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最近の絵本ガイド雑誌

2004-04-06 21:27:12 | 絵本と児童文学
[126] 最近の絵本ガイド雑誌 (2004年04月06日 (火) 21時27分)

■芸術新潮3月号 1400円 (新潮社)
 視覚で理解できるさまざまな分野を、美という切り口で作っている歴史を誇るぜいたくな雑誌である。3月号は、ミッフィーのキャラクターで日本に浸透している絵本作家ディク・ブルーナーを特集している。作家名とは無縁なぐらいミッフィーのキャラクターが生活に溶け込んでいる。しかし雑誌を読めば、ミッフィーはディク・ブルーナーのほんの一部にすぎなく、絵本を作り出す技法と思想が理解できる。
 ディク・ブルーナーの作品は日本での人気は突出しており、したがって重要な市場である。ディク・ブルーナーは、もともとグラフィクデザイナーであるが、日本には60年代から絵本作家として親しまれている。日本にはたびたび来日しているが、アトリをオランダのエユトレヒトにかまえていて76歳である。
 去年の夏から大阪市、刈谷市、福岡市、板橋区と展覧会をし、現在は横浜市(そごう美術館、5月5日まで)で開催中である。ちなみに特集名は「おとなのためのディック・ブルーナー入門」とし、75ページを使っている。

■子どもと読書3、4月号 500円 (親子読書地域文庫全国連絡会)
 隔月刊のこの雑誌は、「特集・2003年子どもの本この一年」というとように、毎年この号で1年間の総括をする。児童文学全般にわたっているので、絵本については作品紹介を中心に3ページ使っている。
 児童文学全般についてふれられているので、今日の状況の輪郭をとらえるための手がかりになるだろう。

■日本児童文学3、月号 950円 (小峰書店)
 日本児童文学者協会編集の、この分野でもっとも理論的な雑誌である。特集が「いま、絵本はどうなっているか」と、久しぶりの絵本特集である。絵本編集者へのインタビューや多くの人が短い文章で絵本について切り込んでいるので、絵本をめぐる今日を分かりやすくしている。
 しかしこの雑誌への期待として、たとえばブックスタートの開始とかかわって絵本(業界といってもよい)が変化していることなどをどうみればよいか、といった切り口の論文がほしいのではないだろうか。絵本がヒットする可能性ある商品として、売り上げが話題になるようになっている。作品や作家を取り上げた絵本ガイドの出版が多いのに、評論はむしろ衰退しているのではないか。そんな認識があるため、この雑誌に期待してしまうのだが。

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