救急車の話

昨日、救急車が通り過ぎたんです。
その音は、家にいる私にも聞こえました。
ちょうど、その時に母は一人で散歩に出ていたんです。

母の目の前で止まって、救急隊員が車を降りてきたところを、間近で見ていたらしいのです。
めったに見ることのない風景に、食い入るように母は見ていたに違いないのです。

慌てて家に帰り、目の前で起こった救急車の話を私に一生懸命に話します。
「ほう、そうなんだ。」と、聞いてそれで終わりました。
次に、父のそばに行き、また救急車の話を一生懸命に話します。
父も、「そりゃあ、大変だったなぁ。」と言って終わったんです。

それから、また３０分くらい経って、母が私に熱心にさっき話した救急車の話をしました。
私は、「２回聞いた。」とは言えず、「ほう、そうなんだ。」と、同じリアクションで聞くことになります。
もう３度目はないだろう。と、思っていたら、それで終わったんですけど。

母にしたら、びっくりするような光景だったに違いないのです。
何回も話されたら大変。と、思って、なるべく顔を合わさないようにして逃げました。