アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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参考資料:千田夏光著「従軍慰安婦・慶子」の記述から

2007年03月19日 08時37分54秒 | ヘイトもパワハラもない世の中を
・右旋回の慰安婦問題(宮崎日日新聞)
 http://www.the-miyanichi.co.jp/column/index.php?typekbn=1&sel_group_id=6&top_press_no=200703072301
・首相の河野談話継承を歓迎 米大使、米軍再編では注文(毎日新聞)
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20070314/20070314_015.shtml

 この従軍慰安婦の問題については、先日「戦争レイプも過労死も自己責任でゴマカすんじゃないよ!」という記事をアップした後で、以前読んだ千田夏光著「従軍慰安婦・慶子」(光文社新書)がまだ本棚にあるのを思い出して、早速手にとって読み直してみました。

 私は、従軍慰安婦(今は単に慰安婦と呼ぶのが一般的だそうですが)の問題については、一部ウヨク論壇で持てはやされている小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」や「戦争論」よりも、こちらの記述の方が真実であると認識しています。今またこの問題がウヨクによって蒸し返されていますので(そうして、"反植民地主義"や"人権尊重"や"諸国民の平等・連帯"といった、現代に至る諸々の普遍的価値自体を全否定したが為に、今や"特定アジア"のみならず、その他のアジア諸国や欧州や米国まで敵に回しつつある様ですが)、この機会に、その千田氏の著作の当該箇所を、参考資料として改めてテキストアップしておく事にします。
 尚、テキストアップするに際しては読みやすいように適宜段落分けを施しました。また冗長になるのを防ぐ為に引用を略した箇所も少なくないですが、それでも長文の引用になった事は予めお断りしておきます。

 以下、同上著「従軍慰安婦・慶子」より引用します。(P.75~80)

(引用開始)
 この事件(注:南京大虐殺)の背景には、上海から南京めざし総追撃戦にうつるさい、軍当局者が進撃速度をあげるため第一線戦闘部隊に「糧ヲ敵ニモトム」すなわち食糧は補給にたよらず略奪しながら前進することを求めた、略奪公認、というより略奪を強要した事情がまずある。(中略)
 こうした中で、中国人、中国の農民市民が日本兵を"東洋鬼(トンヤンキー)"蛇蝎そのもの、犬畜生として敵視しはじめたのは当然であった。(中略)

 ここで上海派遣軍とよばれた現地軍司令部で考えられていたことは二つあった。
 一つは軍隊内部の性病蔓延の怖れである。これには前例があった。大正七年から大正十一年にかけての"シベリア出兵"のときである。シベリア出兵とは革命後まもないソ連革命政府の弱体につけこみシベリアを軍事占領しようとする明らかな侵略戦争だったが、侵略戦争において侵略軍将兵の風紀はかならず紊乱する。その法則どおり派遣日本軍のあいだに暴行強姦事件が続出、その結果、潜在患者をふくめ七人に一人がなんらかの性病におかされ軍務につけなくなるという非常事態がおこったのだ。(中略)
 チャンコロ(と、さげすみの言葉で呼んでいた中国人)を、兵隊がどれほど殺そうがおかそうがさしたる痛痒を彼らは感じないが、七分ノ一の兵力が戦わずして潰滅でもしたらどうなるかと頭をかかえたのであった。(中略)
 ではどうするか。生まれてきたのは、ここは急きょ性病の心配のない、軍が衛生管理をする女を兵隊にあてがうしかないのではないかという思考であった。

 二つ目は、その中国人などどれだけ殺されようがおかされようが痛痒は感じないという思考と矛盾するようだが"治安対策"問題であった。(中略)
 (注:日本は日華事変後、中国占領地区への永久駐留を図ろうとしたが)ところが永久駐屯するとなれば治安が問題となってくる。
 野盗まがいの略奪暴行が横行していては住民の抗日意識がより盛りあがり、とうてい治安維持は求められない。なんとか永久駐屯(永久占領)のために現状をおさえねばならぬと考えはじめたのだ。ここでも出されたのは、兵隊が現地中国の婦女子に手を出さぬよう"軍"が"女"を、つまり"軍御用売春婦"を与えるということだった。(中略)

 ここに中支派遣軍の兵站(補給)を担当する第十一兵站司令部へ「急ぎ女を集めよ」の急令が出されることになったのだった。ただし目的が目的だから現地中国で中国人女性を集めることは好ましくない。反感が予想されるからである。
 となると、集める場所は日本内地となるが、まさか軍が直接手を出すわけにはいかない。"皇軍"の名誉にかかわるからである。そこで考えられたのが名は「軍属」としているが正式に軍籍はない、軍内部においては「御用商人」とされている石橋徳太郎のような存在を使うことだった。万一問題がおこったときには「御用商人が勝手にやったこと」としらを切ればすむとしたのだった。(中略)

 集める条件として、慶子(注:当時の数少ない日本人売春婦の一人)がそうであったように女一人一人に千円の前渡金(したく金)を手渡すことにしたが(実はそれは急きょかき集めるためのエサだったのだが)、すべて大蔵省(国庫)から派遣軍に渡された"臨時軍事費"より支出するとした。臨時軍事費は決算報告をする必要のない金である。領収書もいらない。したがって女集めに使ったと知られることもない。(中略)

 いまひとつ付け加えると、(中略)かつての陸軍船舶輸送規則によると陸軍輸送船には兵器、陣用具、営繕具、弾薬、砲、戦車、車輌のほか"生きもの"は軍人、軍属、軍馬、軍犬、軍鳩にかぎられていた。日本赤十字社から召集される"従軍看護婦"は女性でも乗船前に軍属としての宣誓をさせられ軍籍に入れられていたから問題はなかったが、この規則によると慶子たちの乗船は認められないことになっていた。
 そこで第十一兵站司令部では、慶子たちを「軍需貨物」すなわち「人間ではない物」として乗船させる、いや搭載してくれるよう船舶輸送司令部に依頼していた。船舶輸送司令部も事情をきいていたので「そういうことか」と、これを承諾、乗船から下船まで「人間ではない物」として書類をつくったのだ。(中略)つまり慶子たちは、馬(軍馬)や犬(軍用犬)や鳩(軍鳩)ですらない"物"だったのである。船底で馬といっしょにおかれても当たり前だったということだ。
(引用終了)


 最近は、先述のウヨク本「戦争論(特にその第2巻)」も含めて、やれ「軍が無理やり連行して慰安婦に仕立て上げた訳ではない」「従軍ではなく、単なる売春婦であり、代価も受け取っている」(実際は世を欺く為にそういう形を装っただけなのに)とか「待遇や食事も比較的良かった」(商品を傷物にする筈がないだろう)とかいう言説で以って、過去の日本軍の侵略・略奪行為を正当化しようとする動きが表に出てきていますが、実態は斯くの如しです。

 昔「兵の命は一銭五厘、鴻毛よりも軽し」、今「産む機械、働く部品、ワーキング・プア」
 昔「臨時軍事費、戦時国債」、今「報償費、議員事務所経費、政党助成金」


 もう一つ念のためについでに。昨今流行の、拉致問題や北朝鮮や中国の人権問題を口実にして、強制連行や慰安婦などの過去の日本帝国主義が犯した歴史事実まで帳消しにしようとする向きに対して一言(実はウチの職場にも一杯いるのです、こういう人が・・・非常に鬱)。
 前者と後者の問題はあくまで別の次元の問題です。両者は共に人権問題として、別個に事件の全容が究明され被害者への補償が為されるべきものです。尚それと関連して、戦後になって日本政府が行った賠償やODAなどの経済協力について言及すると、これはあくまで政府間の談合でしかなく、その究極の目的は日本資本による賠償・援助利権漁りにあり、いずれにしても真の賠償とは似ても似つかない代物です。これで以って「賠償は解決済」などとはユメユメ思わない様に。
 そして、拉致問題や中国・北朝鮮の人権問題の解決の足を引っ張っているのも、脱北者の支援や日本国内への定住に反対し、この種の問題を、人権問題としてではなく単に民族・国家間の対立としてしか捉えられず、日・中・韓三国のネットウヨク同士の罵倒合戦に貶めている、前述の【反植民地主義"や"人権尊重"や"諸国民の平等・連帯"といった、現代に至る諸々の普遍的価値自体を全否定したが為に、今や"特定アジア"のみならず、その他のアジア諸国や欧州や米国まで敵に回しつつある】人たちだという事もお忘れなく。
コメント (3)
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