Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【ナローゲージ】木曽森林の静態保存車(やまばと号など)を少しめぐる。

2010-10-22 | ナローゲージに思いを馳せる


順番が前後しまくりですが、10月の3連休の木曽旅行の際には、
上松の赤沢森林(ほんとはここにはたくさんあるんだが...それは次回のお楽しみ)、
以外の保存車で見られるものは、可能な限り見てくるようにしました。


まずは。
王滝に向かう途中、中央西線薮原駅近く、「木祖村郷土館木工文化センター」の入り口に
看板も無く突拍子な印象で置かれているモーターカー「No.20」。
昭和25(1950)年酒井製。なんともかわいい。


雨の木曽谷にたたずむ。


昭和25年頃といえば、キャブオーバー型のバスはすでに出ていたと思いますが、
主流はまだボンネットバス、という時代に、こんな箱型のボディを持っていたのは斬新。

それにしてもなんてすばらしいデザインなんだろう(^^:


うしろ。他のモーターカー同様、うしろから乗り降りする仕組み。





車内。張り出したエンジンカバーとマニュアルの長ーいギアが目につく。





惜しむらくは明らかに放置状態なこと。
窓は落ち、車体は錆びてる。
でもよくこの華奢なのりものが、この放置プレイ状態で
この「そこそこ綺麗な状態」で保たれているなあとも思ったり。


先日の「王滝森林フェスティバル」のあと向かったのが
王滝村をさらに山のほうにクネクネと10kmほど奥に向かった「滝越」エリアにある、
水交園(すいこうえん)」にある保存車群。
ちなみにこの水交園、そばが本当においしかったです。
3連休ということもあってか、昼過ぎには売りきれるほどにぎわっていましたよ。
本気でおすすめです。



で、ここには「やまばと号」が保存されてるので、見に行きたかったのです。

「やまばと号」は、道路事情が悪く、森林鉄道が事実上の主要交通機関であった時代の通学専用列車でした。

滝越には王滝小・中学校滝越分校があったそうなのですが、
昭和34(1959)年に王滝村中心部にある王滝村小中学校の本校へ統合されてしまったため、
滝越エリアの子どもたちはこの通学列車「やまばと号」に乗って通学することになりました。
ちなみに滝越~田島(王滝村の中心に近い)間は12km。ここを約1時間かけていたそうです。

滝越エリアにとって、子どもたちの未来を担っていた大切な存在だった「やまばと号」は、
専用機関車(酒井製7t機。無番。王滝村所有だった)とともに、
屋根付きで大切に保存されている...というなんとも温かいお話なのです。





で、やまばと号の客車。かわいらしい青と黄色の2トーン。




昭和34(1959)年、岩崎レール製の客車ですが、それまで(やまばと号以降も)木造だった客車が、
この「やまばと号」だけは車体がスチール製だったそうです。
子どもたちの安全を考えた、とのことで、これもなんだかいい話です。


車内。シートがちっこい。。。
子どもたちはこの客車に揺られて、何を思い、どのように通っていたのでしょうね。





それ以外にも水交園には、

運材台車





関西電力の除雪車
(新潟鉄工製。自走は出来ないので機関車に押してもらう。見ての通りロータリー式。)




No.119 5t機(酒井製)




などが置いてあります。

なおNo.119はトルコン(オートマ)車で、しかもトルコンの製造は岡村。
そう、あの家具の岡村です。
岡村製作所は、なんと昔、ミカサというクルマ(昭和27(1952)年製でトルコンつき!すごい)を製造してましたし、
トルコンといえば岡村、という時代がありました。


これはミカサツーリング

ちなみに「ミカサ」はFFで、エンジンは空冷フラットツインの600CC...で、
さらにこのホイールといえば...何か思い当たるフシが...。



そう!このミカサのもとになったのは、シトロエン2CV。
オカムラは2CVを研究し、ミカサを送りだしたのでした。
たしかに3穴のホイルなんてそっくりですよね。




>>惜しむらくは開田高原に行ったというのに、開田郷土館にあったNo.135+C型客車を
横目で見つつ通過してしまったこと...。
あー。でも次は上松に行くので、そのときに組み合わせてまた見に行く事にしましょう!

>>話が森林鉄道からそれますけど、ミカサにはコマーシャルバンがありました。
その名も、ミカササービスカー(写真右)。
これの窓なし・リブ入り荷室バージョンは2CVのバンにもなんとなく似てます。





>>さらに脱線。オカムラは最近の鉄道車両のシートも作っていたりして、小田急のVSEロマンスカーは同社のものらしい。
でもひとこと言いたい...堅過ぎます



>>ということで何回かにわけた木曽の旅、次回で最終回。
森林鉄道以外の観光(と、C5)のお話です。。。
コメント (4)
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