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2020年11月1日 大阪市の身売りを再び市民が阻止した日

2020年11月02日 23時38分22秒 | 都構想・IRカジノ反対!

11月1日、大阪市廃止・特別区設置(いわゆる都構想)住民投票が行われた。その日の夜、テレビの開票速報を見ていると、「大阪市廃止反対多数が確実」との第一報がいきなり入って来た。

その時点では、まだ賛成票が反対票を上回っていた。元々、賛成派の多い地域から開票が始まったので、その間は賛成優位が続く。でも、番組の最初で示された出口調査の結果では、わずかだが確実に、反対票の方が賛成票を上回っていた。

そもそも「都構想」自体が「うさん臭い代物」だった。「政令指定都市の大阪市を廃止して、4つの特別区に分割する事で、大阪市と大阪府が対立して物事が進まない二重行政の弊害を無くす。そして、特別区には公選区長と区議会を置く事で、身近な行政を実現する」。それが「大阪都構想」の謳(うた)い文句だったが、、、

①「都構想」と言いながら実際は「都」にはならない。「大阪都」にする為には、また別の法律を作らなければならない。今のままでは、たとえ都構想が賛成多数で可決されても、「大阪市」西成区✖✖から「大阪府」中央区字(あざ)西成✖✖に住所が変わるだけ。

②大阪市も、その下の西成区とか住之江区とかの行政区も廃止しながら、それでも「区役所」は残すと言う。しかし、実際は、特別区の下に設置される地域自治区の事務所を、無理やり「区役所」と称するだけ。実際は「出張所」でしかないものを無理やり「区役所」と称するだけだ。こんな「詐欺」みたいな話があるか!

③今まで1つの政令指定都市だった都市を4つの特別区に分ければ、新たに4つの区庁舎を作らなければならず、公務員も増やさなければならない。その分割コストを少しでも減らそうと、特別区の本庁舎も新たには建てず、今までの市庁舎や区庁舎に全て間借りするという。しかし、そんな「名ばかり」の特別区に一体何が出来ると言うのか?

④「大阪市を4つの特別区に分割する事で、身近な行政が実現できる」と言うが、法人市民税や固定資産税の徴税権も大阪府に奪われ、税収を4分の1に減らされて、一体どれだけ「身近な行政」が出来ると言うのか?自前の庁舎も持てず、水道や消防の権限もない。都市計画の策定権限もない。そんな「半人前」の特別区に一体何が出来ると言うのか?

⑤大阪府と大阪市の「二重行政」を解消して、「広域行政」は大阪府にゆだね、特別区は「身近な行政」に専念すると言う。しかし、地域の事は全て地域住民の自治にゆだねるのが、本来の地方自治だ。ところが、カジノや万博誘致は「広域行政」で、大阪府の専権事項だから、特別区は口出しできない。特別区が行使できる自治権は「身の回りの事」のみ。これでは江戸時代の「町方」や「庄屋」と何ら変わらない。いつから「地方自治体」は国や大阪府の「下請け」に成り下がったのか?

 

実際は「二重行政解消」の名目で、歴史も役割も違う大学や病院を無理やり統廃合。挙句の果てに大阪市まで廃止して、「身近な行政」とは名ばかりの「下請け」業務しか出来ない特別区に置き換えてしまう。そうして、カジノ誘致や水道民営化に反対出来ない様にして、犯罪対策や依存症対策などの尻ぬぐいだけを大阪市民に押し付ける。そして、大阪市を外国のカジノ資本やハゲタカファンドに売り飛ばしてしまう。

その策動を大阪市民は拒否したのだ。

いくらカネに物を言わせて物量作戦を展開しようと、公明党や一部の自民党府議を恫喝して賛成派に抱き込もうと、市民はそんな脅しには屈しなかった。

維新は、自分達は「疑問点は市役所に聞け」と、まるで行政を私物化する様なビラを撒いておきながら、真実を明らかにしようとした内部告発をデマ呼ばわり。その内部告発も、1つの政令市を4つの特別区に分割すれば、分割コストは増えるにも関わらず、国から支給される地方交付税交付金は1つの市だった時と変わらず。「分割すれば余分に経費が掛かる」という、しごく当たり前の事を言ったに過ぎなかった。その「当たり前」の発言すら権力の力で封殺。しかし、そんな脅しも遂に通用しなかった。

今回の住民投票の確定票数は、賛成67万5829票に対して、反対69万2996票と、その差はわずか1万7167票。(投票率62.35%、前回住民投票より4.48ポイント下落)

前回に引き続いて今回も僅差(きんさ)だったが、それでも、維新が行政やマスコミを味方に付けて、総力を挙げて都構想賛成に誘導しようとした中で、二度も否決を勝ち取った意義は大きい。

2020年11月1日は、大阪市民が、2015年5月17日の最初の住民投票に続き、再びハゲタカファンドとその代弁者たる維新の策動を拒否し、自分達の暮らしを守る事が出来た日として、永遠に歴史の記録に残るだろう。

大阪市の松井市長は、都構想否決の責任を取って、「大阪維新の会」代表の座を降りると表明した。しかし、同時に兼務している「日本維新の会」代表の座には引き続き留まると言う。大阪府の吉村知事も、「僕はもう都構想はやらない」と言った。しかし、やらないのはあくまでも「僕」だけであって、松井市長はどうするか何も言わなかった。松井市長は今の任期が終わるまでは大阪市長の座に留まると言う。ひょっとしたら、任期中にまた「都構想やる」と言い出すかも知れない。「内部告発さえ無ければ都構想は実現できていた」とか何とか屁理屈をつけて。

本当に責任を取る気なら、二人とも今すぐにでも市長や知事を辞めるのが筋だろう。そうして、二度と政界に足を踏み入れるな。そして、今や「無用の長物」と化した副首都推進局(大阪市役所内部の都構想推進部局)も即刻解体し、そこに偏っていた大阪市の職員を適正配置に戻すべきだ。

今まで10年以上も、「都構想」で行政を私物化し、大阪市民や大阪府民を散々振り回して来たのだから。コロナ対策も、雨がっぱ集めやイソジンの宣伝、赤信号回避の「大阪モデル」など、パフォーマンスばっかりだった。10万円給付金の支給もダダ遅れで。それに対する「罪滅ぼし」をしてこそ、初めて本当に「けじめ」をつける事が出来るのだ。


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