『ちびくろ・さんぼ』が売れている。ネット販売のamazonで、25(月)にトップでした。今日は8位と、その健闘ぶりは驚きです。それは絵本ではめずらいしこどであり、もし新刊だとすればまれな事例のはずです。
17年ぶりの復刊ということは、その年月は長く本来は世間から忘れ去られるぐらいのはずです。しかし多くに人の中に生き続けていたのです。復刊を待ち望んでいた人がいたわけだから、差別本として絶版にしたことに無理があったのかもしれません。
怖いはずのトラを、さんぼが機知でくぐりぬけてケーキにして心ゆくまで食べてしまうという、良質の明るいおもしろさがあります。子どもの冒険心と達成感を満たしてくれます。しかも次々のトラとの出会いが、繰り返しの表現技法なので子どもに満足感とを与えます。
ところで『ちびくろ・さんぼ』の絶版問題を論じたの本を紹介することにします。
■杉尾敏明・棚橋美代子著『焼かれた「ちびくろサンボ」-人種差別と表現・教育の自由』 92 年11月発行 青木書店
■径書房編集部著『ちびくろサンボ絶版を考える』 90年8月発行 径書房
■灘本晶久著『ちびくろサンボよすこやかによみがえれ』 99年6月発行 径書房
■ジョン・G・ラッセル著『日本人の黒人観-問題はちびくろサンボだけではない』 91年発行 新評論
■市川伸一編『ちびくろさんぽの出版は是か非か』 北大路書房
17年ぶりの復刊ということは、その年月は長く本来は世間から忘れ去られるぐらいのはずです。しかし多くに人の中に生き続けていたのです。復刊を待ち望んでいた人がいたわけだから、差別本として絶版にしたことに無理があったのかもしれません。
怖いはずのトラを、さんぼが機知でくぐりぬけてケーキにして心ゆくまで食べてしまうという、良質の明るいおもしろさがあります。子どもの冒険心と達成感を満たしてくれます。しかも次々のトラとの出会いが、繰り返しの表現技法なので子どもに満足感とを与えます。
ところで『ちびくろ・さんぼ』の絶版問題を論じたの本を紹介することにします。
■杉尾敏明・棚橋美代子著『焼かれた「ちびくろサンボ」-人種差別と表現・教育の自由』 92 年11月発行 青木書店
■径書房編集部著『ちびくろサンボ絶版を考える』 90年8月発行 径書房
■灘本晶久著『ちびくろサンボよすこやかによみがえれ』 99年6月発行 径書房
■ジョン・G・ラッセル著『日本人の黒人観-問題はちびくろサンボだけではない』 91年発行 新評論
■市川伸一編『ちびくろさんぽの出版は是か非か』 北大路書房
『ちびくろさんぼ』の原作は、100年以上前に制作されたものでありながら、良質のユーモアと子どもの躍動感にフィットするすぐれたものです。99年に径書房が出版した原作を見るとよくわかります。
絶版されたものが瑞雲社によって去年出版されましたが、岩波書店が持っていた版権が切れたためです。 問題になって絶版になった本を再販するに当たって瑞雲社からの何らかの説明があってよさそうなのが、それがなかったのが残念です。
出版社の持っている公共性と志の高さが薄れてきて、もうけ、いや市場主義がすべてかのような社会現象が絵本出版にも反映されているのです。