瀬戸内海の小さな島でいま、大変なことが起こっている。山口県上関町の長島に原子力発電所を作る計画が中国電力によって進んでいる。27年前に突然降って湧いた原発建設の話に、地元は揺れに揺れた。町長を始め、議会の多くが推進派となり、反対派の町民と対立した。町は二分され、反対派の店には買い物にも行けないような状態が続いている。住民は憎しみ合い、親類縁者も引き裂かれた。田舎の素朴な人びとの生活は、原発計画によって徹底的に壊されてしまった。
入会権の裁判や、土地を所有していた神社の神主が反対を貫いたために神社庁に解任されるなど、様々な動きがあり、原発予定地の田ノ浦には、スナメリやカンムリウミスズメ、ナメクジウオ、カサシャミセン、ヤシマイシンの仲間、スギモク、ナガシマツボなどの貴重で希少な生き物たちがいっぱい残る。汚され壊される前の瀬戸内海がまだ残っているほとんど唯一といって良いところだ。そんな楽園のようなところに原発を建てるという。
だが、まだ原発建設の許可は下りていない。原発建設の許可を申請するための条件が揃っていなかったためだ。しかし、一年前の10月22日に原発建設予定地の田ノ浦を埋め立てる許可が山口県知事から出た。瀬戸内海環境保全臨時措置法では、瀬戸内海の埋め立ては極力抑制することとなっているにもかかわらずである。その許可の条件は一年以内に埋め立て工事に着工することであった。あと1ヶ月である。環境アセスメントでは、上述したような貴重で希少な生き物たちがいることはほとんど無視された。いや、見つけられなかったのかもしれない。それほどいい加減なアセスであったということだ。建設を前提にしたアセスなんだから。
そしてまもなく期限の10月22日が迫ってきた。焦った中国電力はとうとう反対派の起こした裁判の決着を待つことなく、9月10日に埋め立て工事に着工することにした。10日の朝、近くの平生港から埋め立て工事に使う大型ブイを運びだそうとしたクレーン船は、反対派が95%という祝島漁民の漁船によって港に近づけなかった。中国電力の社員が乗った船が漁民のピケットラインに近づき、メガホンで工事に協力するように「説得」をする。「説得」の中身には、「祝島へもケーブルで電気を送っているぞ」という言葉も含まれていた。文句言うなら電気を使うな、電気を送らないぞ、という脅しも言外に臭わせている。
漁民たちは、「ここは俺たちの海だ」「中国電力の海じゃないぞ」「そんなに安全なら(中国電力本社のある)広島へ持って帰れ」などと応戦する。話し合いを求める漁民に対して、中国電力社員は書類に書いた「工事に協力して下さい」という文章を繰り返すだけ。彼らは生活がかかっていないから気楽なものだ。
祝島は原発建設予定地の正面にある島だ。島の人口は減ってしまったが1000年以上の古い文化を持つ伝統ある島だ。その島の漁業は予定地の田ノ浦周辺がもっともよい漁場である。ここ数年の地質調査や詳細調査によってすでに操業に支障がでているし、魚も捕れなくなってきたという。宝の海を埋め立てられたら祝島の人たちは、生活の糧を失う。
結局、10日の午後3時半頃になって中国電力は工事をあきらめた。そして11日、早朝に再び平生港で両者のにらみ合いが続く。11日も工事を止めさせることができた。12日も同じ事が続き、工事は延期をした。漁民の闘いは続いている。広島や大阪などからも原発反対の人びとが応援に駆けつけている。13日は日曜日で工事の予定はない。14日から再び攻防がはじまる。中国電力がいつ公権力(警察)を使って強行突破を計るか、新政権がそれを許すか。民主党は原発建設推進だから、おそらく見て見ぬふりをするだろう。どれだけ多くの人が関心を持ち、原発反対に心を寄せるかで事情は決まる。祝島の漁民も毎日反対行動をしていると収入の道が途絶える。それを支える人びとの支援が必要だ。
宝の海を守りたい。
入会権の裁判や、土地を所有していた神社の神主が反対を貫いたために神社庁に解任されるなど、様々な動きがあり、原発予定地の田ノ浦には、スナメリやカンムリウミスズメ、ナメクジウオ、カサシャミセン、ヤシマイシンの仲間、スギモク、ナガシマツボなどの貴重で希少な生き物たちがいっぱい残る。汚され壊される前の瀬戸内海がまだ残っているほとんど唯一といって良いところだ。そんな楽園のようなところに原発を建てるという。
だが、まだ原発建設の許可は下りていない。原発建設の許可を申請するための条件が揃っていなかったためだ。しかし、一年前の10月22日に原発建設予定地の田ノ浦を埋め立てる許可が山口県知事から出た。瀬戸内海環境保全臨時措置法では、瀬戸内海の埋め立ては極力抑制することとなっているにもかかわらずである。その許可の条件は一年以内に埋め立て工事に着工することであった。あと1ヶ月である。環境アセスメントでは、上述したような貴重で希少な生き物たちがいることはほとんど無視された。いや、見つけられなかったのかもしれない。それほどいい加減なアセスであったということだ。建設を前提にしたアセスなんだから。
そしてまもなく期限の10月22日が迫ってきた。焦った中国電力はとうとう反対派の起こした裁判の決着を待つことなく、9月10日に埋め立て工事に着工することにした。10日の朝、近くの平生港から埋め立て工事に使う大型ブイを運びだそうとしたクレーン船は、反対派が95%という祝島漁民の漁船によって港に近づけなかった。中国電力の社員が乗った船が漁民のピケットラインに近づき、メガホンで工事に協力するように「説得」をする。「説得」の中身には、「祝島へもケーブルで電気を送っているぞ」という言葉も含まれていた。文句言うなら電気を使うな、電気を送らないぞ、という脅しも言外に臭わせている。
漁民たちは、「ここは俺たちの海だ」「中国電力の海じゃないぞ」「そんなに安全なら(中国電力本社のある)広島へ持って帰れ」などと応戦する。話し合いを求める漁民に対して、中国電力社員は書類に書いた「工事に協力して下さい」という文章を繰り返すだけ。彼らは生活がかかっていないから気楽なものだ。
祝島は原発建設予定地の正面にある島だ。島の人口は減ってしまったが1000年以上の古い文化を持つ伝統ある島だ。その島の漁業は予定地の田ノ浦周辺がもっともよい漁場である。ここ数年の地質調査や詳細調査によってすでに操業に支障がでているし、魚も捕れなくなってきたという。宝の海を埋め立てられたら祝島の人たちは、生活の糧を失う。
結局、10日の午後3時半頃になって中国電力は工事をあきらめた。そして11日、早朝に再び平生港で両者のにらみ合いが続く。11日も工事を止めさせることができた。12日も同じ事が続き、工事は延期をした。漁民の闘いは続いている。広島や大阪などからも原発反対の人びとが応援に駆けつけている。13日は日曜日で工事の予定はない。14日から再び攻防がはじまる。中国電力がいつ公権力(警察)を使って強行突破を計るか、新政権がそれを許すか。民主党は原発建設推進だから、おそらく見て見ぬふりをするだろう。どれだけ多くの人が関心を持ち、原発反対に心を寄せるかで事情は決まる。祝島の漁民も毎日反対行動をしていると収入の道が途絶える。それを支える人びとの支援が必要だ。
宝の海を守りたい。