関東民鉄でありながら18m車体で標準軌、
緩急列車の差が激しくあからさまにライバル会社に戦いを挑むといった
関西の民鉄的要素がとても高い京急が好きなんですが、
その理由のひとつに、コダワリを持っていることがあります。
先頭車は電動車でないといけないとか、
ボルスタレス台車全盛のこの時代においてもなお、ボルスタレス台車の採用をしないとか、
ステンレス車やアルミ車といった無塗装の電車がふつうになった昨今でも、
「赤く塗った」電車を出し続けてきたことなど、枚挙にいとまが無いです。
実際には「無地でも出せる」アルミ車は1500形、新1000形、2100形など、かなりの両数にのぼるのに、
これらの車両はすべて、「赤い電車」でした。
でも、その京急も、ついに時代の流れに押されたのか、コストダウンという避けられない状況を受け止めたのか、
2007年(もう3年前なのね...)から登場した
新1000形の6次車から、ステンレス車体で塗装しないという形態で電車を送り出してきました。
しかも、俗に言う「走るンです」車体を持って。
たしかにほかの会社よりは、貼られるシール部分が多く、赤い電車のイメージを残そうという努力は見られますし、
塗装しないということに関するコストダウンはかなりのものでしょう。
こればかりは仕方ないことなのではないかと思うのです。
でも、それよりも問題にしたいのは、これは実は京急だけに限らないのですけど、
デザイン的に猛烈に退化しちゃった感じがすることです。
「走るンです」車体は、基本的にE231系と同様、側板と屋根を雨どい部分で結合するという作り方のために、
雨どいが低く、張り上げ屋根じゃないんですね。
これだけでも、デザイン的に美しかったそれまでの新1000形などよりも、垢ぬけない感じがしてしまいます。
しかも、走るンです車体は、側窓のRが妙に大きく、古臭い。
ドアの窓の抑え方も含め、フラッシュサーフェス化が進んだ鉄道車両が、
これら一連の車体を持つ電車が大量に増えたことで、一気に古臭くなったような気がするのです。
新しい電車でも、美しい外観を持つ日立のAトレイン、工法は独特ながらも、
まだ屋根のRが薄く、見栄えもする日車の車体などは、ステンレス・アルミ車でもいいと思うんです。
京急の新1000形に至っては、前面も退化してます。
ワイパーカバーがなくなったとかそういうレベルではなく、
ガラスのむこうに全部収まっていたヘッドライトや方向幕といったものが
ステンレス車バージョンでは個別に無造作に穴を穿って配置されたような感じで、
窓のデザインもなんだか、ただ四角いだけ。それの周囲を黒く塗って丸いブラックフェイス風にしてる感じ。
それまでは、ちゃんとガラス自体がブラックフェイスの造形になっていたのに...。
ぱっと見は同じようなブラックフェイスなんですけど、ただ塗ってあるだけなのか、
造作としてのそれなのか、の違いは個人的には大きい。
まあ確かに、この作り方なら、コストダウンにはなると思いますが...。
これが新1000形のアルミ車。ワイパーがカバードされているのでスッキリした印象。
>>コストダウンは仕方ないです。それは会社が生き残るため、仕方のないこと。
車内の見つけがグレードダウンしたといっても、それがゆえに乗客が減るわけではないし、
新しい車両はバリアフリーも、省エネ化も、進んでいる。
>>だけど、京急には正直、こだわって欲しかったような気がしたんですよね。
それに、関西(阪急、近鉄など)はまだ、こだわりと高いクオリティを保っていて、
頑張っていると思うんです...。関東でもメトロの16000系のように、
高い質感とデザインを持って出てくるものもあるだけに、なんとも残念なのでした。