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森繁久彌「向田邦子」を語る その4

2017年04月06日 00時06分56秒 | 人の紹介(こんな人がいる)
 森繁久彌「向田邦子」を語る その4

「重役読本」の開始早々から、良質の台本を量産するので、二、三の方面に推薦してみました。
 ラジオばかりじゃなく、映画や、再びテレビの仕事もやらそうと言うと大変失礼な言い方だけど、得難い才能だから、一箇所で隠しておくのはもったいない気がしたわけです。
 東宝の専務だった藤本真澄さんに推薦しました。社長シリーズの台本を一本書いてもらって見せたら、即座に駄目だと宣(のたま)う。何を寝ぼけてるのか。藤本さんはプロデュサーでもありましたから、「あなたの書いてこさせる他のライターの作品より、向田さんのほうがずっと面白いじゃないか」と詰め寄ると、「そうじゃないんだ。毎回、同じような展開がいいんだ」とおっしゃる。奇しくも、私が向田さんに「マンネリがいいのよ」と説教されたのと同じことをるる説かれる始末です。

 渥美清さんの「寅さん」シリーズもそうなんでしょうが、人気長寿ものは、そうそう筋が変わっちゃいけないんですね。「社長」シリーズは終始、私がドジを踏み続けるほうが受けるわけです。そこへ向田さんが都会的、知的な森繁の登場する台本をひっさげてきた。才能のしたたり落ちるやつを・・・でも、結局ボツになりました。今、どこにあるんだろうな。あれも幻の名作ですね。

 それでその頃スタートしたテレビ・ドラマ「七人の孫」のピンチライターに紹介したのですが、ここで彼女は自分向きの土壌を見つけて、「寺内貫太郎一家」「冬の運動会」と次々に大輪の花を咲かせていったのは、ご存知のとおりです。

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