蒼穹のぺうげおっと

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西尾維新作品 ミニ感想

2004-11-12 13:55:42 | 小説 感想
今まで食わず嫌いをしていた西尾維新さんのノベルズを2冊ほど読んだのでミニ感想を。

ここまで読んだのは『新本格魔法少女りすか』とデビュー作にあたる『クビキリサイクル』の2冊で、食わず嫌いを反省するほど面白かったです。

■西尾維新という作家さんは
81年生まれの若い作家さんなんですが、文章の洗練さ等はさておき、僕がこの人の作品2冊を読んで思うのは、まずキャラを作る、徹底的に(キャラを)突き詰める、そしたら後はキャラが勝手にストーリーを進めてしまう、きっと作家本人の意思よりも強く、そんな小説を書く人なんだな、という印象ですかね。

多分、この人の創作スピードはそういうところにもあるんじゃないかと思った次第。
ほんとキャラが強くて、各キャラが勝手に世界観を創り、勝手にストーリーを進めて、惜しげもなくキャラが散っていく、だから引き込まれちゃう、そんな感じ。

文章にかなりクセがあって、独自の言い回しを多用するので慣れるまで少し時間がかかるかもしれないですが、キャラが鮮明にイメージできる頃には十分西尾ワールドを堪能できるかと思います。
そういう意味では『月姫』『空の境界』の奈須きのこさんと世界観は全く違いますが、何となく同じアプローチというか似た雰囲気(この辺うまく表現できません)を感じるかもしれません。
ミステリーとかそういうカテゴリでくくって考えないほうが素直に楽しめると思います。

では個別ミニ感想というか紹介を。

■戯言シリーズ『クビキリサイクル』
西尾維新さんのデビュー作にして第23回メフィスト賞受賞作。
クビキリ、サイクル、リサイクル、駄洒落かと思うくらいハマるタイトルなんですが、絶海の孤島を舞台にした殺人事件をベースに話が進みます。

ちょっと『すべてがFになる』を思わせる設定ですが、僕はこれを推理小説とかミステリーという範疇でくくらないで、西尾ワールドとして捉えてもらったほうがより楽しめると思いますね。
これでもか、というくらいに強烈なキャラが登場し、それぞれがそれぞれのストーリーを展開させる、まさに西尾ワールド。
それを狂言回しである主人公「いーちゃん」が傍観者として関わっていくわけですが、これは推理を楽しむのではなく、キャラを味わってください、主人公である「いーちゃん」を含めて。

ラスト20ページはひっくり返されたちゃぶ台をさらにひっくり返された感じでイメージとして捉えるのに多少時間がかかりましたが、読み終わった直後には既に続巻の『クビシメロマンチスト』を購入してました。
万人にお勧めか?と問われると結構困るんですが、ハマる人は確実にハマる、そういう作品です。
#本格派ミステリが好きな人とか、文章に洗練さを求める人はちょっと抵抗あるかもね。

■『新本格魔法少女りすか』
長崎県が魔法の王国で、舞台は佐賀県。
長崎県には魔法使いが存在し、主人公のりすかはそんな魔法使いの中でも超天才「赤き時の魔女」10歳。
そのりすかと同じく10歳の供犠創貴(くぎ きずたか)が織り成す西尾ワールド全開の物語。

もし僕が『ファウストVol.2』から読んでいたら、絶対に絶対にこの『りすか』は読まなかったと断言できます。
しかし、それも西尾ワールドの策略なのか、その問題の章を読んだ今でも『りすか』かなり好きかもしれません。
いや、確実に好きです。

では、問題の第2章(これがファウストVol.2に収録されていた)を読んだ感想は・・・。
「供犠創貴(くぎ きずたか)、絶対に許せん!!」です。
第2章読み終わった瞬間にもう二度と読むの止めようかと思うほどに、この主人公の一人である「供犠創貴」を許せませんでした。
17年後のりすかの性格が歪んでいるのはお前のせいだ、つか、そもそも人間としてお前を許せん!こんな感じ。

でもこれも戦略なのかもしれないな・・・。
この後、供犠創貴が改心する、もしくはりすかとの触れ合いで「変化」する、少しでも贖罪しやがれ、それを見るまではやめられないぞ、と思ったのですが、第3章ではその片鱗を少し覗かせるわけで、完全に術中にハマッた感じです。
してやられました。
供犠創貴が「変化」するまで、17年後のりすかの性格がマシになるまで読んでやる、逆に火をつけられた感じ。

独特の表現や言い回しは健在なのですが、戯言に比べると読みやすかったですね(デビュー作と最近の作品という違いはもちろんあると思いますが)。
何よりきずたかは許せませんが、りすかが可愛いので(本音)。
しばらく2巻は出ないと思いますが、僕は確実にりすかファンになったようです。

■イラストもイイ
戯言シリーズは竹さん、りすかは西村キヌさん、どちらも作品にマッチした素敵イラストですね。
これ以外考えられないというくらいマッチしてますよ。
西尾作品はキャラが命なので、こういうイラストとマッチして初めて西尾ワールドを構築できるんだろうなぁ。

万人にお勧めというわけではないんですが、ご興味ある方にはお勧めでございます。
#西尾維新さんの10年後、20年後なんかも楽しみです。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
蒼い髪… (シータ)
2004-11-14 09:14:39
こんにちは。シータです。



唐突ですが、西尾維新作品をお読みになりましたか!!!自分のリスペクト作家なので、コメントさせて頂きます!!



ミステリのようですが、だんだん読んでいくうちにサプライズが中心になっていきます。キャラも魅力的です。そしてそのキャラ達が…。

あとは、どんどん読んで下さい。



「クビシメロマンチスト」は2、3日眠れなくなるくらい衝撃受けました。オススメです。



「考察ブログ作った、但し、SEED DESTINY考察だけ、みたいな!!」



のシータでした…。
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読み終わりました (燕(管理人))
2004-11-15 10:42:20
シータさん、コメントありがとうございます。

西尾作品、これはちょっと面白いですね。

戯言シリーズ、全部買っちゃうかもしれません。



『クビシメロマンチスト』読み終わりました。

またひっくり返したちゃぶ台を、さらにひっくり返された気分です。



>「考察ブログ作った、但し、SEED DESTINY考察だけ、みたいな!!」

爆笑。

もうその台詞も聞けないと思うと少し寂しいですが。



何冊か読んだらまたミニ感想でも書こうかなと思います。

また遊びに来てください。



今日は23時までに駅に辿り着ければ続巻を買うかもしれません。

では。
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Unknown (MR-T)
2004-12-18 17:18:49
はじめまして、MR-Tといいます。



西尾維新は全部揃えたのですが、その中でもヒトクイマジカルと人間試験がお気に入りです。未読の場合は一読されることを奨めます。



その前に新刊(ネコソギラジカル三部作)が欲しい…いい加減出て欲しいなと願う今日この頃です。

では。
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ヒトクイマジカル (燕。(管理人))
2004-12-19 03:51:16
>MR-Tさんへ

はじめまして&コメントありがとうございます。

シータさんのところでお名前は拝見しておりました。



ヒトクイマジカル、これは傑作でしたね。

ネコソギまで読んで感想書こうかと思ってたのですが、これだけはと思ってミニ記事書いてしまうほどに良かったです。

お勧めの通り、次は『零崎』読もうと思います。楽しみ楽しみ。



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伊吹かなみ (saki)
2006-01-22 15:08:54
こんにちわ、はじめまして。

私は西尾維新さんのお話がすごい好きです。

ところでなのですが、伊吹かなみさんって人が「クビキリサイクル」にでできますよね?

この前調べてたら伊吹かなみを全部ローマ字に直すとibukikanami。これをひっくり返すと・・・・imanakikubi。つまり、今なき首になりました。

さすが西尾維新!と思いました。

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回文、怪文(笑) (燕。(管理人))
2006-01-22 17:41:46
>sakiさんへ

初めまして&コメントありがとうございます。

西尾維新さんのお話って、独特の雰囲気があって面白いですよね。

いろんなジャンル分けがありますが、僕としては西尾維新というジャンルでいいのではないかと思うほどです。

#ジャンプネタとかが織り交ぜられるあたりが個人的にはツボです。

また、西尾維新さんは言葉遊び、それこそ戯言が大好きなので、伊吹かなみの件もそうですが、何と言っても西尾維新さんのPN自体が回文ですからね(笑)。

西尾維新さんには『戯言の謎』みたいなうんちく本を出して欲しいですね。

まだファウストとかには掲載してくれそうなんで、りすか含めて続きも楽しみですね。
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