世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

TPP こりゃ自由貿易なんてもんじゃない、国家を丸ごと変えてしまう

2011年02月14日 | 日記

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TPP こりゃ自由貿易なんてもんじゃない、国家を丸ごと変えてしまう


TPPってモンスターのような罠協定が無知無能なレイムダックな菅直人の面前に、美味しい「霜降り牛肉」のように突き出され、その肉にどんなバイ菌やウィルスや針が仕込まれているとも知らず、菅直人は火も通さずに喰いついた、と印象のある話だ。状況証拠の段階で、真っ黒な協定だということだ。

印象で決めるのは軽率かもしれないが、各省庁でも評価が別れ、有識者の間でも意見が別れる状況下、筆者が自分の感覚で“こりゃ危ない”と思っても問題はなかろう。

そもそもNAFTA(北米自由貿易協定:アメリカ・カナダ・メキシコ)と同様の自由貿易協定と云う言葉のニアンスが我々に錯覚を与えているような気がする。現実にNAFTA加盟で痛い目に遭っているのがメキシコだ。TPPを論ずる前に、先ず友好関係にあるメキシコの、アメリカがリードする自由貿易協定の実情などを真剣に調査する事からはじめる重要案件であり、昨年10月にオバマ政権が“ハタと気づいた”話に飛びつく馬鹿はいないだろう。 少なくとも臨終寸前の政権が口にするような、生易し協定でないことはたしかだ。

関係省庁が、てんでんばらばらにTPP参加による、GDPのメリット・デメリットを出しているが、省庁毎のご都合主義算出法であり、まったく何の信頼性もない。菅直人の性癖としては、臨終寸前だからこそ、飛びつく材料としてTPPに喰らいついただけなのだろうが、甚だ迷惑だ。

オバマ大統領の輸出の倍増計画と何百万人の雇用創設計画にフィットしていることも気がかりだ。APECの目玉として用意されたオバマ政策ヨイショの一環と考えても良いくらいの、唐突にして壮大なアメリカの落とし穴への大行進になるだろう。アメリカのトリックプレーにまんまと菅直人が引っ掛かり、APECだけではなく、ダボス会議でまで世界に馬鹿度を知らしめてしまった。

TPPについては、ウィキペディアのTPP解説を読んで貰う方が良いだろう。此処に貼りつけるには長すぎる。コラムでは、TPPなるものが何故唐突に生まれ、どういう人々が熱心に推進しようとしているか、それを語るだけで、“はぁはぁ~ん”と気づいてくれる事を希望している。

参加しないと、 自由貿易が出来なくなるような馬鹿な情報が流れているが、今でも若干の関税があるだけで、自由貿易は既に行われている。仮に問題のある二国間があるなら、FTA協定で充分解決出来る問題なのだ。何も、太平洋に接しているからと、チリだペルーだアメリカだは、雲を掴むような自由貿易圏を作る必然性など微塵もない。だから、この不自然な包括性の強い貿易協定は肌で危ないと感じるべきものだ。

この環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership)は元々2006 年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定に過ぎない。このTPPに2010年10月APECを目前にして、米国オバマ政権が参加と口にしてから、とんとん拍子にTPPが日本国家の重大事のように、菅直人やマスメディアの紙面を埋めることになった。しかも、ロクな解説抜きにだ。

菅直人がAPECの目玉言葉、否、オバマの機嫌を取るために用意されたような胡散臭い協定話である。早い話、日米の自由貿易協定であり、経済連携と云う名に隠れた、国家のシステムの共通化、と云う重大な項目が含まれているのだ。つまり、農業への打撃とか輸出企業への追い風とか、貿易に関する問題より、金融や労働市場の開放と云う問題が落とし穴と云うか、罠なのである。

当然、食の安全保障は崩壊する。米豪が日本の食糧の安全保障を握ってしまうようなもので、目標食料自給率55%なぞ笑い話の世界が出現するだろう。その上、食の安全が保証もされない。狂牛病、遺伝子組み換え食品など、すべてがノーガードになる可能性が高いのだ。

FTAであれば、二国間の利害損得の範囲で話し合いが可能だが、多国間になればなるほど、最大公約的話になるわけで、包括性と多国間性は日本人、日本の政治家・官僚の最も不得手な交渉カテゴリーである。 気がついてみたら、金融・証券・保険は外国資本に席巻され、年収200万で嬉々として働く外国人単純労働者に製造業労働者の地位を奪われるであろう。混合診療の急速な発展は、最終的にチャンとした医療が受けたければ社会保険では意味がなく、米国系保険会社の医療保険に入るのが当たり前の時代が到来するかもしれない。国民皆保険制度の崩壊の危惧もある。法廷では、外国資本の企業に雇われた日本の弁護士がサラリーマンとして法廷に立つようになる。そうそう、ゼネコンも気がつくとGE建設なんてのが、公共事業のすべてを牛耳るのかもしれない。

以上は少々大袈裟な杞憂だが、まったくの嘘ではない。そんな杞憂の生まれる協定をレイムダック政権が判断して良いわけがない。 現時点で判明しているだけでも、貿易と云う印象とは裏腹に、あらゆる分野を包括する協定であることが判っている。工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃。金融、電子取引、電気通信などのサービス。公共事業や物品などの政府調達方法。技術の特許、商標などの知的財産権。投資のルール。衛生・検疫。労働規制や環境規制の調和。貿易の技術的障害の解決。貿易紛争の解決 。まだまだ見えていない部分もあるようだ。

これに我が国はプラス、日米同盟で米軍に国土を基地という名で占領されている。普通の独立国・日本はどんどん遠くに遠ざけられていく。悲観的になるなと言われても、そうなるのだから悲観しない奴は国賊だよ。しかし、嬉々として毒を国民に呑ませようとしている奴もいる。ただ首相の座を守る保身の為にだ。

APECに続いて、菅直人はダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「開国と絆」をテーマに特別講演、「第3の開国」の必要性を強調した一方、その過程で生じる格差への対処法として、不幸な人を社会全体で包み込む「新しい絆」の創造と造語の連発で、失笑を買ったらしいが、小泉のワンフレーズ演説に聞き惚れていたのだろう。続いて、「国民が内向きになっている」「この10年、経済連携で足踏み状態にある」、「自由貿易こそ世界と繁栄を共有する最良の手段」等と語った。

アメリカポチの代表格前原外務大臣は「覇権の下ではなく、協調を通じてアジア太平洋地域全体を発展させることが、各国の長期的利益と不可分一体であるとの基本的な考え方に立ち、新しい秩序を形成すべきです。その一環として、途上国の開発と経済成長を支えてきたインフラの整備に加え、法の支配、民主主義、人権の尊重、グローバル・コモンズ、知的財産権の保護を含む自由で公正な貿易・投資ルールといった制度的基盤(institutional foundation)を整備していくことが必要」と超前向きに語っている。

TPPで菅と取引でもしたらしい海江田経産相は「TPPは、一つの歴史の必然ではないか」と語り。11年1月27日にはルース米駐日大使が海江田経産相を訪問、「日米関係にとっても非常に重要だ」と情報提供を約束した。嫌に親切すぎる。海江田は菅の方針をあらためて説明した上で「私自身も日本の経済を活性化させるために重要なファクターと考えている」と語った。また、悪名高き米国通商代表部のカーク代表から、親密な電話を貰い悦に入っている。

また、TPP推進論者として竹中平蔵に高橋洋一、これに逮捕された元日本振興銀行の木村剛が加われば、なんちゃらトリオの完成だ。小泉純一郎日本売り政策の揃い踏み。

TPPの理屈を考えるより、推進者の顔ぶれ見たら、“売国政策じゃん?”って結論になるのは筆者だけではないだろう。今さら、デフォルトの心配までしている米国相手に、包括的国体横断協定に邁進する姿は異様に見える。米国と心中する覚悟と云うなら、そう云う選択もあるだろう。しかし、菅直人が取り扱う問題ではないのはたしかだ。


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