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井の中の蛙にはなりたくない

2024年03月09日 13時22分38秒 | 当ブログと私の生い立ち

 

先日、X(旧ツイッター)で、「山猫ぽてと」さんという方から、「れいわ新選組」のフレンズ(サポーター)加入のお誘いを受け、丁重にお断りしました。お断りした理由もXで書きましたが、投稿字数に制限のあるXでは十分な説明が出来ないので、自分のブログで改めてお答えします。

お断りした理由は、一言で言えば「井の中の蛙(かわず)にはなりたくない」からです。私は大学生の時に共産党に入党してから40歳ぐらいまでずっと党員として活動して来ました。大学卒業後も20年近く共産党系の生協で働いてきました。生協の労働条件が厳しい事は入る前から薄々知っていましたが、それでも「組合員の生活を守る消費者運動の立場から、今の世の中をより民主的な社会に変えていく」点に魅力を感じて、生協に就職しました。

生協の中では主に商品管理や物流センターの業務に携わって来ました。そこで15年ほど仕事に携わって来ましたが、最後の5年ほどの間に職場環境はガラッと変わりました。それまでは物流センターの職員もパート・アルバイトも全て生協の直雇用でしたが、徐々に外部の派遣社員に置き換えられて行きました。残った職員は派遣社員向けのマニュアル作成や指導業務に追われるようになりました。(参考記事

私の場合はそれに加え、問題ある同僚や部下の管理まで押し付けられました。今から思えば、どちらもアスペルガー症候群(適応障害の一種)の気のあった職員や部下だったように思います。しかし、当時はアスペルガー症候群に関する知識もなかったので、私はどうして良いか分かりませんでした。次第に仕事が回らなくなり、上司との間で板挟みにあい、軽い「うつ状態」に追い込まれていきました。

その頃の労働条件は悲惨の一語に尽きます。朝7時に物流センターに出勤し、冷凍庫・冷蔵庫の中で少ないバイトと商品の仕分けに追われ。しかもバイトの1人はアスペルガーで、そいつのせいで他のバイトはなかなか定着せず。商品の仕分け間違いも頻発。夜もウィンドウズ98のしょうちゅう固まる当時の欠陥パソコン相手に、その頃は私もパソコン音痴で、マニュアル作成は一向に捗らず。

おまけに当時の上司も今から思えばアスペルガー。上司と2人でマニュアル作成に追われる中で、遂に上司がブチ切れ、夜中の2時にそのアスペルガーの上司に机を叩かれ、仕事の遅れをなじられた。そんな時間まで仕事に追われていても、残業代は一切支払われず。職員は専従活動家という扱いだったので、残業代はパートやアルバイトにだけ支払われていて、職員にはほとんど支払われず。

今の私だったら、こんな扱いされたら絶対に黙っていません。尻尾を巻いて辞めるのではなく、徹底的に闘う道を選びます。毎日、退勤時刻を記入し、守衛の警備日報(最終退出者の氏名や退勤時刻が記載される)も秘密裏にコピーさせてもらい、それを証拠に労働基準監督署に告発します。御用組合の生協労組なぞには一切頼らず、自前で弁護士立てて闘います。

でも、当時は生協の中の世界しか知らない「井の中の蛙」だったので、そんな知恵は全然働かなかった。「自民党政府に生協運動弾圧の口実を与えてはならない」という意識にとらわれていたので、告発なぞ思いもよらなかった。「労働者の味方」であるはずの「労働組合や共産党が、最後には助けに来てくれる」と、他力本願でひたすら相手の善意だけを期待していた。そんな状態だったので、最後にはもう自主退職で「緊急避難」するほかなかった。

ここで問題にすべきなのは生協であり、共産党ではない。そんな事は分かっています。生協はあくまで大衆団体であって、政党である共産党とは違います。でも、私が在籍していた生協は、創立者が共産党員だった事もあり、生協の中でも特に共産党色が濃厚でした。私の目から見たら同じ体質の団体に他なりません。

その共産党系生協も、最初は温かみもあり、仕事にやりがいも感じられました。上司も、ダメな部下を切り捨てるのではなく、長所を引き延ばそうとする度量のある人が多かったように思います。専務と言えども、半ば友達のような存在でした。その当時は「民主集中制」がそれなりに機能していたように思います。

でも、やがて生協も大きくなり、経営の実権も、生え抜きの創立者からヘッドハンティングされた外部人材に移っていきます。職員も、学生運動上りの活動家だけでなく、一般の大学生・高校生や中途採用者からも募集するようになります。生協全体が、次第に「資本主義」の色に染まっていくようになります。でも「民主集中制」だけは、職員支配には好都合なので、そのまま維持され続けます。

すると、どうなるか?自浄作用が働かなくなり、資本主義のブラック企業が、形だけ「消費者運動」や「労働者の味方」を名乗り続けるようになるのです。かつてのソ連・東欧や、今の中国や日本の共産党の中で起こっている事こそが、まさにそうではありませんか?

昔は共産党は権力から弾圧されていた為に、権力のスパイが党内に潜入してかく乱するのを防ぐ為に、分派禁止の「民主集中制」が組織原則として採用されました。「めいめいが個人主義で好き勝手にやっていたのでは、革命なぞ絶対に達成できない。党内では民主的に議論するが、一旦決まった方針については全員がそれに従う。その結果、都合が悪ければ、またその時に議論して、新たな方針を採用すれば良い」。共産党の言い分によれば、これこそが「民主」と「集中」の長所を兼ね備えた「民主集中制」と呼ばれる組織原則だそうです。

でも、この原則には落とし穴があります。いくら仮に党内で民主的に議論出来たとしても、党内の事しか知らない、党の体質に染まった人たちだけで議論している限り、「井の中の蛙」で終わってしまいます。過去の私がその良い例です。

生協の中の世界しか知らなかった為に、残業代未払いが労基法違反の明白な「犯罪行為」である事を見抜けなかった。夜中の2時にアスペルガーの上司に机をたたかれ脅されても、それが不当なパワハラ・人権侵害であり、「仕事の速い・遅い」は何ら正当化の口実にはならない事にも気が付かなかった。自分の身を守る事だけで精一杯で、「後輩にも同じ嫌な思いを味わせてはならない」点にも思い至らなかった。

元共産党幹部の松竹伸幸(まつたけ・のぶゆき)さんという方が、昨年、党外の出版物で「党首公選制」と「安保条約廃棄の見直し」を主張し、党を除名されました。それに対し、共産党は「党内では民主主義が保障されているのに、党内では何も言わずに、いきなり党外の出版物で党の方針を批判し始めた。これは民主集中制に反するので除名した」と反論しています。

私もこの松竹さんの本「シン・日本共産党宣言」(文春新書)を買って読みました。確かに、この本に書いてある内容については、少なからず異論はあります。例えば「安保廃棄の公約が野党共闘の障害になっている」と主張している点などです。じゃあ、日米安保条約容認に転ずるべきなのか?今でも米軍基地の治外法権や米兵犯罪に苦しみ続ける沖縄を無視するのか?それで本当に「弱者の味方」と言えるのか?

でも、それ以外の論点については、私も松竹さんの言うとおりだと思います。この本を読めばわかりますが、松竹さんも党の歴史や綱領の先見性は認めた上で、「民主集中制の見直し」と「党首公選制」を主張しているに過ぎません。これが何故「党を攻撃」した事になるのか?私にはさっぱり分かりません。

そんな事言い出せば、前述の生協における不払い残業告発の事例も、生協経営者の側からすれば「生協内部の問題を勝手に外部に持ち出した」として解雇の対象になるでしょう。冗談じゃありません。罰せられるべきは法律違反の人権侵害を行った生協の方です。自浄作用が働かなくなった組織については、問題を外に持ち出して、世論にその是非を訴えるしかないじゃないですか。

第一、これだけネットが発達し、ラインでいくらでも個人同士で自由に意見交換出来る時代に、党中央との縦の意見交換しか認めず、党員間の横の意見交換は全て分派とみなして認めないのは、もう時代錯誤という他ありません。そんな事言っていたら、最後には、もう誰からも相手にされなくなってしまいます。

 

じゃあ、何故「れいわ新選組」のサポーター加入も断ったのか?それは「れいわ新選組」も、党内民主主義の実現という点では、はなはだ疑問に思う点が少なからずあるからです。

一例がそのサポーター制度です。サポーター制度は「れいわ新選組」以外の政党にもあります(ないのは共産党と公明党だけ)。「党友」「協力党員」など、サポーターの名称は様々ですが、どこも党首選挙に参加できません。参加できるのはヒラ党員からで、実際は一人でヒラ党員の何倍もの票を持つ国会議員票の数で党首が決まる。これではサポーターなんてただの将棋の駒に過ぎません。これの一体どこが民主的なのか?これでは共産党とさほど変わらないのでは?

その最たるものが自民党です。自民党の裏金問題も、党内に自浄作用が働けば一切起こらなかったはずです。自浄作用が働かなかったからこそ、政党助成金(国民の税金の一部)を裏金にして私腹を肥やすような事が何十年もおとがめなしでまかり通って来たのです。そんな党が、果たして共産党の事を「非民主的」と批判出来るでしょうか?

だから、私はもうどの党にも所属せず、自由な立場で、政治に関して意見を言いたいのです。


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4 コメント

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ついに法廷闘争になりました (ぶた猫ぶーにゃんa.k.a.山猫ぽてと)
2024-03-10 20:27:03
こんばんは。ぶた猫ぶーにゃんの社会的マイノリティ研究所です。

X(旧Twitter)では「山猫ぽてと」という名前でアカウント運営しております。(以前は同じ「ぶた猫ぶーにゃん」という名前で運営していたがSNS疲れからいったんアカウント消去した。今回は茶番政党こと日本共産党問題を中心に投稿している。あとアカウント作成してログインしないと現在のXは閲覧すらできなくなっていることもアカウント復活の理由)

さて、本記事で綴られている松竹さん、ついに日本共産党と法廷闘争になりましたね。
この問題での共産党の主張は「ブラック企業の自己正当化」としか思えないということを私はブログで綴りました。
https://sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp/entry/2024/03/09/223006

あと、一つ事実誤認を指摘したいと思います。

>一例がそのサポーター制度です。サポーター制度は「れいわ新選組」以外の政党にもあります(ないのは共産党と公明党だけ)。「党友」「協力党員」など、サポーターの名称は様々ですが、どこも党首選挙に参加できません。参加できるのはヒラ党員からで、実際は一人でヒラ党員の何倍もの票を持つ国会議員票の数で党首が決まる。これではサポーターなんてただの将棋の駒に過ぎません。これの一体どこが民主的なのか?これでは共産党とさほど変わらないのでは?

少なくとも、私がお誘いしたれいわ新選組のサポーター(れいわフレンズ)は党首選挙に投票できます。(実際私も投票しました。「大石あきこ&くしぶち万里」に。女性が党首になってほしい思いからです。)

まあ、でもプレカリアートさんの考えは理解しました。今後ともブログ及びXでもよろしくお願いいたします。
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ああ、ついでに… (ぶた猫ぶーにゃんa.k.a.山猫ぽてと)
2024-03-10 20:39:01
ああ、ついでにもう一つ事実誤認の指摘を。

>(ないのは共産党と公明党だけ)

共産党にも「JCPサポーター」という制度がございます。
https://www.jcp.or.jp/supporter/

これも指摘したかった。
それではまた。
返信する
JCPサポーター (プレカリアート)
2024-03-11 20:04:48
JCPサポーターの記事読みました。私が現役党員だった頃とは雲泥の差ですね。良くも悪くも。

その頃のエピソードをいくつか書きます。大学生の頃、民青の班長やっていた時に、「先輩は活動にかまけて単位が足りずに進級できなかった。私はそんな先輩みたいにはなりたくない」と言ったら、「インドシナ人民は鉄砲持って戦っているんだ。君は何を甘っちょろい事言っているんだ!」と、その先輩に逆に凄まれた事がありました。

また、生協に入って1年目の頃に、当時の上司(共産党幹部でもある)から、私は自分が党員として活動している事を親に言っていない事をとがめられ、「軟弱だ」と陰で非難された事がありました。今なら「毒親問題に無知な温室育ちのボンボン党員が何を言うか」と一笑に付すでしょうが、当時はそれを聞いて無茶苦茶腹が立ったのを覚えています。

もう数十年も前の記憶なので、細かな内容については、思い違いもあるかもしれません。それに嫌な思い出ばかりではありません。楽しかった事も多々あります。

特に、高校生の頃まで根暗でいじめられっ子だった私が、共産党に入って初めて、虐めやスクールカーストや受験競争や学歴社会の仕組みが、資本主義の搾取に起因するもので、それ自体が重大な人権侵害である事を、初めて認識できた点は大きかったです。「もう他人の目を気にして、オドオド歩かなくても良いんだ」という気持ちに初めて成れたのも、この頃からです。

だからこそ余計に、前述の先輩や上司の虐めっ子みたいな発言を、私は許せなかった。

当時は入党するには先輩党員の推薦が必要だったように思います。入党する事を「決意を固める」と表現した同志もいました。その頃の党員からすれば、JCPサポーターの活動なんて「ユルユル」「軟弱」そのものでは?と、皮肉の一つも言ってみたくなります。
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まさに「ユルユル」ゆえに「綱領路線」「130%の党」との矛盾が顕在化 (ぶた猫ぶーにゃんa.k.a.山猫ぽてと)
2024-03-12 12:38:19
こんにちは。プレカリアートさん、リプ(といっていいのかなあ)ありがとうございます。

>当時は入党するには先輩党員の推薦が必要だったように思います。入党する事を「決意を固める」と表現した同志もいました。その頃の党員からすれば、JCPサポーターの活動なんて「ユルユル」「軟弱」そのものでは?と、皮肉の一つも言ってみたくなります。

まさに今、そこのところの矛盾が顕在化していますよね。
やれ「130%の党を目指せ」と言われ、とにかくでっち上げでもいいから、「仲良しクラブだから」と勧誘するものの、「綱領と違う考えや路線を支持したら除名などの処分」「党の内部のことはブログやSNSなどで発信したりしてはいけない」とか「戒律」要求して「だったら入党させるときにちゃんと説明しろよ」となっちゃってるんですよね。

そうだ、昨日偶然Xで拝見した小説を紹介します。

https://shosetsu-maru.com/storybox

このサイトのなかの「上村裕香(かみむらゆたか)」さんの「ほくほくおいも党」をぜひ読んでみてください。
日本共産党員(をモデルにした)父親に悩まされる子どもの話。いわゆる「宗教2世」ならぬ「共産党員2世」の話です。
これを弱冠20代の作家が克明につづっていてすごいなあと思いました。
実際、私の友人がこの小説に登場する「千秋」さんと似たような境遇にあり、友人のお子さんはたびたび不登校になるんですよね。

それでは。
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