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おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

吉本百年物語8月公演「わらわし隊、大陸を行く」

2012年08月22日 02時15分27秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

吉本百年物語「わらわし隊、大陸を行く」
【会場】なんばグランド花月
【脚本】長川千佳子 【演出】佐藤幹夫
【出演】水野真紀/木村祐一/山内圭哉/松尾貴史
里見まさと/河野智宏/藤原光博/水野透/候偉(コウ イ)/尹俊(イン ジュン)/佐藤正宏/逢坂じゅん

8月といえば、たしか去年も一昨年も、やはり戦争を振り返るような作品を観ていました。
今年はこの「わらわし隊、大陸を行く」が観られて良かったです!

日本の戦争の話というと、私はつい第二次世界大戦のことだと思ってしまうのですが、これは昭和13年のことですから日中戦争なんですよね。
その日中戦争のさなか、大阪の吉本の芸人さんたち「わらわし隊」が、軍の慰問隊として危険な中国大陸に派遣されたというのは、当時、実際にあったお話だそうです。
あ、もちろん、脚色はしてあるでしょうけど。

この舞台の目玉は、何と言っても「きれいなお姉さん」の水野真紀さん。
そしてそして!
中国から来た、二人の京劇役者さん!
大阪のなんばで、まさかの本格的な京劇の舞が見られたなんて、京劇に興味ある私には本当にラッキーだった思います。

6月の「舶来上等、どうでっか?」では、ミュージカルの世界から中川晃教さんを、
そして、この8月には中国から京劇役者の候偉(コウ イ)さんと、尹俊(イン ジュン)さんを連れてきたのは、ナイスなチョイスだわ!
やるな~、吉本  さすが、エンターテイメントの西の覇者

特に京劇の女形イン・ジュン君は、ごく短期間で慣れない日本語の台詞を覚えたりと、お芝居のほうも頑張っていましたが、何よりも最後のほうで見せてくれた京劇の踊りが、まあ、たおやかで美しかったこと

そして、美しいといえば、やっぱり水野さん。
近くで見ると、お肌がつるつるで、ほんとうにお綺麗でした。
その美しい頬を、涙でぬらしながらの熱演に、私も涙が止まらなくなりました。
そうそう、そんな時ばかりは、吉本舞台の長~い暗転が、涙を拭くのに丁度良かったりして(笑)

その水野真紀さんと夫婦漫才を組んでいる、旦那様役の木村祐一さんや、バイオリンの弾き語り芸人の松尾高史さん、そのほかのキャストの皆さんも、時々とぼけた笑いを誘いながらも、しっかりとした演技を見せてくれました。
この舞台、どの方が吉本の芸人さんで、どの方が客演の役者さんなのか、実をいえば、私はその全員までには見分けがつかなかったんですけれど、(と言うより、ほとんど意識しないで観ていましたが)、つまりそれくらい演劇として自然に楽しみました。

この物語は「舶来上等」と同じく、吉本百年物語という大河物語の中のひとつのエピソードですから、これひとつだけをみれば、起承転結の起伏とか、ケリのつけ方などは、やや弱いかもしれません。
もちろん、小難しく掘り下げたり、客席にことさら何かを問いかけたりもしていません。
でも、それもまた、「こうして時代は流れて移りゆき、次へとバトンタッチしていくのだろう」と思えば、この次の物語が楽しみでもあり、先を観たくなる面白さがあると思います。
私がもし大阪に住んでいたら、たぶん毎月観に行ってしまうかも。
だって、ミュージカルだの、京劇だのって、何でもお笑いとコラボレーションしちゃうんですから、この先何が飛び出るかと思うとわくわくしたりして。

それにしてもね、この舞台で「笑うことは、生きること」という台詞がありましたが、あのように死と隣り合わせの戦地にいて、実際についさっき大切な人や戦友を失い涙したすぐあとにでも、兵隊さんたちは吉本の芸人さんたちの芸を喜んで、笑うんですよね。

泣くことも、笑うことも、悲しむことも、怒ることも、すべては生きているからこそ、できること。
でも、どうせならば、笑って過ごす時間が少しでも多くあれば良い。
たとえ悲しみの中でも、いや、悲しみの中だからこそ、笑顔がこんなにも心に染みる・・・。

そんな舞台を観させてもらい、今回大阪に来たのは中川晃教さんのライブのためだったので、そのついでだったとはいえ、ふたたびグランド花月を訪れたのは正解だったと思いました。



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