php?STID=CS210840&SHOPTR=2&BKKN=CN0001596256
うわわ、いいなぁ。欲しいなあ。


Unknown (シン)
2007-12-07 21:09:05
SAAB 900 の生い立ちをすごく分かり易くまとめられていますね、流石です。

大まかな事は知っていましたが、いろいろと勉強になりました。

やっぱりいいな~ C900 また乗りたいな~


素晴らしい (nek)
2007-12-07 21:46:37
モデル遍歴でした。特に画像がいままで見たことがないカットが多くとても新鮮でした^^

日本ではC900以前のSAABってまず見かけることはありませんが、こうして見てみると99の頃からボディラインはそんなに変わっていなんですよね。

Kombiは航空用語なんですね~。
VWとかドイツのワゴンとかにも使われてますよね!
このままで (プレネル)
2007-12-07 22:28:44
ウィキペディアに載せられますな!
なるほど (モアイ)
2007-12-07 23:46:00
900くらいしか知らなかったのですが、
古くから歴史のあるボディだったんですね。
個人的には99 1976年式のフォトがグッときました!
99にも (まつをか)
2007-12-08 14:25:26
ターボがあったんすね、知りませんでした~
小学校とき新潮社の前によくC900カブリオが停まってたのを思い出します(´。`)
トランクリッド?上端にでっかい黒樹脂リアスポがついてましてねぇ・・・あのころ黒樹脂好きになってしまったのでしょうw
奥深いです (oshino@脳内自由人)
2007-12-09 11:11:38
こうして一連の流れを拝見していると車を通した当時の社会や文化が垣間見えてますね。

1976年モデルの99、ウィンドウの細いメッキフレームとフロントラインにジウジアーロデザインかと思いました。
簡単に検索してみたのですがそれらしき明記は見つかりませんでした。
日本では (ie)
2007-12-09 19:45:56
99はほとんど見かけることが出来ませんよね...

たまーるさま>
>最終型の900(途中から9-3になったヤツ)が欲しい
パラスさんのこのクルマはいいですね!白っていうのがたまらなくいい!
サーブ、正直言って仏車党だった自分なのに「はまって」ます。仏車が好きなら、きっとすんなり移行できるのではないかと(^^


シンさま>
>いろいろと勉強になりました
車を買う前にその車が出ているメディアを買いあさるクセがあるので、そんなこんなで読みふけっているウチに頭に入ってしまったのです)(汗
>C900 また乗りたいな~
ぜ、ぜひ... いやほんと、C900最高ですね!

nekさま>
>特に画像がいままで見たことがないカットが多く
サーブはなかなかネットでも資料が無く、つくづく小さいメーカーなんだなと思ったです。
>VWとかドイツのワゴンとか
自分も知りませんでした。ドイツ的ネーミングも◎です(^^

プレネルさま>
>ウィキペディアに載せられますな
いえいえいえ...とんでもない...(^^;
でもwikiのクルマ関係は加筆・執筆したいと思うときは正直あります...(汗

モアイさま>
>古くから歴史のあるボディだったんですね
そうなんですよー。なのでC900など2007年で基本デザイン40周年!?

まつをかさま>
>ターボがあったんすね、知りませんでした~
むしろ99が始祖なんですよね。900はあくまでもその延長上...
>黒樹脂好き
C900は黒樹脂だらけで同じくムフフな自分にはたまりませんです(笑

oshino@脳内自由人さま>
>ジウジアーロデザインかと思いました
99のデザイナーは、サーブ乗用車の始祖・92以来、シックステン・サッソンというデザイナーがデザインしております~。
Unknown (とき)
2012-11-02 11:10:33
記事を読ませていただきました!現在1978年式SAAB900GLEに乗ってます。本当に900のデザインは飽きるどころか見るたびに惚れます

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