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ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

天架ける橋と現実

2009-04-20 | 環境
完全に護岸された天橋立

股の間から覗くと天に架ける橋のように見えるという天橋立を見に行った。美しい砂浜の砂嘴地形として昔から有名なところである。東北の松島、安芸の宮島と並ぶ日本三景の一つ。京都からは直行の特急列車が出ているが、今回は各駅停車の列車を乗り継いで出かけた。それでも3時間で行ける。特急に乗れば料金は2倍、時間は2時間半だ。たった30分急がなければ、半額で行けるし、あわてる用事がなければ各駅停車の旅も捨てがたい。

 予想はしていたが、天橋立も近年砂がどんどん無くなりつつあるという。砂嘴の西側=湾の奥側は、おどろいたことにすべて護岸されている。東側の砂浜は砂が無くなってきているので砂の消失防止のために沢山の突堤を築き、砂の消失は少し止まったようだけど、天橋立の砂嘴がノコギリの歯のようにギザギザになってしまっている。そのことは写真などでよく知っていたが、反対側が完全に石の護岸になっているとは知らなかった。しかも昭和の初期には護岸されているという。股のぞきの小倉小屋のおじさんに聞いた。

 砂が無くなっているもっとも大きい理由は、おそらく天橋立の北側、丹後半島の山から海に注ぐ川にたくさんの砂防ダムができてしまったせいであろう。海に砂が流れてこなくなったせいだ。こんなギザギザのみっともない天橋立を世界遺産にしたいと言っても、とても無理だろう。地元では一生懸命に世界遺産にしようと頑張っている人がいると聞いた。もっともそれも選挙目当てだ、本気でやっているわけではないという批判も同時に聞いた。

 天橋立を本当に世界自然遺産にしようと思ったら、川から砂防ダムを取り除き、人間が砂を入れないでも砂洲が維持できるようにして、突堤や護岸を撤去してしまわないと、とても無理だろう。そうできれば、単に世界遺産になれるかどうかだけでなく、日本の自然を守るためにきわめて模範的な日本をリードする場所になれるだろう。ぜひそうなって欲しい。

 笠松公園の上から、股のぞきをしながら、天架ける橋の幻想を見ていた。