アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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空気が読めず自分の身に即して考える事の出来ない人たち

2007年08月09日 07時58分53秒 | 安倍第1次投げ出し政権
 今回参院選での与党惨敗理由については、米国コロンビア大学のジェラルド・カーチス教授が7月30日に外国特派員協会で語ったように、(1)年金問題などでの安倍首相の指導力の無さ、(2)「戦後レジームからの脱却」という安倍政権の方針と、格差拡大・年金問題・度重なる閣僚失言や不祥事に怒る国民感情との乖離、(3)地方・弱者切り捨ての小泉政治をそのまま継承している安倍政権への批判―以上の3点で以って有権者は安倍政権を拒否したとする見方が、一番的を得ていると思います。
 要するに「国民が何を今一番求めているかが分らず、現実の国民生活の困窮に対しても自分の身に即して考える事が出来ない政権・与党だったから、あのような結果になった」という事です。

 ただ、世間にはまた全然違う見方をする人もいるようです。「拉致問題や国防・安全保障から比べると、年金問題や閣僚失言などは取るに足らないもの」「安倍・与党批判は、北朝鮮や中国の仕掛ける反日戦略の一環であり、拉致被害者家族を貶めるもの」「安倍内閣は、そういう反日策動に足元を掬われたのだ」という様な見方をする人たちがそれです。

 しかしまあ、「年金問題などは国防や拉致問題と比べると取るに足らないもの」「安倍・与党批判は拉致被害者家族を貶めるもの」・・・ですか。何か、ものすごい言い様ですね。
 そもそも、日本の年金問題や格差・貧困問題などと北朝鮮・拉致問題が、一体どういう繋がりがあるのかが、全然分りません。それぞれ全く違う次元の問題です。それを無理やり結びつけて、「年金や格差などという”瑣末”な事柄に目くじらを立てて、国や政権の悪口を言うとはケシカラン、愛国心が欠けておる」などと一方的に言われてもねえ。

 何故、安倍政権や自民党が、こんなにみんなから総スカンを食い、今や内閣支持率22%(FNN最新世論調査)の惨状にまで立ち至っているかと言えば、偏にこの政権の「表向き言っている事」と「実際にやっている事」の隔たりが、余りにも大き過ぎるからです。だから「国民をバカにするのもいい加減しろ!」とみんな怒っているのです。

 国民に偉そうに愛国心や道徳教育の説教を垂れながら、当の自分たちのやってきた事は一体何ですか。教育基本法改悪の時のやらせミーティングを手始めに、人には耐乏生活を説く政府税調会長が自分の愛人を政府宿舎に住まわせたり、人を「機械」呼ばわりしたり、「原爆投下しょうがない」発言で被爆者の方の感情を逆撫でしたりとか、人を人とも思わない言動を閣僚が繰り返す。
 「美しい国」とか「教育再生」とかいう奇麗事の陰で、国・企業の言いなりになる受験エリートの育成のみに重点が置かれ、学力テスト対策で通常授業や学校行事を潰して過去の出題問題ばかりやらせたり、成績の悪い子には当日欠席を指示したり。

 その「美しい国」とタイアップした「希望の国」とかいう奇麗事の陰で、悪徳派遣企業を規制緩和で甘やかし、偽装請負や、介護報酬や派遣給与のピンハネを事実上黙認してきたり。ホワイトカラー・エグゼンプション導入を企んでサラリーマンを無限仕事地獄に叩き落そうと画策したり。その挙句にネットカフェ難民や介護・医療難民や、無理やり生活保護を辞退させられて「おにぎり食べたい」と言って餓死した人まで生み出して。
 そんな国民生活の困窮を尻目に、事務所経費の二重計上はするわ、領収書コピーの使い回しはするわ、そのくせ、それを指摘されると「自分だけがやっているのではない」だとか言ってはぐらかすばかりで、経費公開で自ら疑惑を晴らそうとは絶対にせず。

 そんな政治を思いっきりしておいて、その挙句に年金問題や住民税・消費税増税問題で止めをさされて。そのくせ、いざ選挙が近づいてくると、なりふり構わず誰でも候補に擁立したり、党利党略だけで国会会期や投票日を好き勝手に延ばしたりと、往生際の悪さ際立つ事もこの上なし。これの一体何処が「美しい国」「希望の国」なのか。公徳心や遵法精神が一番欠けているのは、自分たち首相・閣僚や財界のお偉方ではないですか。
 そういう気持ちで反安倍・反自公に投票した人が大半なのです。今回は保守地盤の東北・九州・四国でも地方格差・農業切り捨てへの怒りが噴出し、とりわけ期日前投票者が激増した地域で悉く与党が大敗した事が、それを何よりもよく物語っています。これの一体何処が「瑣末」な問題なのですか。何故「拉致被害者を貶める」事になるのですか。何故「北朝鮮の手先」となるのですか。

 「従軍慰安婦の問題には涙するくせに拉致被害者の問題には涙しないのか?」と、これらの人たちは、今まで事在る毎に言ってきました。しかし、これらの人たちも、自分たちの周囲に実際に起こっている生活破壊については見ようともせず涙もせず、それどころか「瑣末な問題」だの「反日」だのと決め付けて当事者を貶めている点では、全く同じ事では無いでしょうか。

 それどころか、これらの人たちの中には、「当の拉致被害者の事も本当に分っているのだろうか」という疑念すら抱かせるような言動も過去にしてきた輩もいます。私が2004年10月の「救う会大阪」集会に参加した時のレポートの中で、会場での「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱について、「拉致問題の中にこれらの問題まで一方的に持ち込んでくるのは大衆運動の在り方として疑問に思う」と書いた事に対して、他の掲示板で執拗に絡んできた輩がいました。しかしその後の経過はどうだったのか。当の拉致被害者家族の中から、この様な「救う会大阪」の集会運営の在り方に対して疑問の声が出てきて、それが一つの契機となって「救う会大阪」はその後「大阪ブルーリボンの会」に改組を余儀なくされたのではなかったのでしょうか。
 そう言えば、2002年917以後の在日コリアン・バッシングや2004年のイラク日本人人質バッシングの時にも、横田夫妻がバッシング被害者の事を慮るメッセージを発したのとは対照的に、これらの輩は、当時ネットで薄汚いヘイトスピーチをさんざっぱら満展開していました。

 「年金などは取るに足らない問題」「安倍・与党批判は拉致被害者家族を貶めるもの」という言説については、幾ら何でもあんまりだと思ったので、その旨のメールを、実は既にある「救う会」関係者の方にも送っています。先日その方から真摯なお返事を戴きました。その方は、「確かに安倍首相は拉致問題では一定の新天地を切り開いた人だが、その他の外交・内政問題では問題が多すぎる」「そういう意味では、所詮は安倍さんも古いタイプの自民党の代表者でしかなく、やがては淘汰されるべき運命に在る、先の参院選の結果はその証左だった」「今後は北朝鮮・拉致問題は普遍的な人権問題として取り組まれるべき時期に来ているのであって、いくら時の政権党が人気浮揚策として利用しようとしても、もうそれだけでは国民は振り向かなくなっている」という意味の事を述べられていました。

 メールで実際やり取もして、その中で私の言いたい事も一定伝える事が出来たので、もうこの件は済んだ問題ではありますが、それでも「取るに足らない」だの「拉致被害者を貶める」だのいう言説については、ちょっと許せないものを今でも感じていますので、敢えてブログ記事として公開する事にしました。
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