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■ 歌い手のオリジナリティ  ~ 中森明菜をめぐって ~

台風14号、大きな被害が出ずにすみますように・・・。

今年も半年を過ぎましたが、「空前の不作」といわれた昨年以上にヒット曲が出ていない感。
TVの歌番、このところ1980年代特集ばっかりで、聴き手の意識もそっちに流れがちなのかも。

それにしても、1980年代の歌手のオリジナリティ感、やっぱり凄まじいものがありました。

たとえば『駅』。
竹内まりや作詞・作曲のこの曲は1986年リリースの中森明菜のアルバム『CRIMSON』が初出で、翌1987年に竹内まりやがセルフカバー(山下達郎プロデュース)。
その経緯については有名な逸話があるのでここでは触れませんが、聴き比べてみると歌い手としてのオリジナリティがどちらも際立っていることがわかる。

■ 中森明菜 Vers.


■ 竹内まりや Vers.


中森明菜はマイナー調の楽曲が多いけれど、これは日本のPOPSに必然として求められるもの。
山口百恵が抜けた空白を、中森明菜ががっしり掴んでいった感じがある。

だから、どちらがいいとか悪いとか、そういう話でもないような感じがする。
それぞれのテイクにそれぞれのファンがついている、というかどちらにもニーズがあるから。

正直、中森明菜がデビューしたとき、どの方向をめざしているのかいまいちよくわからなかった。

■ 中森明菜 - スローモーション


1982年5月1日リリースのデビュー・シングル(作詞・作曲:来生えつこ・来生たかお)。
曲のできかなりのものだし、中森明菜のたおやかでフェミニンなヴォーカルも充分魅力のあるもの。
でも、これ、オリコン最高位30位だったのよね。

この路線はすでに先駆者がいたし ↓



この時期、美声系のレベルの高さもハンパじゃなかったから・・・。

■ とみたゆう子 - MORNING HARBOUR


■ 八神純子 - Touch you,tonight



で、2作目から路線変更を図って山口百恵のシンパシー層をがっしり掴み、音楽史上に残るこの神曲 ↓ をものしたわけです。

■ DESIRE -情熱-(1986年)

これがオリジナリティ。
「スローモーション」を思いっきりフェミニンにこなせる地力があるから、こういう難曲に微妙な色気をもちこめるんだと思う。

そして、こういう名テイクが、いまの「黄金の世代」を育てたと思う。
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