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洞川温泉の旅(3) 本物の癒しを求めて

2023年11月19日 09時44分08秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ
 
実は、私が洞川温泉への旅行を思い立ったのは、ほんの偶然からです。今月、土日に有休取りそびれた私は、代わりに平日の11月14日(火)・15日(水)に有休と公休を繋ぎ合わせて一泊旅行を思い立ちました。たった一泊の急な一人旅なので、大阪から近鉄とバスで気軽に行く事が出来、温泉でゆっくり寛げる洞川温泉に行く事にしました。
 
洞川温泉には夏にも行こうと思っていたのですが、今年の夏は殊の外(ことのほか)猛暑で、「関西の軽井沢」と称される当地の旅館はどこも予約で一杯。「ならばオフシーズンの晩秋・初冬の平日なら、ひょっとしたら予約が取れるのでは?」と。そう思い、ダメ元で電話したら首尾よく予約が取れました。そんな「取り敢えずの骨休み」のつもりで来た洞川温泉なので、当初はそんなに期待していませんでした。でも実際に来たら大違い。いまだに残る昭和の旅情にいたく感激しました。
 
 
まず値段。洞川温泉の旅館はどこも一泊2〜4万円もする中で、私が今回泊まった旅館は1万3千円余りと比較的リーズナブル。それでいながら、晩は鴨鍋、朝は湯豆腐と、手作りの料理が一杯。葛湯も生まれて初めていただき、そのまろやかな味を堪能出来ました。地元の名水で作った豆腐は、普段、大阪のスーパーで買う豆腐とは違い、非常に味がまろやかで身が締まっていて、非常に食べ応えがありました。
 
しかも、泊まった和室は、畳敷きの部屋に、ストーブと炬燵(こたつ)があり。炬燵なんて見たのはもう何十年ぶりか。もうずっと家賃3〜4万円台の洋間6畳ワンルーム暮らしで、風呂も狭いユニットバスなので、広い部屋の畳の上で、炬燵に入って、ゆっくりとお茶やお菓子を食べ、ゆったりとお風呂に入れる、そんな昔の暮らしをもう一度追体験してみたかったのです。
 
ただ難点はエアコンの設備が全くない事。夏は大阪よりはるかに涼しいので、別に無くても構わないのですが。大阪より摂氏10度近くも下がる冬は、さすがに炬燵とストーブだけでは冷え込みます。洞川温泉は標高835メートルの高地にあるので、私もそれを見越して冬の装備で来たのですが。浴衣に着替えるお風呂上がりは、流石にエアコンが無ければ寒いです。
 
でも、そこさえ除けば、布団はフカフカで暖かく、提灯で照らされた旅館街の夜景も、提灯の灯が幻想的な雰囲気を醸し出して、非常に良かったです。それでいて、旧中山道の馬籠みたいに観光地化されておらず、路地には自家用車が止まり、電柱も移設されておらず、住民の暮らしも垣間見える。その事で更に親近感を持ちました。
 
 
しかも、元々は修験道の僧や行者が泊まる宿だったので、当時の面影がそこかしこに残っています。例えば、集団で大峰山に参拝する「講」と呼ばれるグループの額や提灯が、まだそこかしこに残っています。帳場の隅には、行者が重宝した「陀羅尼助(だらにすけ)」と呼ばれる漢方薬の売り場も併設されていました。実は、みたらい渓谷から洞川温泉に向かう途中にも、道沿いの電柱に平仮名で「だらにすけ」の広告が掲げられていて、「だらにすけ」とは何か?と思っていたら、何と漢方の胃腸薬だったと初めて知りました。こんな新たな発見も旅行の楽しみの一つです。
 
最近は、とかく旅行と言えば、外国人観光客や国内の金持ち連中ばかりが優遇され、彼らの好みに合わせた成金趣味の「和風もどき」「ぼったくり価格」の旅館ばかりとなり、私みたいな貧乏客は、満足に旅行も楽しめなくなってしまっていました。私の地元の大阪でも、大阪城や御堂筋のド派手なイルミネーション、軽薄な造りの民泊旅館には違和感しか感じず。西成あいりん地区に進出した星野リゾートに、一般数万円も出して泊まる観光客も、新世界だけ見て回って、あいりん地区には全く寄り付かず。「あいりん地区の活性化」は建前だけで、結局はホテル資本による「スラム街の買い叩き」「地上げ」でしかありませんでした。
 
「和風もどき」では癒されません。幾ら日本風の旅館を装った所で、「和風もどき」はすぐに馬脚を現します。それは今の大阪を見れば一目瞭然。そこでは、薄っぺらで騒がしいだけの「和風もどき」で「ぼったくり価格」のサービスばかりが幅を利かし、「古き良き日本」の風情はすっかり失われてしまいました。
 
洞川の菩提寺・龍泉寺の紅葉と庭園。
 
しかし、洞川温泉には、まだそんな「古き良き日本」の風情がまだそこかしこに残っています。それが炬燵であり、行者講の額や陀羅尼助の漢方薬です。そこには実際にそこに住んでいる住民の生活の息吹が感じられます。「和風もどき」には全然感じれなかった住民の息遣いが。
 
確かに、洞川温泉の旅館の宿泊料や定食屋の値段も、お世辞にも安いとは言えません。駅そばでは500円前後で食べられる「お握り・蕎麦セット」みたいな定食でも、洞川温泉では軒並み千円以上しますから。それでも、大阪の「和風もどき」民泊と比べたら、洞川温泉の旅館や定食屋の方が、まだはるかに風情があります。それを堪能出来たのが、何よりも良かったです。

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