ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

もっと良い歌を聴きたい(紅白に思う)

2010-01-06 | 日記風
  正月気分もようやく過ぎて、たまった仕事に焦りを感じる頃になってきた。毎年のことなのだが、年末年始の休みに日頃手が着かなかった仕事をやろうと、書類を抱えて休みに入るのだが、結局休み明けになっても仕事はほとんど手に着かなかったということになる。今年も、例年と同じことが繰り返された。今年は休みに入ってすぐにそのことに気がつき、仕事をやろうという気持ちをまず捨ててしまった。経験に裏打ちされた素早い決定だったと感心して良いのだろうか(笑)。休みにはまとめて本を読み、温泉に行って過ごした。

 読んだ本は、J. クリード「シリウス・ファイル」、リチャード・パタースン「ラスコの死角」、マニュエル・プイグ「蜘蛛女のキス」、大塚柳太郎「トーテムのすむ森」、日高義樹「アメリカ内乱 白人の論理」など。そして今は、いまさらの感もあるレヴィ・ストロース「悲しき熱帯」を悪訳に苦しみながら読んでいる。ごらんの通り、まったくの乱読。なんの脈絡もない。書棚の中で昔買っただけで未読の本を探し出し、かたっぱしから読んだと言うだけである。それでも休みには本がまとめて読める喜びがある。

 大晦日には、こたつに入って紅白歌合戦を見た。これは毎年の恒例行事みたいなものだけど、ここ数年は見終わった後の満足感はほとんど感じられなかった。一年前の紅白は、半分以上を別のチャンネルに合わせて見ていたような気がする。今年は他の局の番組に見たいものがなかったせいもあって、ずっとNHKにチャンネルを固定していたが、やはり半分くらいは居眠りをしていたような気がする。昔、お祖父さんがテレビを見ながら居眠りをしているのを見て、不思議でならなかったことがあった。眠たいのならテレビを消して寝ればいいのに、と思ったのだ。若い頃は私はテレビを見ながら居眠りをすると言うことは決してなかったからだ。テレビを見るときは、一生懸命テレビを見ていた。一生懸命みるほどの価値がない番組だったら、テレビを消した。ところが最近は見たいと思ってテレビを見ながら居眠りをすることが多くなった。これは私が年を取ったからだろうか、それとも見たいはずのテレビの番組が羊頭狗肉だったということなのだろうか。

 紅白がつまらないのは、あの素人芝居のような幕間のドタバタとNHKの番組の宣伝。これらは今に始まったことではない。最近、といってもずいぶん前からだが、つまらないのはじっくりと聴かせる歌が無くなったと言うことだと思う。歌謡曲にも良い歌が少なくなったが、若者のやかましいだけの歌は、聞くに堪えない。歌は、メロディやリズムも重要だけど、やはり詩が必要である。若者の歌う歌は、聞かせる詩がない歌ばかりだ。彼らの歌は詩ではなく単なる台詞であり、もっぱらダンスが本来のものらしい。ダンスならダンスだけやればいいし、歌うなら体の振りは最小限にして、しっかり歌って欲しい。ラジオで紅白を聞くと、若者たちの歌はCMと変わりがない。聞こえても騒音でしかないのだ。

 見たくもない若者たちのダンスと歌を居眠りしながら見ていて気がついたのだが、若者、とくにJ-popsと言われるジャンルの男の若い歌手たちは、すべてと言っていいくらい一人で歌っていない。かならず何人かでつるんで、グループを作って歌っている。それだけ歌に自信がないのだろうか。ダンスを見せるために歌手をやっているように見える。女性の場合もグループが多いが、それでも女性では少しは一人で歌う歌手がいる。しかし、女性歌手の場合は、みんな歌い方がきわめてよく似ている。歌も似ているのだろう。歌の途中で急に1オクターブほども高い声に上がり、そこで平坦になるという歌い方は、ほとんどすべての女性J-pops歌手に共通しているので、誰が歌っても同じに聞こえてしまう。

 若い人に、もっとじっくりと聴かせるような歌を歌って欲しいと思うのが、こたつの中でうんざりしながら若者の歌を「見ていて」思ったことだった。それにしても紅白がますますつまらない番組になって行くように思う。いや、紅白がつまらないのではなく、音楽がつまらなくなっているのかもしれない。布施明が今回の紅白で卒業すると宣言したことは、このような番組編成に抗議したのであろう。つまらないJ-POPSをもっと減らして、本来のPOPSや、クラシックや、カンツオーネや、ジャズや、フォークなどいろんな聴かせる歌をもっと入れて欲しい。NHKに貢献した歌手やレコードの売り上げが多い歌手ばかりを入れるのではなく、紅白はじっくりと聞かせる歌を聴きたい。スーザン/ボイルさんの歌のような歌を3時間たっぷりと。今年の紅白で聞かせたのは、ボイルさんと布施明くらいであったのではないだろうか。

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