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近江鉄道の謎解きゲーム改良提案

2022年06月19日 16時10分26秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ
 
滋賀県東部を走る近江鉄道で謎解きイベントを開催している事を知り、早速昨日、日帰りで乗りに行ってきました。JRの新快速で近江八幡には午前9時前に着きましたが、新旧2種類ある謎解きキットのどちらを選ぶか迷っているうちに、電車が出発してしまいました。約30分後には次の電車が来ますが、それでも大都市と比べると本数が少ない中で、貴重な時間をロスしてしまいました。
 
新しい方の「失踪駅長探し」の謎解きキットを買う事にして、次の電車で近江鉄道の本社もある乗換駅の八日市に。ここには近江鉄道の博物館もあり、歴代車両や運転設備の写真や模型が展示されています。ここで早速キットを開けて謎解きに挑戦する事にしましたが、もうバカらしくなって止めました。なぜバカらしくなったのか?この謎解きゲームは、失踪した駅長を、一日駅長が「おっちょこちょいの駅員」と一緒に探す設定になっていて、駅長の残したメモ(暗号)を解読しながら、近江鉄道の電車に乗って探しに行くのですが。せっかくお宝物の展示が目の前にあるのに、それを尻目に、ひたすらメモ(暗号)探しにポスターの裏や駅の階段の下を捜索しなければならないからです。
 
先程の区間を除けば、近江鉄道は1時間に1本しかダイヤがないのですよ。その貴重な時間を、ひたすらメモ探しと暗号解読にばかり追われていたのでは、肝心の展示もちゃんと見れないし、沿線の観光地も回れません。電車の写真撮影も出来ません。そこで、謎解きの第一問を回答した後は、もう謎解きキットはリュックサックの中に閉まって、ひたすら沿線の観光地を巡る事にしました。
 
しかも謎解きキットの対象区間は八日市から水口(みなくち)付近までに限られています。その区間は近江鉄道の中でも一番乗客数の少ない所で、沿線の観光地もローカルなものばかり。逆に、有名な彦根城や多賀大社は含まれていません。そんな所で足止めくっていたのでは、もうどこも回れないじゃないですか。これでは、「赤字減らしの為に、ただ観光客を闇雲に電車に乗せて回らせようとしているだけではないか」と勘繰られても仕方ないでしょう。
 
そこで、謎解きキットでは次に水口石橋駅に向かう事になっていましたが、もうそんな指示は無視して、まだ何かありそうな日野で途中下車する事に。日野町は織田信長や豊臣秀吉に仕えた蒲生氏郷の城下町です。日野駅には「なないろ」という無料休憩所と駅カフェを兼ねた施設も併設されています。ちょうどお昼になったので、そこでランチを食べる事にしました。
 
 
ランチを食べる前に、「なないろ」の観光案内所で、近江鉄道の見所について改めて聞きました。そうしたら、「古い駅舎が結構残っている」との事で、いくつか駅をピックアップしてもらったので、まずはそこを訪ねる事にしました。ランチは豚生姜焼き定食を注文しました。600円ぐらいの安い値段で、野菜も豊富な手作りランチ。非常に美味しくいただけました。しかし、ボランティアの主婦が作っているせいか、出来上がるまでに時間が結構かかりました。20分ぐらいかかったでしょうか。その為、昼からの出発が遅くなってしまいました。
 
 
まずは近くの水口駅から。ここは旧・水口町(現・甲賀市の一部)の玄関口で、旧東海道の宿場町・城下町として賑わった所です。敵の侵入を防ぐ為に作られた、城下町特有のかぎ型の街並みや、広場のからくり時計で有名です。でも、もうそこまで見る時間はないので、駅構内の写真撮影だけに留めました。プラットホームの土留や駅の建物には、昔のレールや犬釘が使われていました。ホーム建屋の柱に使用されたレールには、1912年製造の刻印も見つかりました(右上の写真がそれですが分かりにくいかも)。
 
次の桜川駅も古い駅舎で有名だそうですが、もう回っている時間はなので、その次の新八日市駅に。こちらは近江鉄道から分かれた八日市線の駅ですが、本線の八日市とは目と鼻の先にあります。特にここの駅舎は古くて風情があるので有名なので、ここは絶対に外せません。木造の駅舎にはツタが絡まり、横にはあじさいの花が咲き乱れていました。
 
 
それにしても、本線の八日町駅とは目と鼻の先に、なぜまた新八日市駅が。実は、この駅は、近江鉄道とはまた別の私鉄である八日市鉄道のターミナル駅でした。昔は全くの支線で、本線が電化された後も蒸気機関車が走っていました。近江鉄道に吸収合併された後で、ようやく本線とも繋がり電化される事に。しかし、今やこちらの支線の方が、県庁所在地の大津や京都に向かうメインルートとして、ダイヤも本線より多い30分に1本のダイヤに。それでも赤字である事に変わりはありませんが。
 
それでも、今まで乗った愛知県の明知鉄道や静岡県の岳南電車とは違って、常に2両編成の電車が行き来しています。乗客数も、前者と比べたらはるかに多いです。時間帯や区間によっては、2両編成の電車がほぼ満席になる事も。これでは、いくら赤字であっても簡単に廃止には出来ません。もし廃止してしまったら、道路がマイカーで溢れかえり、大渋滞でバスも通えなくなります。現に、福井県の旧・京福電鉄では、鉄道を廃止した結果、道路が大渋滞してマイカーも使えず、歩いて何十キロも通勤しなければならない人が続出した為に、いったん廃止された路線が第三セクターの「えちぜん鉄道」として復活しました。
 
必要な物は、いくら赤字であっても廃止する訳にはいきません。町の活性化にとっても鉄道は必要です。それが少子化や商店街の衰退を食い止める事にも繋がります。国も「持続ある開発(SDGs)で地球温暖化防止を図らねばならない」と言っているのですから、「何でも地方に丸投げ、民間のボランティア任せ」にするのではなく、こういう時こそ、国としての役割を発揮してもらいたいと思います。
 
 
新八日町駅から八日町駅に向かうコースは、箕作山(みつくりやま)の麓を流れる川の散歩道でもあります。滋賀・岐阜・三重の3県境にまたがる伊吹山地や鈴鹿山脈から流れ出た川が、近江盆地に入る所で地下に潜り、再び清流となって湧き出す所です。だから、散歩道を挟んで流れる両側の川の、片方はきれいな水がとうとうと流れているのに、もう片方の川は湧水が枯れて(あるいは水が地下に潜って)枯れ川になっていたりします。大阪ではまず見られない光景です。
 
もう一つ、大阪では絶対にあり得ない光景に遭遇しました。それは参院選のポスターです。私は今まで、滋賀県なんて自民党が天下の保守王国だと思っていました。しかし、ここでは野党のポスターが自民党のポスターを圧倒していました。実は滋賀県は、大企業の工場が多い関係もあり、民主党系が意外と強いのです。それでも、大企業正社員の御用組合が中心なので、野党と言っても、所詮は自民党と似たり寄ったりではないかと思っていました(今の維新のように)。
 
 
ところが実際は、野党第一党の立憲民主党だけでなく、共産党や社民党のポスターも数多くあり、それらが自民党のポスターを圧倒していました。逆に、大阪では断トツに多い維新のポスターは、ここでは一枚も見かけません。生臭い話題なので、書こうかどうか迷いましたが、もうすぐ参院選なので、「井の中の蛙になってはいけない」と思い、敢えて紹介する事にしました。
 
 
八日町の駅に着いたら、もう午後2時を回っていました。もう後は鳥居本駅の古い駅舎を撮影して帰る事にします。本当は多賀大社など、他に回りたい所も幾らでもあるのですが。謎解きキットに同封されている一日フリー切符は当日限りしか使えませんので。ようやく鳥居本の駅に着いたら、もう午後4時前になっていました。この駅は、他の古い駅とは違い、洋風建築です。鳥居本は旧中山道の宿場町として栄えた所なので、文明開化の息吹をいち早く取り入れようとしたのかも知れません。大阪の南海本線・浜寺公園駅も、こんな洋風建築でした。
 
 
この鳥居本でもそうですが、小さな無人駅であるにも関わらず、貨物用の側線が横に何本も延びています。他にもそういう駅が数多くありました。その大半は、もう使われなくなって久しいものがほとんどですが。これが先程の湧き水の話とも関係するのです。実は、伊吹山地や鈴鹿山脈は主に石灰岩で出来ています。石灰岩でセメントを作り、そのセメントを運ぶ為に、昔は貨物輸送で賑わったのです。駅の側線や貨物線、駅から延びる謎の専用線は、全てその名残です。他方で、石灰岩は水はけが良いので、川は地下に潜って麓から湧き出します。だから麓では湧き水が豊富なのです。
 
 
近江鉄道本線の五箇荘駅から分かれて愛知川(えちがわ)河川敷の方に延びる専用線も、そんな側線の一つです。但し、セメント運搬用ではなく線路のバラスト用の砂利採集の為の専用線ですが。今でも終点付近には砂利採集用の機械が留置され、バラストが積み上げられているようです。つまり今も現役の専用線です。今時こんなものがまだあったなんて、どこにそんな専用線が!(ビズリーチのCMのノリでw)でも、実際はもうほとんど使われていないようですが。これも、大阪ではありえない光景です。
 
 
以上、限られた時間の中で、下調べもろくにせず電車に飛び乗った割には、収穫の多い日帰り旅行でした。しかし、最後に少し嫌な目に遭いました。それは、鳥居本駅のトイレが壊れて使えないまま放置されていた事です。尿意を催したので、駅のトイレに駆け込もうとしたら、何と「使用禁止」の張り紙が。他にトイレのある場所を聞こうとしても、無人駅なので誰にも相談できず。駅前をあちこち探しましたが、周囲は小さな宿場町なので、数少ない商店もどこも閉まったままで。もう諦めて次の近江八幡行きの電車に飛び乗りましたが、どうしても我慢できずに途中の高宮駅で下車するはめに。それでなくても電車の本数が少ないのに。
 
左上の3枚窓の赤い電車が800形(元西武401形)、右上の2枚窓の青い電車が100形、下のアイボリー地に青・赤の線入り2枚窓の電車が900形。2枚窓の電車はどちらも元西武101形をそれぞれ改良。いずれも80年代から90年代にかけて西武鉄道で活躍した後、2010年前後に近江鉄道に移籍。
 
そこで、大阪に帰ってから、近江鉄道の窓口に下記のメールを送りました。↓
 
初めまして。近江鉄道の周遊型謎解きゲーム第二弾「失踪した駅長をおっちょこちょいな駅員と探す謎解き」キットを購入して昨日、御社の電車に乗って来た者です。
 
鉄道振興策として考え出された上記のゲームですが、謎解きにばかり時間が取られ、肝心の周遊観光や写真撮影の時間が充分取れませんでした。
 
折角わざわざ大阪から初めて近江鉄道に乗りに来たのですから、暗号解読の為にポスターの裏や階段の下を捜索する時間があるなら、その時間をもっと各地の周遊観光や電車の撮影に割きたかったです。
 
駅長の残したメモ(暗号)を頼りに、架空の駅員と一緒に近江鉄道に乗って失踪した駅長を探しに行く謎解きゲームですが、対象エリアが八日市・水口エリアに限られているのが残念です。これでは彦根城や多賀大社の周遊に時間が取れませんし、文化遺産に登録された新八日市駅や鳥居本駅の古い駅舎も撮影出来ません。
 
これでは「赤字解消の為に、観光客をただ呼び込んで、闇雲に電車に乗せて、運賃収入稼げばそれで良いのか?」と勘繰りたくなります。
 
謎解きゲームのアイデアそのものは悪くはないのですが、同じ謎解きをするなら、ただポスターの裏や駅の階段の下を捜索させるだけでなく、もっと近江鉄道や地域の歴史・文化も学べるものにして欲しかったです。
 
例えば下記の例の様に。
 
①滋賀県の近江鉄道に何故、関東の西武鉄道の譲渡車両が走っているのか?(西武創業者の堤康次郎氏が当地の出身だから→そこから近江商人の歴史紹介に話を広げる事も出来る筈です)
 
②各地の駅に貨物用側線の遺構が残っているのは何故か?(昔はセメント輸送で賑わったから→そこから石灰岩で出来た伊吹山の成り立ちや、麓の湧水が地域の住民生活を支えて来た事も紹介出来る筈です)
 
③八日市駅から歩いても10分もかからない所に何故、新八日市駅を設置したのか?(実は後者は昔は八日市鉄道という別の私鉄の駅で、後の近江鉄道への合併を機に初めて線路を繋げる様になった→ところが、今や支線の八日市線の方が大津・京都へのメインルートとなり、本線よりも乗客数を上回る結果に→地元・八日市振興の為に鉄道支援を訴える事も出来る筈)
 
最後に、鳥居本駅の壊れているトイレをなるべく早く修復して下さい。あそこでトイレを済ます事が出来なかった為に、帰りの近江八幡行きの電車を高宮駅で途中下車して、同駅のトイレで用便する羽目になり、平均1時間に1本しかないダイヤの中で、更に次の電車まで待たなければならなくなりました。

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