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イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【プジョーな話】番外編(また?w) 忘れ去られた高級フランス車、タルボ・タゴーラまつり。

2011-04-14 | プジョーな話。



あーあ...出しちゃったie(笑


はよPSAとルノーのほかの「まつり」せいよ!て声も聞こえる中、強行してしまうタルボまつり(涙)。

しかも、タゴーラまつりをお送りしてしまう次第です(汗





タルボ・タゴーラ...またそんなわけわからんクルマですみません。
でもこれ、あの「世界最悪クルマ大全」に、
ベースになったプジョー604とともにノミネートされているんです!

って、ぜんぜん嬉しくないか(涙


そうなんです。先週の「プジョー604まつり」は、今週の伏線でもあったのだ(汗



ということで、タルボ・タゴーラ(Talbot Tagora)です。


タルボというブランドの説明は長くなるので、「タルボ・サンバまつり」の
記事内を見ていただくとして(手抜きw)、
PSA(プジョー・シトロエン)傘下に入ったタルボは、1980年にこのタルボ・タゴーラを登場させます。


実質的な前身モデルはクライスラーUK(旧ルーツ・グループ)で開発された
欧州クライスラーの旗艦・タルボ・シムカ1610(ややこしいがデビュー時はクライスラー160/180だった)
にあたりますが、モデルチェンジでは車格がひとつあげられ、
ルノー30やシトロエンCXとぶつかる、フランス国内でも最上級クラスで戦うクルマとなりました。






もとはクライスラー時代、「C9」という名前で開発されていたこのクルマ、
クライスラーには直4の2L以上のエンジンが無かったのですが、
PSA傘下に入ったことでPRVのV6を手に入れることが出来た、とのこと。


また、PSA傘下で開発がすすめられて以降は、プジョー604のメカニズムの多くが盛り込まれ、
エンジンは前述のPRV・V6 2664cc、604にも搭載された直4 2304ccターボ・ディーゼル、
604にはない直4ガソリン 2165ccの3種類が用意されました。
また、足回りも前後ともに604、505と共通のものが使用されており、
そのためホイールベースは604とほぼ同じでした。



その一方で、内外装デザインはクライスラーUKで進められたものをそのまま使用したため、
他のタルボ車...オリゾンやソラーラのテイストとよく似た、悪く言えば無国籍、
よく言えば先進的なスタイルを持っていました。

でも、ご覧のようにエッジと直線基調のデザインは、個性的ではあるけど、
高級感があるかどうかは...(涙
604は質素だけど、エレガンスはあるのですね。だけどタゴーラはねえ...。
あ、でも個人的には好きなんです、このカタチもデザイン処理も。


四角い後姿。たしかにフランス車には見えない。デザイン自体は悪くないと思うんだけどね。




内装もちゃっちいと批判された。高級感のなさではルノー30もびっくりだけど、
質感がとても低かったのだそうだ、このクルマ。
あ、でも個人的には好きなんです、この色遣いも造形も。



なんだか80年代のフランス車らしからぬデザインのシート。要するに平凡...。
しかも座り心地もイマイチっぽい感じ。座ってみたいが叶わぬ夢だろう(涙



ライバルは前述のごとくルノー30、シトロエンCX、そして身内ともいえたプジョー604だったのですが、
このタゴーラ、これら特長のあるクルマたちに対するアドバンテージが比較的安い価格くらいしかなく、
仕方なくPSAは、グループ内でタルボに持たせていたスポーティなイメージを、このタゴーラにも
与えることにしています。
それは、PRV V6搭載の「SX」に関して、604よりも高いパワーを与えるということでした。



V6「SX」。くどいようだが顔が四角いw


タゴーラのV6エンジンは、トリプルバレルのウェーバー・キャブレターを2連装。
PRV V6の燃料噴射モデルよりも10HP高い165HPを発揮、最高時速195km/hをこのクルマに与えています。
これ、このクルマ登場時ではフランス車で最速だったのです(涙
こんな地味な高級車が(汗


さらにはこのSXにはスポーティモデルの代名詞のようなタイヤ、ミシュラン「TRX」が装備されましたが、
1800mm超の車体幅に対して505の足回りを流用したがゆえの狭いトレッドによる、
操縦安定性の不足が指摘されたりもしていました。



でも...それでもやはり、個性的なライバルが並ぶフランス車の高級車市場に、
タゴーラは高級感、デザイン、性格、タルボというブランドそのものなど、
すべてにおいて訴求力が無いこと、
さらには、そもそも604を持っていたPSAには、なんの必要もないモデルだった
(あー、それ言っちゃだめだw)こともあって、
1981年には約15000台、翌1982年には約2500台しか売れず、なんと1983年には生産すら行われず(号泣)、
デビューから実質数年で姿を消してしまったのでした。うう、哀しすぎる...。
開発におカネもかかっていただろうに...。



懸命に高級車ぽさをカタログでは演出しているけど...。



うう、BXとかでおなじみのパワーウインドウスイッチだ(萌え
しかしこのナリでターボディーゼルってんだから、変態のieにはたまらんクルマかもしれません(大汗




>>なお...V6搭載のタゴーラの生産台数は、なんと約1000台!!ええー!って数です。

>>しかもV6積んで華々しく登場した時期が第二次石油危機だったり、
なんていうかPSAやルノーのクルマに比べて抜けてる感じがするところとか、
タルボってなーんか哀しい感じがつきまとうんですよね...(涙

>>そんな哀しい感じのタルボのフラッグシップが、これまた哀しすぎるんですよ...嗚呼、タゴーラ。
「世界最悪クルマ大全」では、「何から何までダメ」って書かれてた(号泣


コメント (14)
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