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イタリアより

滞在日記

なかったことに…in ベネチア

2017年12月29日 | ベネチア

サンマルコ広場


■2017年12月28日

先ほど、町の散策から帰りました。1年ぶりのベネチアです。昨年よりも観光客が少ない気がしますが、それでもそぞろ歩きの人たちがいっぱいで、狭い道は人々で溢れていました。勿論私もその中の一人です。


ぎょっとするようなモニュメント


鉄道駅からヴァポレットに乗って、最寄り駅まで行く途中、ぎょっとした光景が目にとまりました。何とも奇妙なモニュメント。温暖化のせいで、沈みゆくベネチアを揶揄したものか、それとも単なる遊び心か、恐らく両方だろうと思いますが、そうであるならば、そうそう笑ってもいられない現実です。


ホテルの前は大運河、カナルグランデが流れます

雨は降っているけれど、水位は低いのでちょっと安心しました



ソットポルテゴを通り抜けて


今回予約したホテルは、最寄りの船着き場から、ソットポルテゴをくぐり抜け、薄暗い道を歩いていきますが、ちょっとした迷路の又その奥にありました。貴族の館を改築したのだと思いますが、水辺から建物が立ち上がり、運河からはそれと分かるのに、入り口が一体どこなのか。聞こえはいいけれど、貴族の館って結構面倒です。


カンポと呼ばれる広場から更に奥へ


下調べをしていたから、無事にたどり着けたものの、現地に入ってからの行き当たりばったりでは、迷子になっていたと思います。さすがベネチア、恐るべしです。


ホテルの部屋


それでも部屋に入れば、非日常を味わえる。窓の外はカナルグランデが流れ、船が行き交っています。ホテルのレビューにもあった通り眺望は満点です。毎年の事ながらオフシーズンだからこそ出来るささやかな贅沢です。迷ったけれどこの部屋にしてやっぱり良かった。と思ったのもつかの間、取れた・・・


アンティークな椅子の背もたれが・・・


わたしの名誉のために自己弁護しておきますが、引っこ抜いたのではありません。椅子を移動させようと持っただけで取れた・・・突っ込んだら元に戻ったので、なかったことにしようと思います^^;。



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光り輝くドイツ人商館・フォンダコ・デイ・テデスキその2

2017年01月04日 | ベネチア

DFSとして蘇ったドイツ人商館


ドイツ人商館は、フォンダコ(ベネチアの方言で、商館の意)・デイ・テデスキ(イタリア語でドイツの意)と呼ばれ、1288年に、リアルト橋のたもとに、東方と西欧を結ぶ中継貿易の拠点として建設されました。東方諸国からはワインや毛織物や各種の香辛料などを仕入れ、ベネチアからはガラスや工芸品を売りさばいていましたが、ベネチアの商人として実権を握っていたのは貴族達、というか、商人たちによって構成されたこの貴族階級は、政治にも勿論力を持ち、ベネチアの繁栄に大いに寄与したのでした。時は13世紀。フィレンツェではこの100年後あたりからメディチ家が頭角を現し始めます。


郵便局時代の“表札”がそのまま残されている現DFS


ドイツ人商館と名前が付いていますが、東欧諸国、例えばオーストリア人やハンガリー人なども含まれていたそうで、この商館にそれら商人達は宿泊し、事務所も構えて取引を行っていたとか。カナル・グランデに面した船着き場は、沢山の貿易の品々が荷下ろしされて、さぞかし賑やかで闊達な経済活動が展開されていたことと思います。造船技術が発達し、ベネチア国家の強大な造船所、あのアルセナーレが造られたのもこの頃です。


DFS・フォンダコ・デイ・テデスキ店ファザード(正面)

2016年12月28日・カナルグランデより撮影


今回のリニューアルにあたって、外観も内観も大きな手は加えなかったと前述しましたが、外観は多くの受賞歴を誇るオランダの建築家レム・コールハース氏がそのリフォームを手がけ、そして内観もイギリスの著名な建築家ジェイミー・フォバート氏が担当して内装を一新したというから、この、ヨーロッパへの足がけとなるTギャラリア(路面型免税店)の新規店オープンに掛けるDFSグループの意気込みを思います。



当時、ファザード(正面)は、ベネチアを代表するジョルジョーネやティツィアーノのフレスコ画が、それぞれカナルグランデ側とカッレ(横側)の壁面を色鮮やかに飾っていましたが、それらの絵画は長い間に風化し、DFSになった今ではその片鱗さへも伺い知ることは出来ません。歴史はこうして塗り替えられていくものなのですね。



そうそう、現在、四階のイベントスペースでは、国際アーティスト、ファブリツィオ・プレッシの「アンダー・ウォーター」展が開催されています。何でもベネアを愛する彼は“アートとテクノロジー、そして過去と現代が融合する作品”をこの地で披露したかったそうで、オープニング記念として、この展示場を現在無料で解放しています。(2017年1月15日まで、午前9時半~午後7時半)




この最上階に出来たパビリオンからは、リアルト周辺の見事な景観が望めるそうで、催し物はともかくも、時間があれば、是非四階まで上がって見て下さい。


四階イベントパビリオンのキンキラキンのエレベーター


なお、このイベントスペースに入場してリアルトの景観を見るには、2016年12月28日時点では予約が必要でした。沢山の人が押しかけたためですが、この日はいっぱいで明日の予約が必要と言われました。その“明日”は帰国日でしたので私は諦めざるを得ませんでしたが。


イベントパビリオンへの入場口

四階の受付で予約します。2016年12月28日現在入場は無料。




DFS・フォンダコ・デイ・テデスキ店入り口


私のベネチア散策のバイブル「迷宮都市ヴェネチアを歩く」の著者、陣内秀信さんによると、当時このドイツ人商館は、多くの客を招き、コンサートや祝宴を催す文化交流の場としても機能していたと言います。一時は、といっても、1870年から2010年までの長きに渡って郵便局の時代もあったけれど、世界中の旅行者向けの華やかなラグジュアリーショップに変貌した元ドイツ人商館はその歴史を思うとき、長い年月を経て、やっと元の姿に戻ったのかも知れません。

★注意

このDFSは、全館での買い物の合計が155ユーロ以上になると免税の対象になるとのこと(一店舗での買い物でなくて全館での合計、という説明を受けましたが、受付で確認して下さい。日本人のスタッフも居るし、日本語の分かる係りの人も居ます)。購入する時は定価ですが、諸手続きをして、勿論、税の還付が受けられます。従って、出国の時間には十分な時間が必要です。今回、ベネチアからローマ経由で帰国しましたが、ローマから成田までの国際便に乗り遅れた乗客が二名いました。こうした還付手続きに手間取っていたか、あるいはローマの空港で最後のショッピングでもしていたか、それとも他の理由かどうかは不明ですが、その乗客の荷物はベネチアから乗せられていたので成田に行くことは確かなようでした。乗り継ぎ時間は少々タイトだったので、私も急ぎ足で出国ブースに向かいましたが、税の還付を受ける為の手続き時間を十二分に確保するのはちょっと難しかったと思います。乗り継ぎの出来なかったこの二人の乗客の荷物を下ろすのに、ローマの空港では50分ばかりかかり、飛行機の出発は遅れました。還付手続きには、くれぐれも時間に注意して、あるいは買い物の予定があるときは、国内線を一つ早い便にして余裕ある時間割を。
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光り輝くドイツ人商館・フォンダコ・デイ・テデスキその1

2017年01月02日 | ベネチア

リド島行きのヴァポレットから見たサンマルコ広場


■2016年12年28日(水)

キオッジャから本島に帰ったその足で、サンマルコからリアルトまで歩いて来た時、周辺の風景に、今までと違う違和感を覚えました。いつも閉ざされたままで、うっとおしいなと思う、大きな黒い建物、ドイツ人商館・フォンダコ・デイ・テデスキが、なんと煌びやかに光っている!そうです、この輝きが、私の違和感の正体でした。

うっそーっと思わず声が出ましたが、元貴族の館がそうであるように、この商館もホテルとして改築されたのか、いや違う…黒いスーツを身にまとった屈強そうな黒人男性がドアを開け、うやうやしく迎えてくれる様子を見て、これはデパートだ!


ドイツ人商館が輝いている!


デパート・・・いやこれも正確には当たってはなくて、実は、この商館全体がDFSとして生まれ変わっていたのです。もう驚愕でした。あとで分かったことですが、この構想は、以前ここがベネチアの中央郵便局として使われていた頃からあったそうで、でも、地元の人たちも、まさか世界の旅行者を相手にラグジュアリーショップを展開する、あのルイ・ヴィトングループが牛耳るDFSがオープンするとまでは思ってはいなかったとか。


商館時代そのままに、中庭エリアを囲んで
四階まで周辺をぐるりと店舗にしたDFS


入って見れば、一階は、中庭として使われていた郵便局時代そのままに人々が休憩できるスペースがしつらえてあり、更にはまわり四層に部屋をぐるりと配置した商館の面影を残す店作りになっていました。いわば、外観も内観も大きな手は加えず、というよりも加えることが出来なかったというべきか、商館跡をこっぽりDFSにリフォームした店舗でした。


迷宮都市ヴェネチアを歩くより

ここがベネチアの中央郵便局だった頃の中庭エリア


一階から四階まで歩いてみましたが、それはそれは、高級ショップがずらりと揃っていて、少し名前を挙げれば、ボッテガ、ブルガリ、ディオール、プラダetc、そしてワインや洋酒も揃えられて、お土産物にも不自由はない、2016年10月1日オープンしたというから、既に、ベネチアを訪れるお金持ち達の購買意欲をきっときっとそそっているに違いありません。


高級店を網羅する元ドイツ商館内部


それにしても、ベネチアが世界をリードした時代の伝統ある立派な建物を空っぽにしたままだと余りにももったいないのは確かだし、ましてや、リアルト橋のたもとという好立地を考えれば、DFSグループがここに目を付けるのももっともだろうと、妙に納得もする。

しかし、これではなぁ~地元の人々やこの地を愛する旅人に還元されることは少なくて、この富裕層向けのショップ展開は、ベネチアが更に高級リゾート地となる方向に舵取りをしたような…と思うのはうがった見方かしらん。

‐続く‐
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ベネチアのバーカロにて

2016年12月28日 | ベネチア

カッレ・フランキあたりの夜景



■2016年12月27日(火)

ホテルの部屋に荷物をほり投げたまま、周辺の散策に出かけました。ベネチアは地区ごとに名前が付いていて、それぞれが独特の雰囲気を醸し出しています。リアルトやサンマルコは有名で、誰もが知るエリアですが、少し離れると、ちょっと静かな落ち着いた雰囲気にもなり、又夜になると少々ディープな風情にもなって、そこがまた魅惑的。この町ならではの光景が広がります。


オステリア・スクエーロ


周辺の散策後、連日の疲れが出たか、もう夕食はホテルのレストランで済まそうと部屋に戻りました。ところが、ホテルのレストランの営業は明日からだそうで、さて困った…あまりお腹は減ってはいないけれど、全く食べないというのもなぁと、考えてふと、そういえば近くに老舗のバーカロがあったことを思い出しました。

いつ来てもこの小さなオステリアは人で溢れ、中に入れない客はお店の前の川岸にもたれて、それでも、ワインやおつまみのチケッティを楽しんでいます。ホテルから歩いてすぐだし、毎年店内の混雑ぶりに素通りをしてきましたが、そうだ、今年こそはお店を訪ねよう。


私が頼んだ白ワインとチケッティのクロスティーニ


目的思考が強いのか、こうと決めたら爆走するクセがモクモクと沸いて来て、というのは大げさですが、例によって、ちょっと行ってみよう~となりました。

店の前に来ると、やっぱり店内は地元の人やこのバーカロを知る観光客でいっぱいで、とても入れる雰囲気ではありませんでした。それでも、三人のグループが食事を終えて外に出たのを見計らって中に滑り込めたのはラッキーでした。


記事には関係ないけれど

リド島のヴァポレットの乗り場にて

あのぉ…座りたいんですけど

詰めてもらえます?


こんな時、いかに上手く自分の落ち着き先を確保するか、が課題です。「ペルメッソー(すいませーん、通して下さい)」と米つきバッタのように頭を下げながら、先ずはカウンターまでたどり着く。平たい顔族の女性がただ一人、ベネチアのちょっとディープなお店に入れば、そこは少しながら目立つのだろうけれど、でもそれは一瞬のことで、皆、自分のお酒と次に頼むチケッティのことに興味がいって、私の存在など店の背景にもならない。


記事には関係ないけれど

ヴァポレットに乗って来た地元のワンコ

リド島で降りて行きました


と言うわけで、ちょうど良い位置に、自分の居場所が取れたから、ワインとクロスティーニをゆっくり楽しむことが出来ました。クロスティーノは一つが1.2ユーロで、カウンターで注文してその場でお金を払います。三つも食べると、そこそこにお腹も落ち着いて、人心地が着きました。



沢山の人で溢れる「スクエーロ」の店内


そろそろ出ようと思っていたとき、一人の男性が、日本人か、どこの出身かと話しかけてきました。日本人だということと出身地も答えましたが、すると彼は、自分も昔大阪に住んだことがある、と嬉しそうに言うではありせんか。日本語も披露してくれて、かつて過ごした日本を懐かしんでいるようでした。そして、自分の奢りだと、二つのチケッティを注文して、私にくれました。お金を支払って彼はお店を出て行きましたが、こんな厚意をむげに断る訳にもいかず、有り難く頂戴した次第です。


ご馳走様でした!!


前述もしましたが、旅先でホテルにこもっていたら、なんの変化もないし人との触れ合いもない。いわば、犬も歩けば棒に当たる、ということか。

明日はいよいよ今回の旅行の最終日です。ベネチアは結構温かいし明日のお天気も良さそうです。島内の散策はお休みにして、ちょっと遠出をしようと思います。船に乗って、バスに乗って、又船に乗って歩いてetc無事に行って帰って来られたら、又、行き方を詳しくご紹介したいと思いす。とても綺麗で素敵な町なのだそうです。切符売り場のおじさんが、自分の故郷だと自慢げに教えてくれました。


オステリア・スクエーロ


スクエーロへの行き方は簡単です。ヴァポレットの駅ザッテレで下車して、左に運河を見ながらまっすぐ進みます。右手に有名なジェラテリア「ニコ」がありますので、通り過ぎ、目の前の小さな橋の手前を右に曲がれば、すぐです。河をはさんで向かい側に、ゴンドラの造船所があります。

・オステリア「スクエーロ」
 住所:Dorsoduro 943/944―30123
 TEL:041 2960479


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ベネチアに到着

2016年12月27日 | ベネチア


ベネチア到着!


■2016年12月27日(火)

先ほどフィレンツェから移動して、ベネチアに着きました。これまで、もう何枚、同じ光景をカメラに収めたことでしょう。この地に立ばどうしても写真を撮りたくなる。旅行者は、列車から降りると、先ずはここで一枚。お天気はいいし、今日は最高のベネチアが残せることだと思います。



ガラスの橋、カラトラーバ橋をくぐって


先ほど無事にホテルに入りました。少し早いのですが、ホテルは快くアーリーチェックインを受けてくれました。


ベネチアらしからぬ風情のホテルです


以前から一度泊まってみたかったホテルでした。イタリアに行くかどうか全く不明の今年の1月に、というよりも、前回の旅行が終わってすぐに予約を入れたのですが、そうでもしないと、いろんな意味でとても泊まれそうにない、そんなホテルです。



部屋に案内して貰って、その明るさに驚きました。そして評判通り、機能性は高くて、細部に渡っておされーです。お風呂はどうもジェットバスのようですが、昨年、この種の浴槽で、ゴミが吹き出したものだから、ちょっとトラウマです。

なんにしても、快晴なのが嬉しいっ。これから、町を闊歩して来ようと思います。
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