Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【プジョーな話】拾った画像でプジョー305まつり。実はBXのベース車なのです。

2011-02-24 | プジョーな話。

305GR 1977


拙稿を引用修正して使わせていただければ、
この特殊な日本市場にでさえ、それまで特殊な印象だったシトロエンを、
一気に「マダムが買い物に使えるふつうの外車」にまで変えることに成功したのがシトロエンBXです。
BXは生産が終了しXANTIAにバトンタッチしても、そのXANTIAがC5にスイッチしても、
BXはいまなおファナティクを多く持つクルマですが、
それはサイズが丁度良い・ハイドロを持っている・適度にフランス車の濃さが残っている、
などの要素を持つ「実用的趣味車」であるという点が大きいのではないか、と思います。



たまらん、この素っぷり



そんな名車とも呼んでもいい「シトロエンBX」の兄弟車は、当時同時に導入されていた時期のかぶる
プジョー405と呼んでもいいようにも思うのですが、
ベース車については、なんと、405ではありません。

そうなんです。BXが1982年に登場。405は、1987年。てことは、
当然405はBXのベースにはならずということがわかります。


では、BXの元になった(というか405の前の兄弟車ということも出来る)は、何か?

それが、プジョー305です。



こういう色遣い!いかにも70年代末期ぽくて、かっこいい!


305?....305?なんだそれ!て思う方も多いかと思うのですが、
プジョー305は、405と309の前任の、プジョーの小型サルーンです。1977年登場。
これがまた、205が出る前の、204→304と続いた地味で実直な、でもきわめて真面目で
道具として使用するにはこれ以上のものがない
プジョーサルーンの流儀を貫いたようなクルマなのです。



1981年のマイチェンで顔やバンパーを修正した後の姿。


ご覧の通り、505にも似ていますし、FRっぽい外観を持ちますが、
メカニズムの多くを304から引き継いでいるために駆動方式はFF。


錬金と続いていたピニンファリーナ+プジョーの蜜月が生み出した、
何の変哲もなさそうなこの305のボディデザインは、
でも実に控え目で、質素で、素晴らしいバランス感覚で成立している美しさを持っています。
405もとても美しいサルーンですが、「むかしのプジョーらしさ」という意味では、
この305が最後のそれなのかもしれません。


204のリニューアル版である304にくらべ、305のボディは大型化されて、
その上の404に近いサイズになりましたが、それでも4.2m程度でとてもコンパクト。
それなのにホイールベースはなんと2,620mmもあり、それがもたらす車内の広さは
特筆ものだったのです(シトロエンばかりがロングホイールベースと思われがちですが、
プジョーはFRのクルマでさえ、長いホイールベースを誇っていました)。



305には204、304と同様に、ブレークボディもありました。なんだか三菱ギャランぽいw


駆動系は204、304のものを基本的に継いでいるので、
「アラウンド・ザ・コーナー」と呼ばれた冷却ファン駆動ベルトの取り回しや、
後ろに傾むけて配置されたエンジンの下にギアボックスを置くイシゴニス式で
エンジン・ミッションが搭載されていました。



その後1981年、「GT」を追加。このGTには、BXでもおなじみのあの「XU系」エンジンが初搭載され、
ついにここで204から続いたイシゴニス式に別れを告げ、一般的なジアコーザ式になります。
このGT、エンジンは1.6LのOHCで、名前こそGTですが、翌年BXに積まれた1.6Lエンジンと変わりません。


これがGT。



さらに1984年、305にはこれまたBXでおなじみですでにBXには積まれていた1.9Lを搭載した「GTX」や、
フランスの乗用車では初となる4速ATモデル(遅いw)を用意したりしています。



GTX。かっこいいじゃん!


これもGTX。305はリアビューも端正。



1986年型の内装。同時期の309にも通じるデザイン。好き。



で、思うに。
この305のクルマとしての出来が素晴らしかったからこそ、
BXのあの素晴らしいハンドリングや、深いシャーシ性能、直進安定性、
そして乗り心地、トランクや車内の広さがあったのだと考えることも出来るのです。
車体の長さにしては長いと言われるBXのホイールベースは、この305のたった+30mmなのです。
ボディサイズはほとんど変わりませんでした。

PSA...つまりはプジョーの血が入ったBXですが、
その素地には優秀なベースであった「プジョーのサルーン」があってこそ、生まれたのですね。
いやBXに限らず、プジョーの優れたクルマ全般の設計(トラブルとか故障は除くw)が無ければ、
シトロエンはどうなっていたのでしょうね?
そう思うと、シトロエンがプジョーに拾われたのは、とっても幸運だったのかもしれないです。
ひょっとしたら、プジョーとくっついていなければ、
2011年現在、シトロエンというブランドは無かったのしれません。




>>305は素晴らしい実用車であったはずですが、当時の西武自動車は504の導入に力を注いでいたのか、
結局このクルマ、日本には来てません。
いまなら、欲しいです。505、504などのリアル・クラシックプジョーで、
204や304のような「旧い時代のクルマ」でもなく、
BXのメカニズムも持っていて、この端正なスタイル、そして何よりも日本に1台も無いだろうという
その希少性(笑

>>ああー。こうして見ると、305かっこいい!
かつて乗っていたR19(ルノー19)もそうだけど、「何の変哲もないのに、乗ったら、使ったら、とんでもなくいい」
っていうこういう実用車って、ほんとにかっこいいし、大好きなのです。

>>おまけ。実用サルーン萌えな人には死んでしまうような大集合。


>>奥からルノー11(オンズ)、プジョー305、タルボソラーラ、シトロエンBX。ぎゃー!
コメント (13)
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