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有権者不在の野党共闘

2016年08月07日 11時53分37秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 この間、私事でバタバタしていて、世の中の動きについて行けていませんでした。遅まきながら、そちらの方面についての記事も書いていきます。
 まずは、一週間前に行われた東京都知事選挙の結果について。
 猪瀬・舛添と現職知事が二人そろって不祥事で辞任し、保守分裂選挙になったのに対して、こちらは史上初の野党共闘体制で臨みながら、私が期待した鳥越俊太郎候補は次点にもつけずに3位の大惨敗に終わってしまいました。私もツイッターで微力ながら援護射撃をしていましたが、選挙戦も終盤に入ると、鳥越候補の敗色が次第に濃厚となってきた事が素人目にも感じ取れました。
 鳥越陣営は、週刊文春や週刊新潮が女性問題を取り上げてネガティブ・キャンペーンを張った事に敗北の原因を求めていますが、私はむしろ、その後の陣営の対応にこそ問題があったと思います。「事実無根」と言い張るばかりで、週刊誌報道のどこがデタラメか、具体的な反論が全く為されませんでした。いくら「やっていない事の証明なぞ出来ない」と言われても、あの対応では「逃げ回っているだけ」と捉えられても仕方ないでしょう。それは、都知事に当選した小池百合子が、実際には日本核武装を唱える極右政治家でありながら、自民党都連の締め付けや石原慎太郎の「大年増の厚化粧」発言を逆手にとって、「古い自民党と戦う女性」を演出できたのとは正に対照的でした。
 おまけに、せっかく「反アベ政治」を掲げながら、今までの保守都政が大型開発やオリンピック偏重だった事への具体的批判もなく、築地市場の豊洲移転にも反対せず、「がん検診100%実施」みたいな細目しか目玉政策に掲げられず、街頭演説も1日2回が限度で、巣鴨では演説も支援者に丸投げするに至っては、私も正直言って、「こんな事では、むしろ宇都宮健児さんが出馬した方が良かったのではないか」とすら思う位でした。
 そんな事をいくら言っても、もう後の祭りですが、この敗北を教訓として次の勝利につなげる為にも、いくつか都知事選関連で参考になりそうなブログ記事の記述を次に紹介しておきます。
 その中の醍醐聡さんのブログの中で、「理想は高いが実力が伴わない」事を意味する「眼高手低」という言葉が出てきますが、こと今回の東京都知事選挙に限って言えば、「憲法破壊の政治を阻止する」という野党共闘の大義が、現実には自民党と同じ「政党の都合優先」の「数合わせ」の論理に流れてしまったという点で、むしろ「理想も低きに流れてしまった」というのが実態ではなかったかと思います。


 告示の時点では3候補の接戦と予想された都知事選は終わってみると小池百合子氏が次点の増田寛也氏に120万票の差をつけ、3位の鳥越俊太郎氏にはダブルスコア強の得票を得て当選した。今回の開票結果を前回(2014年2月9日投票)と比べると、次のとおりである。

今回開票結果(得票率) 投票率
 ①小池百合子   2,912,626(44.5%)
 ②増田寛也    1,793,453(27.4%)
 ③鳥越俊太郎   1,346,103(20.6%)
      ①+②=4,706,081(71.9%) 

前回開票結果(得票率)
 ④舛添要一    2,112,979(42.9%)
 ⑤宇都宮健児    982,595(19.9%)
 ⑥細川護煕     956,063(19.4%)
      ⑤+⑥=1,938,658(39.3%)

 これを見ると、今回、保守系候補者は前回と比べ、得票率を32.6%も伸ばしている。また、投票率が13.59%も上昇し、2名が立候補したこともあるが得票数を259万票も伸ばしている。
 これに対し、リベラル革新系は前回と比べ、得票率を18.7%減らし、投票率が大きく上昇したにもかかわらず、得票数を59万票も減らしている。
 こうしたデータを見ると、当落もさることながら、リベラル革新の大幅な退潮は覆うべくもない。

以上、都知事選:都民も自らも欺く政策軽視の独善的議論(醍醐聡のブログ)より
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-0f45.html


 「アベ政治は許さない」と仲間内で唱和するよりも、なぜ有権者は改憲政党に3分の2を超える議席を与えたのか(小選挙区制の問題はありますが)、いろいろ批判される小池百合子候補がそれでも優勢と言う状況がなぜ生まれているのか、彼女の危険な右翼的体質を都民が見抜いていないことが主な理由なのか、一本化したはずの野党統一候補が2人の保守候補のあとを追うという展開になっているのはなぜなのか------都民の政治意識と向き合った政治活動という意味では、こうした点を自問し、冷静に考えることの方が、小池百合子候補の右翼的体質を暴露することに執心するよりも重要だ、と言うのが私の感想です。

 「すべて「安倍」を前提にしないと何も打ち出せない「アベ依存症」です。ライバルだけ見ているから、国民=顧客が何を望んでいるのかがさらに見えなくなってゆく。」

以上、都知事選:自省なくして革新候補への支持は広がらない(2)(同上)より
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/2-6471.html


 今回の増田、鳥越両候補の敗因は、「知事候補は、政策でもなければ都民の希望でもなく自分たちの都合で決める」という事を、既存政党が恥ずかしげもなく隠さなかったからではないだろうか。
 自民党東京都連が「自民党国会議員である小池氏」ではなく「党員ですらない増田氏」を選定した最大の理由は、「小池さんが、俺たち(会長の石原氏及び幹事長の内田氏)に挨拶なしに立候補した」からだ。少なくとも石原会長のメディア対応は、都民にその印象を与えた。
 野党統一候補が鳥越氏に決まったのは、国政では当分勝ち目がないので、注目度の高い都知事選挙で一矢報いたかったからだ。言い方は違うにせよ、候補者本人がそれを主張していた。鳥越氏は、選挙戦を通じてほとんど都政に関心を示さず、行政システムに対する無知もさらけ出した。

以上、敗因を「醜聞報道」や「知名度」に求める政党の醜さ(森口朗)より
http://blogos.com/article/185465/


 今回の結果は、野党共闘とか、それを支持した市民連合が、なぜ、これだけ大差がついたか、真剣な総括が必要ではないかと思います。参院選では安保法制の廃止、立憲主義の回復、憲法改悪阻止という政策協定があって戦った。与党の方から「民共の野合ではないか」と言われた時に「大義がある」と跳ね返せた。今回は政策もなければ何もない。まさに野合と言われてもしょうがない態勢で戦ったということ。

 まず鳥越さんと会った時に「どういう思いで出馬されたんですか?」と言ったら「参院選の結果を見て、改憲勢力が3分の2を取って、大変な危機感を抱いて、矢も盾もたまらず出馬を決意した」とおっしゃった。「確かに、そういう気持ちは大切だと思うんですけど、都政についてはどうなんですか?」と言うと「これから考える」と。国政選挙と都政は違いますからね。2度目に会った時は、鳥越さんの方から会いたいと言って、民進党の元国会議員も連れてきていたので「野党共闘の政策協定はできているんですか?」と聞いたら「できていない」と言うんですね。鳥越さんの政策もこれからだし、政策協定もなくて、ただ鳥越さんの知名度で、勝てそうだからと。そういう著名人頼みの、人気投票の選挙をやってはいけない。政策中心じゃなきゃダメだと言って我々は戦ってきたのに、全くできていない。
 後から、だんだん政策は整備されたかもしれないけど。あと野党も鳥越さんも、都知事選を勝つことが安倍政権に一矢を報いるんじゃないかというようなことを言ったけれど、そこに都民が抜けているわけです。都政は都民の暮らしや生活を守るのが1番の役割なのに、都民を置き去りにしたままの考え方。今回の結果は、都民が鋭く見ていたんだと思います。私たちの生活や暮らしをどう考えているか、ストレートに届くような言葉や政策がなかったんじゃないか。

以上、宇都宮氏「今回は政策もなければ何もない」/総括1(日刊スポーツ)より
http://www.nikkansports.com/general/news/1687557.html


 候補者を事実上、民進党の中で決め、それに他の野党も賛同し、それを市民連合が賛同するというやり方なんですね。私からすれば、民進党の独裁ですよ。本当なら、候補者を決める場合は、それなりに名前が出てきた人を公開の場で討論をやりながら、本当に誰がふさわしいか民主的に開かれた場で議論して決めるべきだった。そういうことが、まだ訓練されてない。今の日本は政党が偉くて、決めたことを市民連合が従う。市民連合は、よく国会前の安保法制反対の抗議活動で(学生団体)『SEALDs(シールズ)』なんか『民主主義って何だ? これだ!!』って言ってるんですよ。ところが都知事選での候補者選びは、民主主義もへったくれもないわけですよ。政党が密室の中で決めたことを支持してるだけで、まさに独裁的なやり方。市民運動と政党は本来、対等であるべきだと思っているんですけど、市民連合が候補者選びに参加したと思えない。日本の運動の未熟さが露呈した問題。リベラル運動をどうするか、深刻な総括が絶対に必要だと思います。

以上、宇都宮氏「候補者選びは独裁的なやり方」/総括2(同上)より
http://www.nikkansports.com/general/news/1687561.html


 今秋大統領選挙を迎えるアメリカで、民主党のバーニー・サンダースの支持者の中に「ヒラリー・クリントンなんかには投票しない。ヒラリーとトランプとの二者択一ならトランプを選ぶ」と公言する人たちが少なくないことが話題になっている。おかげで少し前まではクリントンの楽勝とみられていた大統領選挙の行方は全くわからなくなっており、トランプが大統領に選ばれる可能性は無視できないほど大きくなってきた。日本でもこの件に関して、クリントンよりもトランプを待望する声が一部「リベラル」の間からも上がっている。
 「鳥越に投票するくらいなら小池に投票する」とネットで公言していた者については、私も鳥越俊太郎の野党統一候補擁立決定及び宇都宮健児の立候補取り下げの直後から、実例をいくつも目にしてきた。
 一口で「宇都宮支持層」といっても内訳は実に多様で、2012年と14年の都知事選で熱心に宇都宮市を支援してきた人たちもいるけれども、14年の都知事選では細川護煕を応援していた「小沢信者」もおり(その代表格が天木直人)、かと思えばTwitterで反小沢一郎に血道を上げる人たちの存在も確認している。

 私が本当に問題だと思うのは、自陣の支持者にそのような行動に走らせてしまった宇都宮選対の責任だ。この宇都宮選対は、2014年の都知事選で澤藤統一郎弁護士の告発と強い批判を受けた。それに理があると考えた私は、前回の都知事選では白票を投じたのだった。政策面等からいえば前回は候補者の名前を書くなら宇都宮健児しかなかったが、その選対の体質(及びそれに易々と乗っかってしまう宇都宮氏自身の問題)を忌避して白票を投じた。
 今回、宇都宮氏支持層の一部を小池支持に走らせた原因に、宇都宮陣営内に民主主義が欠落していたからではないかと思われる。だから陣営や支持者たちの間でろくろく議論が行われることもなく、支持層の一部が天木直人のような悪質な煽動者の煽動に易々と乗ってしまった。そして、陣営の指導者たちもそのような動きの危険性を察知するのが著しく遅れた。その動きは、告示前からすでに見られたというのに。つまり、宇都宮選対の指導者たちの資質こそ、今回の都知事選においてもっとも厳しく批判される必要がある、というのが私の結論だ。

以上、都知事選は予想通り小池百合子の圧勝。今回の敗因は何か(気まぐれな日々)より
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1448.html
コメント (1)
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