絵本と児童文学

絵本と児童文学、子ども、保育、サッカーなどの情報を発信する

大地が芽吹くとき

2005-06-04 09:41:22 | 旅行
 飛行機の着陸時の上空からは、雪をいただいた山が印象的だった。新千歳から札幌の車窓からは、木々の芽吹きが始まってまもない新緑の美しい景色が飛んでいくのを追いかけていた。シラカバの林は柔らかい黄緑、カラマツかエゾマツだろうか濃い緑に新芽が勢いよく出していた。たくさんの木々が、様々な緑で一斉に生命力を競い合っているようだ。
 水田は田植えを終えたばかりで、たっぷり水をたたえている。あぜ道などに黄色い花が群生し緑にアクセントをそえている。所どころに緑鮮やかな麦畑、それに牧草地も見られた。
 太陽の光が降り注ぎ、自然に勢いを与えているようだ。湿度が低く乾いている空気がそう感じさせるのだ。風はぴりりとして、光とあいまって心地よくからだを通り抜けていく。
 北海道は関東から見れば、春と初夏が一度にやってきているようだった。冬眠から覚めた大地が命の輝きを謳歌し、その勢いのなかにいる人々に活力を与えてくれているにちがいない。

 事情があって急に北海道へ行った。この季節は、雨が少なく日差しの明るさと風が心地よく、よいときである。朝は3時過ぎから明るく、夕方は7時過ぎても活動ができるほど長い。緯度が高いため、本州とは異なる北海道ならではの自然は、日本の気候と文化の多様さを改めて実感したのだった。

 札幌からは、長距離バスに乗り換える。乗客はようやく2桁ぐらい。2時間半乗車したが、対向車線の車と行き交うのは、20秒前後ぐらいに1台である。20秒前後というのは、かなり車が少なく感じるものだ。
 日本海の海岸線の道路は、侵食に抗する工事が随所でされていた。冬期間の北西の強風のため、海岸沿いの山の木々は風に抗えず、低く地べたをはうように生えている。その木は芽吹きを迎えていなかった。発電のための巨大な風車が、さらに増えて各所で回っていた。
 南に見える暑寒別岳は、まだ雪で覆われていて、青空にその姿が浮き彫りにされ、優雅さをかもし出していた。
 家を出てから目的地に着いたのは、10時間後だった。日本は広いというのか、市場原理で成立してりる公共交通が都市と過疎地の格差を拡大固定したため、とにかく遠かった。


コメントを投稿