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「大放言」 その3 百田尚樹

2017年06月14日 00時01分05秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「大放言」 その3 百田尚樹  新潮新書 2015年

 「言葉狩り」の時代 その1 P-10

 いつの頃からか、日本人はその言葉の裏にある真意よりも、表面上の言葉にだけ反応するようになった。典型的なのが、昭和50年代に起きた一連の言葉狩りである。
 もともとは差別に抗議する団体が中心になって行った運動がきっかけだったが、やがてそれは社会全体を飲み込み、巨大な力となった。

「その言い方は差別だ!」「その表現は許さない!」とメディアや世論が大合唱して、多くの表現者や作品を追い込んだ。国民的作家である司馬遼太郎氏の『竜馬がゆく』の中の「ちょうりんぼう」という言葉が差別語であるとして、司馬氏は解放センターに呼び出されて糾弾された。幸い『竜馬がゆく』は絶版にはならなかったが、問題とされた言葉は修正されることになった。江戸時代の物語であるのに、当時使われていた言葉(歴史用語)が使えないというのは不合理極まりないが、それほど糾弾は激しかったということだ。